日本で報じられないRevolut(レボリュート)の闇

Revolut(レボリュート)と言えば、ほぼ市場の中値(インターバンクレート)で為替取引ができてしまう安さ、Appの使いやすさ、口コミなど、イギリスで2015年7月に資金移動業者(An Electric Money Institution)として創業してから、5年弱でユーザー数が一千万人超えを記録、今日フィンテック企業の中でも、注目度が高い企業の一つと言えるかと思います。

実際わたしはRevolutを愛用していますが、本当によくAppが作りこまれていて、海外旅行の時は欠かさず持ち歩いています。

日本においては事前受付が開始済みで、サービスをお待ちになっている方も多いのではないでしょうか。

直近ですと、500百万USDの資金調達をして、様々なニュース媒体で取り上げられていたと思います。

フィンテックとかユニコーンに関しては、時価総額がいくらに達したとか、創業メンバーが何人ミリオネアやビリオネアなどになったとか、華やかな「光」の面に注目したニュースや、大絶賛する記事が多い一方で、日本語のサイトでは「闇」の面を見かけません。

なので利害関係が皆無で、一個人である筆者が、Revolut(レボリュート)の闇について、ヨーロッパからお伝えしたいと思います!

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金融行動監視機構(FCA)から調査が

2016年にRevolut(レボリュート)の元従業員が、同社コンプライアンスCEOの行いについて、イギリスの金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)に内部告発した事で、Revolut(レボリュート)には調査が入っています。

金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)は、日本でいう金融庁みたいなものです。

調査内容は公開されておりませんが、2019年4月2日付けBBCの記事によると以下の通り、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)はRevolut(レボリュート)に対して、是正措置を取るよう促したとあります。

The FCA confirmed to the BBC that it required Revolut to take specific actions following the enquiries it made after obtaining information on the company.

“It is for Revolut to comment on the specifics as it is not our policy to do so,” a spokesman told the BBC.

引用元リンク: https://www.bbc.com/news/technology-47751945

元従業員によると、ある特定のユーザーに対する、マネーロンダリングに係るチェックが適格に行われていなかったり、疑義のある取引を発見した際のレポート体制が、不十分であったとの事です。

同BBC記事によると、過去三年間で以下の退職があったようです。スタートアップ会社における離職率の高さは、ごく一般的だと思いますが、要職の回転率が高いと、ちょっと心配になりますよね。

  • 2人のチーフ・リスク・オフィサー
  • 2人のマネーロンダリング・レポーティング・オフィサー
  • 1人のチーフ・コンプライアンス・オフィサー
  • 1人のチーフ・ファイナンス・オフィサー

この件に関する公式なRevolut(レボリュート)側のコメントは出ておりません。


当初、本記事を投稿した2020年3月2日以降、さらに以下の退職が出ているようです。

  • 1人のチーフ・ファイナンス・オフィサー(着任後わずか半年で退社)
  • 1人のウェルス&トレーディングヘッド(在籍期間一年半程度)

経済制裁対象者リストとの取引?

2019年2月28日付けテレグラフ紙によると、Revolut(レボリュート)が経済制裁に係る取引チェックアラート機能をオフにした事で、2018年7月から9月の間、適切な確認がなされないまま、数千の取引が行われたとあります。

マネーロンダリングほう助疑惑といったところでしょうか。本件に関しても、イギリスの金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)が動いています。

28 FEBRUARY 2019
Digital bank Revolut’s sanctions screening issue revealed

Documents seen by The Telegraph show that for three months last year Revolut switched off an automated system designed to stop money transfers that had been flagged for sanctions checks.

As a result, thousands of transactions passed through the London-based startup’s digital banking system between July and September of 2018 without having been fully checked for sanctions compliance.

引用元リンク: https://www.telegraph.co.uk/technology/2019/02/28/revolut-failed-block-suspicious-transactions/


イギリスの経済制裁処置及び対象者リストは、以下リンクで誰でも確認できます。
https://www.gov.uk/government/publications/financial-sanctions-consolidated-list-of-targets/consolidated-list-of-targets


当時、Revolut(レボリュート)の弁護士が、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)向けに(アラートがオフになっていた事に関する)報告レターをドラフトしたようですが、実際に送付はされなかったようです。

代わりに、ジャーナリストに当該ドラフトがリークされています。

無償で働かせるブラックぶり

正規フルタイム社員の話ではないです、イギリスの場合そもそも年俸制(と賞与)なので、業務時間後に働いても残業代は出ません。

無償で働かせる、というのは採用面接中の応募者に対してです。

現在は、流石に改善されているようですが、以前までは次の採用ステップに進むのに、新たに指定された人数分Revolut(レボリュート)ユーザーを獲得しないといけない、というものです。

一人や二人の話ではないのと、しっかりスクショ撮られて逃げ場がないですが、すごいカルチャーですよね。

英語になりますが、wiredの記事リンクを貼っておきます。ボランティアの他にも、色々とネタが豊富です。
https://www.wired.co.uk/article/revolut-compliance-free-work-fintech-application-toxic-storonsky

