同じ英語でも、イギリスとアメリカで異なる書式。
両国に住んだことのある筆者が過去に失敗した事例、イギリスでは特に気を付けたい点とともに、郵便物(手紙・はがき等)や荷物(小包等)を送る際の、正しい英語住所(宛名・宛先)の書き方をまとめたものです。
書式が日本のそれとは異なり、同じ英語圏でも国ごとに注意が必要です。
イギリスで郵便事業を営む、Post Office(How to address mail)及びロイヤル・メール(How to address your mail (Clear addressing))がソース元です。
Post Office(ポストオフィス)は日本でいう郵便局、ロイヤル・メールは集荷・集配などの郵便サービスを提供しています。
イギリスの住所(宛名・宛先)表記
イギリスの住所(宛名・宛先)表記ですが、国内であれば基本的に個人向けは4行(①②④⑤)です。
④ポストタウンがあれば、そこまで重要ではありませんが、場合により③Locality nameが付される事もあります。
国際郵便の場合、新たに行(⑥)が加えられ、最終行は国名になります。
行 | 日本語内容 | 英語内容 |
---|---|---|
1行目 | ①宛名 | Addressees’ name |
2行目 | ②物件番号(建物名や部屋番号)、通り名 | House number and street name |
3行目 | ③ポストタウン以外の市区町村(もしあれば) | Locality name (if needed) |
4行目 | ④ポストタウンと呼ばれる都市名(大文字) | Post Town (please print in capitals) |
5行目 | ⑤ポストコード(大文字) | Full postcode (please print in capitals) |
6行目 | ⑥国名(国際郵便の時、大文字) | COUNTRY (please print in capitals & use English name) |
以下は、宛名・宛先のサンプルです。
②1 Chapel Hill
③Heswall
④BOURNEMOUTH
⑤BH1 1AA
アメリカの書式は結構シンプルですが、イギリスも負けていません。
どちらも同じ英語ですが、イギリスの場合④ポストタウンと⑤ポストコードのみが大文字です。
サンプルでは、行に1要素しかないので使われておりませんが、そもそもイギリスでは手紙の宛先に「コンマやピリオド」を使わないのが正しい書式です。
ついつい2-3行に勝手にまとめて、コンマを使いたくなりますが、むやみに書式を崩さずに明記しましょう。
以下、代表的な注意ポイントを挙げます。
- ポストタウン及びポストコードは大文字で書く
- ポストコードの余白はしっかりとあける
- 宛名・宛先は表面の下部左側に明記
- 封筒や小包の色から、容易に識別できるペンやインクを使用
(色物でもOK、但し白地に黒インクで印字されたラベルの使用を推奨) - 宛名・宛先は左詰めにする
- イギリス国内に送る場合、国名は不要
- County/Village/Burrough/City/Townなどは不要
(ポストタウン及びポストコードで十分) - コンマやピリオド(イギリス英語では、フルストップ)は使わない
- 宛先情報の周りに、十分な余白を確保する
- 切手の貼り付ける場所は、表面の右上
- 差出人情報は、裏面の右下に明記する(無くてもOK)
差出人情報(日本の住所)を英語表記するには
差出人情報は、裏面の右下に書きます。
イギリスの住所の場合、上記で説明した宛名・宛先と同じ書式で、差出人情報を書きます。
その際、冒頭に”Return address”と明記します。以下、差出人情報のサンプルです。
1 My Street
My Village
BOURNEMOUTH
BH1 1AA
差出人情報は無くても問題ありませんが、届ける事ができなかった場合に、返送されませんのでご注意下さい。
別途、以下の投稿記事内に日本の住所を英語表記する方法(やアメリカにおける正しい書式)を説明しています。
イギリスのポストコード(略号)
日本でいう郵便番号は、イギリスでポストコードと呼ばれ、大体以下のフォーマット(Xはアルファベット、1は数字、□は余白)で表示されます。
- X1□1XX
- X11□1XX
- X1X□1XX
- XX1□1XX
- XX11□1XX
- XX1X□1XX
スペースの前半部分は”Outward Code”、後半部分は”Inward Code”と呼ばれています。文字通りですが、後者の方がより詳細エリアを意味しています。
前述の宛先サンプルは「BH1 1AA」でした。”Outward Code”のアルファベット略号で、どの都市なのか判別可能です。
ポストコードのソース元は、英国統計局(ONS Postcode Directory in United Kingdom)です。
先ほどの「BH」は、South West Englandの”Bournemouth”という事が分かります。
East Anglia | Code |
---|---|
