イギリスの電圧、実は240Vじゃない!

知っている方からしたら本当にしょうもない、でも日本語で見かけるサイトでは、イギリスの電圧は240Vと依然誤った情報が多く掲載されたまま(追って説明しますが、実害はありません)なので、注意喚起とまではいきませんが、記事にしておきます。

これからイギリスに行かれる方の参考になれば幸いです。

結論をお伝えすると、2003年1月31日から、イギリスでは電圧が230Vになっています。

また現在ヨーロッパ大陸にお住まいで、イギリスへ引越し予定の方、或いはイギリスから、ヨーロッパ大陸へ引越し予定の方は、今お使いの家電製品をそのまま使えるので、買い換える必要がないんです。


ヨーロッパ諸国の電圧を手っ取り早く、確認したい場合は、以下の記事をご参照下さい。

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イギリスの電圧は、230Vと気づいたきっかけ

私はイギリスからドイツに引越しをする時まで、てっきりイギリスの電話は240Vだと、ずーっと思っていました。


だってそう習いませんでしたか?


中古で手に入れた変圧器も100-240V対応になっているし、イギリスに住み始める前に、どこかの日本語サイトでも同じ事が書いてありました(今でも、はっきりとイギリスの電圧は240Vと書いてあるサイトを散見しますが)。


色々と引越し準備をしていて、あー家電製品は電圧やコンセントプラグが違うし、変圧器使うのも面倒だから、全部買い替えだと思っていたんです。


なんせドイツは230Vで、当時イギリスは240Vだと思いこんでいましたから。


それをイギリス人に話したら、パーデゥン?と返されまして。何をふざけている、イギリスの電圧も230Vだぞと笑われたんです。


もう何年もイギリスは240Vだと思いこんでいたので、衝撃的でした。思い込みって怖い。

イギリスの電圧は、240Vという思い込みはどこから?

それでイギリスの電圧事情を調べてみたら、確かに昔は240Vだったのです。


遡ること1993年にイギリス政府が、電圧を230Vにして、EUと平仄を取ることに合意したんです。



EUがどの国かは、以下の記事をご参照下さい。


そして2003年1月31日から実際に、イギリスでは電圧が230Vになりました。やっぱり自分の思い込みは合っていた!けど、情報が古かったという訳です。

当時の原文を探してみたら、The Electricity Safety, Quality and Continuity Regulations 2002 (ESQCR)を見つけました。

名前に2002というのが入っているのは、原文が作られたのが2002年だったたけで深い意味はありません。そしてRegulation 27に電圧に関する条項が記載されています。

Declaration of phases, frequency and voltage at supply terminals

27.—(1) Before commencing a supply to a consumer’s installation, or when the existing supply characteristics have been modified, the supplier shall ascertain from the distributor and then declare to the consumer—
(a)the number of phases;
(b)the frequency; and
(c)the voltage,
at which it is proposed to supply electricity and the extent of the permitted variations thereto.

(2) Unless otherwise agreed in writing between the distributor, the supplier and the consumer (and if necessary between the distributor and any other distributor likely to be affected) the frequency declared pursuant to paragraph (1) shall be 50 hertz and the voltage declared in respect of a low voltage supply shall be 230 volts between the phase and neutral conductors at the supply terminals.

(3) For the purposes of this regulation, unless otherwise agreed in writing by those persons specified in paragraph (2), the permitted variations are—
(a)a variation not exceeding 1 per cent above or below the declared frequency;
(b)in the case of a low voltage supply, a variation not exceeding 10 per cent above or 6 per cent below the declared voltage at the declared frequency;
(c)in the case of a high voltage supply operating at a voltage below 132,000 volts, a variation not exceeding 6 per cent above or below the declared voltage at the declared frequency; and
(d)in the case of a high voltage supply operating at a voltage of 132,000 volts or above, a variation not exceeding 10 per cent above or below the declared voltage at the declared frequency.

