トランスファーワイズの海外送金。業界で異彩を放つ、5つの理由

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安い・早い・簡単!と三拍子が揃い、日本語で使える海外送金サービスのトランスファーワイズ (TransferWise)。

2016年から日本でも営業を開始した事もあり、名前を聞いたことがある人や、実際に日本からでも海外からでも、使った事がある人も多いかと思います。

わたし自身、はじめてトランスファーワイズのビジネスモデルを知った時は、衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。

ちょうどフィンテックの波がきていたタイミングで、ヨーロッパに住んでいた事もあり、現地銀行ではイギリスのMonzo(モンゾー)、ドイツのN26、ドイツのNorisbank、プリペイドカードではイギリスのRevolut(レボリュート)などのAppを使ってきました。

革新性という意味では、トランスファーワイズが一番優れています
大袈裟な表現ではなく、トランスファーワイズだけ次元が違いますね。

そして比較的創業から間もないフィンテックの会社としては、異例ながら黒字化に成功している数少ない例でもあり、ビジネスにおいて優等生です。

世の中には、似たような海外送金サービスを展開する会社は、他にもありますが、なぜトランスファーワイズが業界で異彩を放っているのか、5つの理由と合わせて、ユーザー経験をふまえて、説明したいと思います。


トランスファーワイズ(TransferWise)とは

2011年イギリスで創業のトランスファーワイズは、P2P(Peer to Peer)技術を用いた、国際送金サービスを提供する会社です。

執筆時点の情報ですが、

  • 13の海外拠点、59か国以上に対応
  • 世界で約6百万人のユーザー
  • 毎月の送金取扱高、約6,000億円

トランスファーワイズは、国境なき金融の実現を目指しています。

P2P

不特定多数の端末(スマホやパソコン=クライアント)が、サーバーを介さずに、端末同士で直接データファイルを共有することができる、通信技術やソフトウェアのことを指します。

Peerとは同等という意味があり、例えばAとBがいた場合、Aがサーバーの役割を担い、Bがクライアントになる、またその逆も然りです。

P2Pの対極にあるのが、クライアントサーバ型システムです。サーバーは固定されており、クライアント側と役割が入れ替わる事はありません。

P2Pは、C2Cに類似した概念とも言えます。

C2CはConsumer to Consumerで、個人間商取引と訳されます。B2B(Business to Business)は、企業間商取引、B2C(Business to Consumer)という形態もあります。

資金移動業者

トランスファーワイズ・ジャパン株式会社は、英国TransferWise Ltd. FCA登録番号900507号の100%子会社の日本法人です。 関東財務局長 第 00040 号 加入団体 一般社団法人 日本資金決済協会 第一種会員

引用元リンク: https://transferwise.com/jp

トランスファーワイズ・ジャパンですが、関東財務局に登録されている最新の資金移動業者リストのリンクを念のため貼っておきます。
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shikin_idou.pdf

親会社の英国TransferWiseですが、リンク先を開くと、以下の文言を確認する事ができます。やはり銀行ではありませんね。

TransferWise Limited

Authorised Electronic Money Institution  A firm that we have given permission to issue electronic money (e-money) and provide payment services.

引用元リンク: https://register.fca.org.uk/ShPo_FirmDetailsPage?id=001b000001EjC6SAAV

そして英国のEU離脱(ブレグジット)対応で、EU域内での営業を続ける為に、 ベルギーに拠点を作り新たにライセンスを取得しています。以下は公式サイトの抜粋です。

英国がEUを離脱した場合、当社はブリュッセルの新しいオフィスから欧州経済地域(EEA)の顧客にサービスを提供します。 従って、欧州経済地域(EEA)のお客様は当社の欧州支店:TransferWise Europe SA/NVと顧客契約を締結することとなります。

TransferWise Europeは、the National Bank of Belgiumによって規制されます。 これは、ベルギーの法律がお客様のTransferWiseアカウント、取引、および顧客契約に基づくお客様の権利に適用されることを意味します。 TransferWiseで送金またはボーダレス口座を利用される場合、TransferWise Europeから送金サービスが提供されます。

引用元リンク: https://transferwise.com/ja/help/11/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%88/2952790/how-will-brexit-affect-transferwise-if-theres-no-deal

その他の国は、公式サイトから詳細確認可能です。

銀行との違い

トランスファーワイズと同じ業種が、Revolut(レボリュート)です。

資金移動業者と銀行には超えられない壁がありますが、別途投稿した記事に詳しく説明していますので、そちらを是非ご覧下さい。

3つのポリシー

トランスファーワイズは彼らが何者なのか、どういう理念に基づいて会社を作るに至ったのか、非常に分かりやすいです。

  • 常に透明性を持つこと
  • 可能な限り手数料を控えること
  • 常に最高のサービスを提供すること

個人的な感想ですが、トランスファーワイズの公式サイトやブログなどを読んでいると、スタートアップ特有の軽いノリが皆無で、企業としてしっかりとした倫理感を兼ね揃えている印象があります。