St Albans | AL |
Cambridge | CB |
Chelmsford | CM |
Colchester | CO |
Enfield | EN |
Ilford | IG |
Ipswich | IP |
Luton | LU |
Milton Keynes | MK |
Norwich | NR |
Peterborough | PE |
Romford | RM |
Stevenage | SG |
Southend on Sea | SS |
Watford | WD |
The Midlansには、英国靴の聖地ノーザンプトンや、陶磁器発祥の地ストーク・オン・トレントがあります。
The Midlands | Code |
---|---|
Birmingham | B |
Coventry | CV |
Derby | DE |
Dudley | DY |
Leicester | LE |
Nottingham | NG |
Northampton | NN |
Stoke-on-Trent | ST |
Walsall | WS |
Wolverhampton | WV |
North East England | Code |
---|---|
Bradford | BD |
Durham | DH |
Darlington | DL |
Doncaster | DN |
Huddersfield | HD |
Harrogate | HG |
Hull | HU |
Halifax | HX |
Lincoln | LN |
Leeds | LS |
Newcastle upon Tyne | NE |
Sheffield | S |
Sunderland | SR |
Cleveland | TS |
Wakefield | WF |
York | YO |
North West England | Code |
---|---|
Blackburn | BB |
Bolton | BL |
Carlisle | CA |
Chester | CH |
Crewe | CW |
Blackpool | FY |
Liverpool | L |
Lancaster | LA |
Manchester | M |
Oldham | OL |
Preston | PR |
Stockport | SK |
Shrewsbury | SY |
Telford | TF |
Warrington | WA |
Wigan | WN |
Londonは、8つのコードが割り振られています。世界一と称されるロンドンタクシー(ブラックキャブ)の運転手は、ロンドン市内の通り名を、全て暗記していると言われています。
地図で見ると分かり易いですがEC及びWCを中心に、放射線状に離れる程大きな番号が付されています。
https://www.london.gov.uk/sites/default/files/gla_postcode_map_a3_map1.pdf
London | Code |
---|---|
East London | E |
City of London | EC |
North London | N |
North West London | NW |
South East London | SE |
South West London | SW |
West London | W |
West Central London | WC |
South Central Englandには、オックスフォードにビスタービレッジというアウトレットがあります。
South Central England | Code |
---|---|
Guildford | GU |
Harrow | HA |
Hemel Hempstead | HP |
Oxford | OX |
Portsmouth | PO |
Reading | RG |
Slough | SL |
Swindon | SN |
Southampton | SO |
Salisbury | SP |
Southall | UB |
South East England | Code |
---|---|
Bath | BA |
Brighton | BN |
Bromley | BR |
Croydon | CR |
Canterbury | CT |
Dartford | DA |
Kingston upon Thames | KT |
Rochester | ME |
Redhill | RH |
Sutton | SM |
Tonbridge | TN |
Twickenham | TW |
South West England | Code |
---|---|
Bournemouth | BH |
Bristol | BS |
Dorchester | DT |
Exeter | EX |
Gloucester | GL |
Hereford | HR |
Plymouth | PL |
Taunton | TA |
