ドイツに住み始める前、イギリスに住んでいた時はメインバンクにMonzo(モンゾー)、海外出張や旅行などで使う、捨てカード用にRevolut(レボリュート)を使っていました。
Revolut(レボリュート)は、よく銀行と勘違いしている人が多いのですが、単なる高機能なプリペイドカードなので、間違えても給与振込口座などには指定しないようにしましょう。
ドイツに引越しをしてきた時、Revolut(レボリュート)は住所変更をすれば、そのまま使えたのですが、Monzo(モンゾー)はイギリス居住者しか口座を持つことができない為、ドイツで新たに銀行口座を作る必要がありました。
この記事では、当時調べた事を、最新の情報とともに、まとめたいと思います。
結論、ドイツでの一番おすすめな銀行
N26とNorisbank(ノリスバンク)を口座開設して、実際に使い比べた結果…N26の圧勝です!
むしろ、Norisbankの使い辛さが、浮き彫りになりました。
N26に関しては、わたしがイギリスに住んでいた時に愛用していたMonzo(モンゾー)と、ほぼ同じ使い勝手で、概ね満足しています。
以下で詳細説明しますが、ドイツ(やヨーロッパ圏)で、銀行口座を開設するなら、迷わずN26がおすすめです。
候補となった、無料で使えるドイツのネット銀行
ドイツで働いている、外国人の知り合い複数人に渡独前、移住に関して色々聞いていたのですが、銀行に関しては、口を揃えてN26を勧められたので、N26で口座を開こうと、予め思っていました。
N26がドイツ国内で唯一、公式に英語対応というのは認識していましたが、言語面を除いて、ドイツにある他のネット銀行がどうなのか、使い勝手とかAppとか、純粋に興味があったので、N26以外に、もう一つネット銀行の口座を開設してみようと思いました。
イギリスでMonzo(モンゾー)を使っていて、いまさら実店舗にわざわざ足を運んで、銀行口座を開設する気もゼロでした。
原則、無料で口座を維持できるドイツ国内のネット銀行に絞り、N26に加え、以下4行をピックアップしました。
日本やイギリスでは、銀行口座を保有するのに手数料はかかりませんが、ドイツでは有料のケースがほとんどです。
上記ネットバンクであれば、銀行口座を保有するのに手数料はかかりません(ING-DiBaのみ条件あり)。ドイツ現地では、手数料無料なのでKostenloses Deutsches Bankkontoと言われたりしています。
またネット銀行ですが、一般的に現地ではDirektbankと言われています。
N26を除く、4つのネット銀行からNorisbankを選んだ理由
流石に、いくつも無駄に銀行口座を作るのは、意味が無いので、ドイツ国内で目星を付けた、4つのネット銀行を比較してみました。
わたしは海外では、Revolut(レボリュート)を使うので、ドイツ国内での使用を前提に比較しています。
Norisbank | comdirekt | DKB (Deutsche Kreditbank AG) | ING-DiBa | |
---|---|---|---|---|
口座維持手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 2020年5月1日から、月額700ユーロの入金が無いと、口座維持手数料として月4.9ユーロ。 |
入金場所 | Deutsche BankのATMで無料 | Commerzbankの支店にあるQuickborn以外だと、年4回目の入金から、都度2.9ユーロ手数料あり | DKBのATMで無料 | 提携しているReiseBankで無料。但し1,000-25,000ユーロの範囲のみ可能 |
出金場所 | Cash Group シェル(ガソスタ) 小売店(ALDI SÜD、Lidl、PENNY、REWE、 tegut)など。 | Cash Group シェル(ガソスタ) 小売店(ALDI SÜD、Lidl、PENNY、REWE、 tegut)など。 | DKBのATMで無料 VISAマークのATM(ドイツ国内のATM97%をカバー) | VISAマークのATM(ドイツ国内のATM97%をカバー) |
Girocard (旧EC-Karte) | 無料 (Maestro) | 無料 (V Pay) | 無料 (V Pay) | 無料 (V Pay) |