創業者のストーリーは余りに有名だと思います。日本語でも公式サイトに掲載されていますので、もし読まれてなければ、ご一読下さい!

https://transferwise.com/jp/about

業界で異彩を放つ、5つの理由

前置きが長くなってしまいましたが、本題に入ります。

SWIFTを使わない発想の転換

テクニカル的な話になりますが、トランスファーワイズはSWIFT経由ではない*送金方法を用いて、海外送金を実現した点が特徴的です。

*送金金額によっては、SWIFT経由になります。


SWIFTとは、Society for Worldwide Interbank Financialの頭文字をとったもので、国際銀行間通信協会と訳されます。
https://www.swift.com/about-us

いわば世界のスタンダードで、金融機関同士で行う国際決済が、このSWIFTを通じて行われてきたのです。


では、SWIFTを使わないで、どうやってトランスファーワイズが海外送金を実現させたかですが、これがまさに、創業者のストーリーそのものです。

つまりトランスファーワイズを使う事によって、外国為替ではなく内国為替扱いになるという訳です。

ユーザー自身の立場からみると、お金の流れは、国を跨ぎません。
送金元、送金先、それぞれの国内で取引が完結します。

ただただ革新的なアイデアです。

プラットフォーム戦略

プラットフォーム戦略については、N26に関する記事で、説明していますので、そちらの投稿記事をご覧いただけたらと思います。


トランスファーワイズに関しては、自らがプラットフォームを提供する側でありながら、同時に他のプラットフォームに参加する事で、事業を拡大中です。


プラットフォームを、提供する側と参加する側、両輪であるところが他社との大きな違いです。

執筆時点で確認できる限り、トランスファーワイズは以下の金融機関と提携しています。

提携先業種創業
イギリスMonzo銀行2015年
ドイツN26銀行2013年
フランスBPCE協同組合2009年*
オランダBunq銀行2012年
ポルトガルActivoBank銀行1994年
エストニアLHV銀行1999年
アメリカNovo銀行プラットフォーム2016年
アメリカStanford FCU信用組合1959年
カナダEQ銀行1970年**
オーストラリアUp!銀行2018年

*BPCE合併前身の2社は1818年、1878年創業
**EQの母体である、Equitable bankが創業した年

中でもフランスのBPCE(国内で二番目に大きな銀行)、アメリカのStanford Federal Credit Unionなんか、地域金融機関として地位を築き上げている先ですが、そういった老舗と、トランスファーワイズがパートナーを組んでいるというのは、伝統と新技術満載フィンテックとの融合であり、大変興味深いです。

フィンテック企業で、トランスファーワイズほど提供企業を増やしている会社は、他に無いのではないでしょうか。

競争から協創に持ち込んでいるのも、トランスファーワイズの経営センスが際立っているポイントと言えます。

絶妙な手数料設定

安さだけで勝負しないのも、わたしがトランスファーワイズを好んでいる理由です。

当然、一消費者としては、なんでも安いに越したことはありません。
でも、「ただほど高いものは無い」、という言葉があるように、安さの裏側には絶対に何かあります。

それは、寡占がすすんでいった時の値上げかもしれませんし、従業員や提携先企業、或いは株主への犠牲により、安さが成り立っている場合もあるかも分かりません。

ユーザーを欺いたり、騙すほどの手数料を課すのは、心理的に受け入れられませんが、ユーザーにより良いサービスを提供し続ける為、企業は適正な手数料を受け取る必要があります

話がそれますが、日本の場合は、いかに安く提供するか、というチキンレースに否応なく引きずりこまれている印象が強いです。

トランスファーワイズに関しては、例えば同じ資金移動業者であるレボリュートのように、例えば為替手数料がゼロではないものの、(SWIFTを用いる)伝統的な銀行よりは、安い手数料体系になっています。

もっとも、レボリュートでも一定の取引額に達したり、週末など市場が閉まっている時は、通貨ペアなどの条件もありますが、トランスファーワイズの方が、手数料が安い場合もあります。

トランスファーワイズの思想に共感する人が、手数料ゼロではないが、銀行より安いし、銀行では無いけど、信頼するに値するから使っているんだと思います。

わたしが、まさにその内の一人です。

そして、手数料を安くできる理由も、従来のようなSWIFT経由では無いから、というのが至って明白です。

P2Pだけど、実態はB2C

トランスファーワイズの場合、確かにP2P(Peer to Peer)技術をもとにしたサービスを提供していますが、実際のところB2C(Business to Consumer)で、ユーザーの対面に立つのは、各国現地のトランスファーワイズです。

これも良く考えられていると思います。

P2Pレンディングとか、ウーバー、エアビーアンドビーなど、個人と個人を直結させるビジネスって結構増えてきていると思いますが、お金を扱う分野に関しては、ちょっと相手が目に見えないし、何より本当に相手を信用できるか不安ですよね。