Torquay | TQ |
Truro | TR |
Worcester | WR |
Walesには、スウォンジーにDVLAという運転免許センターがあり、現在は郵送で英国運転免許証への切り替えができるようですが、かつては現地に赴いて手続きをした人も多いかと思います。
Wales | Code |
---|---|
Cardiff | CF |
Llandrindod Wells | LD |
Llandudno | LL |
Newport | NP |
Swansea | SA |
Northern Ireland最高峰の山”Slieve Donard(850メートル)”は、首都ベルファストから北50km程度に位置しています。
Northern Ireland | Code |
---|---|
Belfast | BT |
Scotland | Code |
---|---|
Aberdeen | AB |
Dundee | DD |
Dumfries | DG |
Edinburgh | EH |
Falkirk | FK |
Glasgow | G |
Outer Hebrides | HS |
Inverness | IV |
Kilmarnock | KA |
Kirkwall | KW |
Kirkcaldy | KY |
Motherwell | ML |
Paisley | PA |
Perth | PH |
Galashiels | TD |
Lerwick | ZE |
Islands | Code |
---|---|
Guernsey | GY |
Isle of Man | IM |
Jersey | JE |
アメリカと違う、イギリス書式
英語住所(宛名・宛先)の書き方ですが、個人的に気になったイギリスとアメリカの違いです。
主な相違点 | イギリス書式 | アメリカ書式 |
---|---|---|
大文字の使用 | ポストタウン、ポストコードのみ | 全て |
宛名・宛先の場所 | 表面の下部左側 | 表面の右半分(中央) |
差出人の場所 | 裏面の右下 | 表面の左上 |
以前イギリスに住んでいた時に、アメリカの書式で宛名・宛先や、差出人情報(つまり表面の左上)を書いたら、律儀に返送されました。
この事件以降、差出人情報(Return address)は必ず裏面に書くようになりました。
表面に全ての情報が確認できるアメリカ書式は見やすいですが、イギリス書式のように表面は宛名・宛先情報しかないのも分かり易いですね。
切手を上下逆さまに貼ると、反逆罪?!
イギリスでは切手を上下逆さまに貼ると、罪に問われる可能性があります。
どういう事かと言うと、エリザベス女王が描かれている切手が多数ありますが、これらを上下逆さまに貼る事は”Act of Treason”、つまり女王に対する重大な背信行為(大逆罪)とされるからです。
“Act of Treason”に対する最も重い罰は終身刑(Crime and Disorder Act 1998)ですが、1998年までは死刑でした。
切手を貼る際は、うっかり上下を逆さまにしないよう気を付けましょう。
最後に
最後に、イギリスの住所(宛名・宛先)表記をサンプル、主な注意点と合わせて載せておきます。
行 | 日本語内容 | 英語内容 |
---|---|---|
1行目 | ①宛名 | Addressees’ name |
2行目 | ②物件番号(建物名や部屋番号)、通り名 | House number and street name |
3行目 | ③ポストタウン以外の市区町村(もしあれば) | Locality name (if needed) |
4行目 | ④ポストタウンと呼ばれる都市名(大文字) | Post Town (please print in capitals) |
5行目 | ⑤ポストコード(大文字) | Full postcode (please print in capitals) |
6行目 | ⑥国名(国際郵便の時、大文字) | COUNTRY (please print in capitals & use English name) |
②1 Chapel Hill
③Heswall
④BOURNEMOUT
⑤BH1 1AA
- ポストタウン及びポストコードは大文字で書く
- ポストコードの余白はしっかりとあける
- 宛名・宛先は表面の下部左側に明記
- 宛名・宛先は左詰めにする
- コンマやピリオド(イギリス英語では、フルストップ)は使わない
- 切手の貼り付ける場所は、表面の右上
- 差出人情報は、裏面の右下に明記する(無くてもOK)
ロイヤル・メールですが、過去に何回か紛失事件がありました。「ロイヤル」と響きはどこか特別感があるかもしれませんが、質は…今後に期待したいと思います!
現在住んでいるドイツは、その点かなり確りしていて(今のところ)手紙が紛失した事は一度もありません。
※本文は以上です。
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