Apple/Google Pay | Apple Payのみ | 両方あり | 両方あり | 両方あり |
Appランク* (iOS / Google Play) | 圏外(50位以下) | 17位 / 19位 | 21位 / 26位 | 13位 / 13位 |
系列 | ドイツ Deutsche Bank | ドイツ Commerzbank | ドイツ Bayerische Landesbank | オランダ ING |
銀行監督 | Bafin | Bafin | Bafin | Bafin |
登録番号 | 100118 | 108549 | 100215 | 100088 |
タイプ | CRR-Kreditinstitut | CRR-Kreditinstitut | CRR-Kreditinstitut | CRR-Kreditinstitut |
Appランク*
アップアニーという、アプリに関する市場データと分析ツールを提供している、アメリカの企業のツールを使ってみます。 以下の通りソートします。
- ドイツ国内
- ファイナンス
- 無料
- 2020年2月20日(執筆日前日)付け
因みに同条件で調べると、N26のAppランクは、29位 / 41位でした。N26は、意外と相対的に低い順位ですね。
話を戻しまして、入出金の条件を中心に考えると、細かい事を気にせずに使えるNorisbankが一番良さそうと考えました。
DKBはバイエルン州立銀行の子会社なので、バイエルン州に住んでいたら、使い勝手が良いかもしれません。
わたしの場合ですが、ドイツでは、まだまだ現金社会なのでキャッシュは毎月引出しをしますが、入金は実は一回もした事が無いです。なので定期的にキャッシュの入金が発生しない人に関しては、そこまで入金にかかる条件を、気にする必要は無さそうです。
最後のING-DiBaは、2020年5月1日から、月額700ユーロの入金が無いと、口座維持手数料として月4.9ユーロかかるので、あまりおすすめではないです。母体はオランダのINGグループですが、ING-DiBa自体はEUパスポーティングではなく、ドイツ国内で銀行免許を取得しています。
何れの銀行&N26(登録番号:145827)は、German Deposit Protection Schemeにより、一人あたりEUR100,000相当まで預金保護されています。
Cash Groupとは
Cash Groupとは以下銀行のグループで成り立っていて、ATMの相互利用を開放しています
- Commerzbank
- Deutsche Bank
- HypoVereinsbank
- Postbank
これら全ての約9,000ATMが無料で使えます。
なおドイツは、EU随一のATM大国です。
Girocard
イギリスからドイツに来て知った、Girocardですが2007年まではEC karteという名称だったようです。
いわゆるドイツ版デビッドカードですが、やや癖のあるカードです。
今でも、普通にEC karteという看板や表示は多く見かけますが、正式名称はGirocardに統一されています。
最近のGirocardはNFC(Near Field Communication)を搭載して、コンタクトレス決済にも対応しているのですが、Girocardはあくまでドイツ版デビッドカードなんです。
どういう事かというと、イギリスの銀行や、ドイツN26で銀行口座を開くと、デビッドカードが作られるのですが、カード表面に、4桁×4つ=合計16桁の数字が記載されています。
ドイツ版デビッドカードのGirocardには、16桁の数字の代わりに、IBAN(The International Bank Account Number)と呼ばれる口座識別番号が記載されています。
16桁とIBANで、どういう違いが起こるかというのは、次のパラグラフをご参照下さい。
N26とNorisbankを使ってみた感想
口座開設の手間
N26は完全ペーパーレスで、本当にApp上で完結しました。申込手続き完了後、通常配達でしたが3日程でカードが手元に届きました。受け取った郵送物は、一つだけです。
Norisbankは、一度ネット上で申込みしてから、わたしの場合日本人だったので、本人確認をPostbankでしました。Postbankでの本人確認は事前アポ等は不要で、5分位で終わったと思います。その後、数回に分けて6通郵送物が届きます。紙の無駄だし、頼むから現物カード以外はペーパーレスにしてくれ。