それをトランスファーワイズが、取引の相手方になることで、ユーザーの不安感を取り除いてくれる訳です。

これが、もし単にあなたの希望する取引にマッチする相手方が、個人として紹介されるだけだったならば、ここまでトランスファーワイズが成長しなかったんだろうなと思います。

また資金に関しては、分別保管されるので、やはり個人との取引よりは安心感があります。

但し、トランスファーワイズに預け入れした資金は、いわゆる預金保険の対象にはならないので、注意が必要です。

早期に、黒字化を達成

手数料設定が絶妙という話をしましたが、トランスファーワイズは創業2011年にも関わらず、2017年3月期から4年連続で、黒字化達成を記録中(2020年3月期の純利益は、21.3百万ポンドと前年同期比2倍以上)という、フィンテック界の優等生です。

トランスファーワイズの、最新アニュアル・レポートのリンクです。
2019年3月期は、税引後当期純利益で21.3百万ポンド(前年度対比+206.8%)です。
https://transferwise.com/gb/blog/annualreport2019


例えばイギリスMonzoは、2019年2月期で47.2百万ポンドの赤字を、2020年2月期で113.8百万ポンドの赤字を、またイギリスRevolut(レボリュート)は2018年12月期でFinancial Times記事によると33百万ポンドの赤字を、2019年12月期でCNBS記事によると106.5百万ポンドの赤字をそれぞれ計上しています。

Monzoに関しては2020年2月期のアニュアル・レポートで、COVID-19による継続企業の前提(Going concern)に言及した事で、ざわざわしていたかと思います。

Revolutは私の探し方が良く無いせいか、そもそも開示していないのかアニュアル・レポートを見つける事ができませんでした。


ポイントは、どんなに市場で高く評価されていても、事業収益を黒字化させないと単に資本を食い潰している事になるので、それこそ継続企業の前提が問われる事になります。

改善点を挙げるとしたら

トランスファーワイズには、概ね満足していますが、敢えて改善点を挙げるとしたら、3つあります。

外貨のまま送金ができない

言い換えると、送金時点で為替を確定させないといけない点です。

例えば、ドイツからユーロを使って、日本に送金すると、日本の口座では、円建てでしか受け取ることができません。

日本にあるユーロ建て口座で、ユーロのまま受け取って、自分の好きなタイミングで、円に両替する事ができないのです。

ただし、P2Pでマッチングさせるという、トランスファーワイズの成り立ちを鑑みると、外貨のまま送金というのは、その趣旨に反しますし、外貨のまま送金してしまってはSWIFT扱いになるので、なかなか難しそうな問題です。

送金額の上限

海外から日本への送金ですが、100万円以上も可能です。
但し、100万円以上だとSWIFT扱いになってしまいます。

SWIFT扱いになって困るのが、海外在住者などマイナンバーが無い人です。

P2Pで、マッチングさせるのに大金が向かないのが、ポイントでは決してありません。

日本・円(JPY)へ送金する

受取人情報は何が必要ですか?
SWIFT / BICコード — 海外から100万円以上を送金する場合に必要となります

送金上限金額はありますか?
上限額は送金する通貨によって異なります。送金元通貨のページにて詳細を確認ください。

引用元リンク: https://transferwise.com/ja/help/14/%E9%80%9A%E8%B2%A8/2932156/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%86%86jpy%E3%81%AE%E9%80%81%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6#h_33934147-35c7-43ed-b410-7b2482f111fa

小口分散して送金すれば、一応は問題解決になります。

マイナンバー制度

最後は、トランスファーワイズに対する改善点というよりは、日本国内の規則なので致し方ありません。

  • 海外から日本へ送金=マイナンバーなくてもOK。国内送金扱いですね。
  • 日本から海外への送金=マイナンバー必須。海外送金扱いになってしまいます。

マイナンバー難民って、海外在住者に多いのではないでしょうか。
海外在住者の事を、完全に無視していて制度として破綻していますよね…

まとめ

いかがでしたでしょうか、最後にもう一度、トランスファーワイズが業界で異彩を放つ、5つの理由を記しておきます。

  1. SWIFTを使わない発想の転換
  2. プラットフォーム戦略
  3. 絶妙な手数料設定
  4. P2Pだけど、実態はB2C
  5. 早期に、黒字化を達成

トランスファーワイズの提携先は現在、ヨーロッパに加えて北米、オーストラリアとなっていますが、日本含むアジアでの今後の展開が気になるところです。

執筆時点で、日本未上陸のトランスファーワイズ「ボーダレス口座」について、欧州で実際に使ってみた感想を、まとめた記事を別途投稿しています。



そして繰り返しですが、安い・早い・簡単!と三拍子が揃い、日本語で使える海外送金サービスのトランスファーワイズ (TransferWise)は、本当におすすめです!


※本文は以上です。
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