イギリス(英国)とイングランド、United Kingdom (UK)・Great Britain (GB)・Englandなど、様々な呼称がありますよね。
サッカーやラグビーなど、スポーツ好きな方はご存じの方も多いかと思いますが、イギリスとイングランドは同じではありません。
また、UKとGreat Britainも異なります。
日本にいると、例えばUKとEnglandの使い分けをそこまで気にする事無く、何となく通じてしまう場面が多いかと思いますが、イギリス現地では割と重要です。
また「イギリス」という呼称自体、和製英語と言えるので、海外では通じません。
イギリスの正式名称
イギリスの正式な国の名称は、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」で、4つの王国から成立っています。
英語表記では、「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」です。
4つの王国という形になったのは、1922年に遡ります。
因みにヨーロッパにある、他の連邦制国家だと、ドイツ連邦共和国(16の州)、オーストリア共和国(9つの州)、スペイン(17の自治州)、ベルギー王国(3つの地域、19の基礎自治体と10の州)、スイス連邦(26の州)があります。
アメリカやロシアも連邦制をとっていますね。
4つの王国
連邦制国家であるイギリスの、4つの王国は以下の通りです。
ここでもう一度、英語表記を確認しておきます。
「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」
英語 | 日本語 | 対象国 |
---|---|---|
United Kingdom | 連合王国 | グレートブリテン ④北アイルランド |
Great Britain | グレートブリテン | ①イングランド ②スコットランド ③ウェールズ |
United Kingdomは、直訳すると「連合王国・連邦王国」という意味ですが、通常「英国・イギリス」といった意味で使われるかと思います。
Great Britainは、3つの国で成り立っています。
人口や経済規模で比較すると、連合王国の中で、イングランドだけ突出しているのが分かります。
数値はイギリスの国家統計局(ONS)より、執筆時点で参照できる最新のものを使用しています。
イングランド(England)
- 首都は、ロンドン(London)
- 面積は、130,373平方キロメートル
- 人口は、56百万人程度
- GDPは、1,839,264百万ポンド程度
(UK全体の85.9%程度) - 人口一人当たりGDPは、32,857ポンド程度
- 聖ジョージ旗
イギリスと言って真っ先に思いつくのが、ロンドンではないでしょうか。
スコットランド(Scotland)
- 首都は、エディンバラ(Edinburgh)
- 面積は、78,775平方キロメートル
- 人口は、5.4百万人程度
- GDPは、161,295百万ポンド程度
(UK全体の7.5%程度) - 人口一人当たりGDPは、29,660ポンド程度
- 聖アンドレ旗
エディンバラは新旧市街ともに世界遺産に登録されています。
https://whc.unesco.org/en/list/728/
ロンドンの冬は、東京と同じ位の寒さですが、エディンバラは無茶苦茶寒いので、真冬に行くことは避けた方が良いと思います。
ウェールズ(Wales)
- 首都は、カーディフ(Cardiff)
- 面積は、20,767平方キロメートル
- 人口は、3.1百万人程度
- GDPは、74,906百万ポンド程度
(UK全体の3.5%程度) - 人口一人当たりGDPは、23,866ポンド程度
- ア・ドライグ・ゴッホ(赤い竜)の旗
Swansea(スウォンジー)という場所に、DVLA (Driver & Vehicle Licensing Agency = 英国運転免許庁) のセンターがあるので、在英日本人の知名度は抜群です。
今はBRPカード保有者であれば、日本から英国への運転免許証切り替え手続きに際し、日本の運転免許証原本のDVLAへ送付が免除されているようなので、わざわざSwanseaまで行く人も少ないかと思います。
DVLAの管轄地域はグレート・ブリテンなので、イングランド・スコットランド・ウェールズです。
北アイルランド(Northern Ireland)
- 首都は、ベルファスト(Belfast)
- 面積は、14,120平方キロメートル
- 人口は、1.9百万人程度
- GDPは、48,887百万ポンド程度
(UK全体の2.3%程度) - 人口一人当たりGDPは、25,981ポンド程度
- 聖パトリック旗
北アイルランドとアイルランド共和国は、現在別々の国で、法定通貨も異なります。紛らわしいのでご注意下さい!
アイルランド共和国といえば、ブレグジット後のロンドンに代わる金融ハブ都市として、ダブリンが元気付いていますね。
補足ですが、北アイルランドの場合、DVA (Driver & Vehicle Agency)が運転免許庁で、地域を管轄しています。
「イギリス」という呼称は日本でしか通用しない
日本国内で使われる「イギリス」という呼び方ですが、イギリス現地では通用しません!
グーグル翻訳してみても、Englandとしか出てこなくて、必ずしも正しいものではありません。
「イギリス」という言葉が和製英語かというと、外国語からきているので微妙なとこかと思いますが、少なくとも英語ではありません。
漢字に変換すると「英吉利」と出てきます。江戸時代、「エゲレス」と称していたのが現在の「イギリス」になったと言われています。
「エゲレス」というのは、当時日本と関係があったポルトガルの言葉”Inglez”、或いはオランダの言葉”Engels”がなまったものという説があります。
まとめ
最後に、もう一度表を記載しておきます。
「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」
英語 | 日本語 | 対象国 |
---|---|---|
United Kingdom | 連合王国 | グレートブリテン ④北アイルランド |
Great Britain | グレートブリテン | ①イングランド ②スコットランド ③ウェールズ |
- イングランドは4つある国の1つで、イギリスの一部。
- 但し「イギリス」という呼称は、日本国内でしか通用しない。
イギリスが4つの国で成り立っているというのは、歴史そのもので、当然それぞれの国の人々にはアイデンティティがあり、アクセント(最早、同じ英語とは言いにくい言語も)があり、同じイギリス内でも地域で特色があり、興味深いものです。
※本文は以上です。
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