- キャッシュカード(Girocard)
- 口座情報
- ATMのPIN
- オンラインバンキングのPIN
- テレフォンバンキングのPIN
- PhotoTANのアクティベーションQRコード
Norisbankから最後の郵送物が届いたのは、申込みから2-3週間後だったと思います。なかなかATMのPINが届かなくて焦りました。
Appの使いやすさ、安定性
渡独前、イギリスに住んでいてMonzo(モンゾー)を使っていたので、Monzoが基準になってしまいますが、N26は限りなくMonzoに近いです。Appも挙動が安定していて、しっかり作りこまれています。
N26はちゃんとプッシュ通知してくれるし、Monzo(モンゾー)より少しシンプルな気がしますが、グラフィクスも良い見栄えで使うのが楽しくなります。当然のように、口座情報はリアルタイムで、常に最新の情報が反映されます。
一方のNorisbank、辛口になりますが、全くイケてないです。昔からある銀行を、ただ店舗を無くしてAppで強引に完結させたような作りで、多分フィンテックとか、オープンAPIとか全く知らない人達が、とりあえず作ったんだろうな、と思わせます。
Norisbankはプッシュ通知が無く、Appの挙動がやや不安定なのも気になりました。あとApp上でも、パソコンのサイト上でも、口座情報の表示にラグがあります。これはドイツ国内の銀行というよりは、SEPA (Single Euro Payments Area)特有の問題みたいなので、Norisbankに限った話ではないです。
全くイケてないNorisbankのAppですが、予想外に英語対応しているのには驚きました。
パソコンでサイトにアクセスすると、がっつりドイツ語オンリーなのに不思議です。
但し、NorisbankのApp上では、限られたそして基本的な事しかできないので、やはりN26のようにAppで全て完結する作りこみとは、程遠いものがあります。
photoTAN
多分、昔からの名残で続けているんだと思いますが、photoTANは本当にいらない機能です。
今もあるか分かりませんが、日本でも第二暗証コードとして、パスコード表を昔活用していたと思います。
Norisbank等で、振込やStanding Order(定額自動振込み予約)を設定する際、photoTAN Appを使います。
photoTANは、まさにパスコード生成を都度してくれるのですが、メインAppと別で、photoTAN用のAppをインストールする必要があります。
そもそも、セキュリティ向上の為だと思いますが、Appで動かすなら指紋認証があるし、photoTANの存在自体もう不要だと思うのは、わたしだけでしょうか…
因みにN26は、photoTANは使ってません。Norisbankは、photoTANを現役で使っています。
サポート体制
N26はApp内にチャットがあるので、何かあれば問合せ可能です。
Appを開いて右上の人のマークをタップしてMy Accountを開いたのち、Support > Support chatで行けます。勿論英語をはじめ、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語で対応してくれます。
Norisbankですが、App内にチャットが無い為、カスタマーサービスに電話する必要があります。
運が良いと英語を話すオペレーターに繋がりますが、わたしの場合70-80%くらいの確立で、ドイツ語しか喋ることができないオペレーターにヒットします。
ドイツ語で、英語のできるオペレーターにかわってくれと依頼しても、頑なに「ドイツ語で質問をどうぞ」、「Norisbankはドイツの銀行です」、「わたしは英語ができません」などと返される事がほとんどなので、相当ドイツ語に自信がある人や、ハートが強い人以外は、実質Norisbankからのサポートが期待できません。
Revolut(レボリュート)との相性
Revolutとの相性が良いのは、N26です。
Revolutはプリペイドカードなので使うのには、トップアップ(入金)する必要があります。トップアップ方法ですが、ダイレクトデビッド(やクレジットカード)と、銀行振込の2パターンがあります。