本社に掲げてある標語

2018年にRevolut(レボリュート)は、ロンドンの金融街Canary Wharfに本社を移転したのですが、その時にツイートされた写真が物語っています。

一応、文字に書き起こしておきます。

“NEVER SETTLE”
“GET **IT DONE”

前者は、普通に良い言葉です。”Never stop”とか、”Don’t settle”(故Steve Jobs)なんかも似たような意味合いですね。

特にスタートアップ企業や年齢に限らず、現状に満足することなく、常に創造性に富み、行動できる人間でありたいものです。

後者は大分お下品です、**の箇所の電気が点灯されていません。

コンプライアンス部門の採用文言が…

本記事を執筆時点の採用募集です、Revolut(レボリュート)では全地域全職種で、347件のポジションを募集中です。

久々に見たら、一部日本語対応していました。

その中で、当然コンプライアンス部門もあるのですが、採用文言が秀逸です。

募集中のポジション

今まであまりお考えではなかったかもしれませんが、当社ではcomplianceの重要性を高くととらえており、この部門に刺激を与えてくれるAプレイヤーを求めています。下記の募集職種をご覧ください。

引用元リンク: https://www.revolut.com/ja-JP/careers/department/compliance


「今まであまりお考えではなかったかもしれませんが、当社ではcomplianceの重要性を高くととらえており」…

「と」がダブっているのはスルーするとして、コンプラは国内外で年々厳しくなっていますからね。元々英語だったものを和訳したんでしょうが、なんとも不自然というか、不思議な文面です。

他社ツイッター乗っ取り事件

闇というよりは、倫理観の問題ですが、イギリスの銀行Monzo(モンゾー)が、「魔法の杖で、Monzoに一つ機能を加えるとしたら何?」というツイッターに対し、Revolut(レボリュート)が「Revolutへの自動移管スイッチ」とコメントし、プチ炎上していました。

そもそも、イギリスで銀行免許を保有するMonzo(モンゾー)と、資金移動業者(An Electric Money Institution)に過ぎないRevolut(レボリュート)を、互角に比べること自体無意味です。


海外送金のTransferWise(トランスファーワイズ)も銀行では無くて、資金移動業者ですね。



Revolut(レボリュート)担当者は、悪ふざけ程度のノリなんでしょうが、面白くないし、銀行と同等に張り合おうとしているのが、やや滑稽です。

ツイッターレスを見ると、Monzo(モンゾー)フォロワーが多数という面もありますが、Revolut(レボリュート)に関しては、冷ややかなコメントが多いです。

まとめ

不思議なことに、Revolut(レボリュート)に関しては、日本語で否定的な記事がないので、以上まとめてみました。

2019年3月4日付けで投稿された公式ブログ、CEOのNikolay Storonsky氏の言葉です。

Last week, an article surfaced online giving the impression that we have a “toxic culture” and saying that we have high staff turnover. In light of this, I owe it to my team and to our customers to have an open and frank discussion about this.

The point of this open letter is not to make excuses or attempt to rubbish the claims in the article, but to admit that we haven’t always gotten things right, and to emphasise that we are not the same company that we were 12-18 months ago, when these mistakes were made.

引用元リンク: https://blog.revolut.com/weve-made-mistakes-but-were-learning/


イギリスにわたしが住んでいた時に感じたのは、Revolut(レボリュート)や同社CEO、また企業カルチャーなどに対して、人々の好き嫌いがはっきり分かれていた事です。


色々書きましたが、わたしはRevolut(レボリュート)を使っていて、おすすめしますが、嫌いなら単に使わなければ良いだけだと思います。


個人的には、少々やんちゃなCEOだと思いますが、伝統的な銀行業に殴り込みをして、より便利な世界を作ろうとしていますし、スタートアップは良くも悪くも、(流)動的で何事も素早く行動するので、なんというか毎回ワクワクさせられます。


なお記事更新時点(2020年4月30日)では、レボリュートの採用ページで以下要職の募集が確認できます。

  • Chairperson of UK Bank – ロンドン拠点の会長(銀行)
  • UK Chief Executive Officer – ロンドン拠点のCEO


概要で確認ができるように、イギリス国内で銀行ライセンス取得の初期段階とあります。もしレボリュートが銀行ライセンスを取得したら、相当な市場インパクトだと思います。

We currently have an EMI licence in the UK, and are in the early stages of applying for a banking licence, along with developing our consumer credit and trading activities. 

引用元リンク:https://www.revolut.com/careers



以下も合わせて、ご確認下さい。



フィンテックの優等生、トランスファーワイズについてはこちらも。トランスファーワイズは創業2011年にも関わらず、2017年3月期から3年連続で黒字化を達成という。


最後に、イギリス在住者であれば、英国の消費者信用法セクション75(Section 75 of the Consumer Credit Act)により、100ポンド超のクレジットカード払いで商品やサービスを購入した消費者を、保護する規定があります。

RevolutやTransferWiseなどのプリペイドカード払いは、英国消費者信用法セクション75の適用外となるので、注意が必要です。

同様に、デビットカード払いも、同法セクション75の適用外です。


英国消費者信用法セクション75については、下記の投稿記事に詳しくまとめています。



※本文は以上です。
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