引用元リンク: http://www.legislation.gov.uk/uksi/2002/2665/regulation/27/made

27の(2)で、電圧は230Vとなっている事が分かると思います。

欧州連合条約(マーストリヒト条約)の発効で、ECからEU(欧州連合)になったのが、ちょうど1993年でしたね。

EU内では220Vと230Vの電圧が混在しており、EU域内で統一化の議論がありました。また当時イギリスは240Vだったので、真ん中の230Vに寄せる形に落ち着いたと言われています。

説得力があるような、適当なんだか。

EU域内の電圧統一化の影響

ふと疑問に思ったのですが、電圧が変わるって一大事ですよね。もし今まで使っていた家電が使えなくなったら、買い替えないといけないですし。

でも実際のところは、消費者の家電買い替えはおこらず、補足するとインフラに関しても何も変わってないんです。


もっと言うと、イギリス人でさえ筆者のように電圧が変わった事を知らずに、使い続けていた人も少なからずいたようです。


どういう事かというと、EUは電圧の実効値を230Vとして、上下限のレンジを設定したのです。
先ほどの抜粋27の3(b)で、電圧のレンジ上限をプラス10%、下限をマイナス6%と定めています。

Declaration of phases, frequency and voltage at supply terminals

27.
(b)in the case of a low voltage supply, a variation not exceeding 10 per cent above or 6 per cent below the declared voltage at the declared frequency;

引用元リンク: http://www.legislation.gov.uk/uksi/2002/2665/regulation/27/made



230V +10% / -6%なので、216.2V-253Vという事になります。


220Vが使われていた大陸や、イギリスの240Vも、新たな電圧の上下限レンジに入る事が分かると思います。

電圧の実効値プラマイって、アバウト過ぎません?

なんだか狐につままれたようです、それで更に電圧について調べてみました。


そしたら、家庭で使う電気は、電圧がなめらかに変化し反転を繰り返しているんですね。いわゆる交流というやつです。


そういえば小学校の理科の授業で、直流と交流とか学んでいたかもしれませんが、すっかり忘れていました。


交流で1秒間における波の数が、周波数で、東日本(50Hz)、西日本(60Hz)と、日本国内において異なる周期があるのを思い出しました。


EU圏内の周波数は、第二次世界大戦後くらいから50Hzなのと、そもそも交流で電圧が変化し続けているので、アバウトに電圧を設定しても問題なかったという事です。


また使用する電気機器側も交流電源であれば、設定された電圧の実効値を確保する為に、ある程度の変動電圧に耐えるように通常設計されています。


ちょっと小難しい話になりますが、「正弦波の最大値」という考えがあり、最大値は√2倍(約1.4倍)する事で求められます。


つまり220Vなら、瞬間的にマイナス311.1Vからプラス311.1V。
240Vなら、同様にマイナス339.4Vからプラス339.4Vという事になります。


※あくまでも理論的な絶縁性能の話なので、このレンジで使えるという話ではありません。家電製品を使用する際は、各取扱説明書通り記載された注意事項を守りましょう。

最後に

2003年1月31日から、イギリスでは電圧が230Vになっています。


イギリスと大陸間で、家電製品は買い替える必要が無く同じものが使えるけど、コンセントの変換プラグは必要なのでお忘れなく。



出張や旅行等で、ヨーロッパ圏を頻繁に行き来する方は、コンセント変換プラグCとGタイプ(Gは、日本だとBFという名称)を揃えておくと便利かと思います。


好みの問題ですが、わたしはマルチプラグでは無く、個別プラグを使っています。

最近のマルチプラグ製品なら違うかもしれませんが、個別プラグの方が、がっしりコンセントが差し込まれていて、安定感があるんですよね。

あとは単純に個別プラグは、マルチプラグより軽くて小さい。



イギリスに住まれるご予定の方は、こちらの記事もご参照下さい。



※本文は以上です。
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