N26の場合、カードに記載の数字16桁を使い、即時Revolutアカウントにトップアップ可能です。
一方Norisbankの場合、ドイツ国内のデビッドカードでIBANしか無い為、Revolutアカウントには、銀行振込をしないといけません。
そして、イギリス国内であれば2008年からFaster Paymentsがロンチした事で、24時間365日、即時取引が反映されるようになりました。 以下に、関連記事を投稿しています。
ドイツ国内はというと、無料であるSEPA (Single Euro Payments Area)という(至急扱いではない)普通の銀行振込処理を行うと1営業日、銀行によっては2-3営業日、送金に時間がかかります。
なので、ドイツの銀行口座からの振込みで、Revolutアカウントに入金しようとしても数営業日、時間がかかるので、すぐRevolutアカウントに着金しないデメリットがあります。
恐らくRevolutをお使いの方は、為替手数料が安いから使っていると思いますが、タイミング良く外貨を売買したいのに、肝心の資金がすぐにトップアップできないのは不便過ぎです。
Norisbank (comdirektやDKB、ING-DiBaも) ユーザーは、無料でMaster/VISAのクレジットカードを保有できるので、このクレジットカード(16桁の数字があるカード)を使えば、Revolutに即時トップアップが可能にはなります。
補足ですが、ドイツ(をはじめとするヨーロッパ)では、日本と比べてクレジットカードよりデビッドカードが一般的に使われています。特に、ドイツに住み始めたばかりの人は、クレジットヒストリーが全く無いので、クレジットカードを作れたとしても最初の与信枠が、笑える程少額だと思います。
航空系カードなどマイルやポイントを貯める目的以外で、純粋な銀行系クレジットカードを作っても、日本みたいに大した特典が無いので、あまりドイツでクレジットカードを作る意味は無いと思います。
イギリスであれば、クレジットカード利用者はデビットカード利用者より、かなり手厚く保護されるんですけどね。
N26がNorisbankに劣る点
N26がNorisbankに劣る点は、ずばり入出金に関してです。
Norisbankは無制限にキャッシュ入出金ができる一方、N26はキャッシュでの入金については月100ユーロまで無料(月100ユーロ超の金額に関しては、1.5%の手数料)、出金は提携小売り店(REWE、Penny、dm、real、Rossmann等)では無料ですが、ATMでは月6回目から有料になります。
最後に
繰り返しですが、N26と上記で紹介した4つのネット銀行は、何れもドイツの預金保護対象になります。
N26では、大きな金額をキャッシュで入金するのに不利ですが、銀行振込(含む給与振込)に関しては、制限や手数料がある訳では無いです。
この入金に関する点は、人によっては致命的かもしれませんが、わたしの使い方では問題無く、現時点でドイツ国内で考えられるベストな銀行は、N26と言えます。
ドイツ特有のGirocardに関しては、大手デパートやスーパーなどであれば、普通にMaster/VISAなどのデビッド/クレジットカードが使えるので、相応にマイナーなお店に行かない限り、Girocardしか受け付けないという場面には遭遇しないと思います。
もしN26を使っていて、Girocardしか使えないお店で、どうしても物やサービスを買いたかったら、現金で支払えば解決です。
そして言語の点を除いても、以上で説明した通りN26とNorisbankでは使い勝手に雲泥の差があり、わたしが実際に使い比べたところ、N26の圧勝という結果になりました。
銀行であるN26と、プリペイドカードであるRevolutの組合せが非常に優秀ですよ。
この2枚だけ持っていれば、間違いないです。
またドイツやイギリスをはじめヨーロッパ在住であれば、トランスファーワイズのボーダレス口座(マルチカレンシー口座)を保有できます。日本ではまだ取扱い不可のようです。
ボーダレス口座はやや癖がありますが、特に外貨の収入がある個人事業主・フリーランス・アフィリエイター等の人にとっては、かなりおすすめできます。
※本文は以上です。
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