【預金保険の対象外】ワイズのボーダレス口座、デビットカードの使い方

ワイズ(旧TransferWise)と言えば、手軽にアカウントを開設でき、海外送金手数料が安い事から、多くの人が既に利用されているかと思います。

創業2011年のワイズは、従来の海外送金サービスに加え、新たに2018年、イギリスやヨーロッパ圏で、ボーダレス口座(borderless account)と、同口座に紐づくWiseデビットカードの取扱いを開始しました。

随時、ボーダレス口座の対象国は拡大しているようで、日本国内での利用も不可となったようです。

欧州在住者としてボーダレス口座や、Wiseデビットカードを実際に数年使ってみた感想や注意点をまとめてみました。

ボーダレス口座(マルチカレンシー口座)は、やや癖がありますが、特に外貨の収入がある個人事業主・フリーランス・アフィリエイター等の人にとっては、かなりおすすめできます。

居住国以外の通貨で収入が無い人、定期的に海外送金をしない人、個人的な旅行程度でしか外貨を使う機会が無い人は、ボーダレス口座を保有しても、そこまでメリットが無いかもしれません。

ボーダレス口座とは何か知りたい人、これから使おうと検討している人の参考になれば幸いです。

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預金保険制度の対象外(銀行では無い)

2018年以前からワイズを使われている方は、認識している人も多いかと思いますが、注意喚起という意味で、改めて説明したいと思います。

ワイズは銀行ではありません。

銀行口座情報が付与されるけど

2018年以降ボーダレス口座のサービス開始に伴い、一部の国と通貨で、ワイズのユーザーに銀行口座情報が付与されるようになりました。

銀行口座情報が付与された事で、何が変わったかというと、デビットカードやダイレクトデビット等が一部の国で使えるようになりました。

デビッドカードやダイレクトデビットは、今まで銀行でなければ扱えない商品でした。

それが海外送金事業を営んでいたワイズのサービスに加わった為、断片的に情報を読んだ人など、「ワイズ=銀行口座情報が付与される=銀行」と勘違いしている場合が、少なからずあるようです。

もはや海外現地の銀行に行かず、ワイズのボーダレス口座さえ開設すれば資金決済周りは十分、みたいな記事も散見します。

確かに便利です、しかしワイズは銀行免許を持っていません

ボーダレス口座(マルチカレンシー口座)を保有しても、それは電子マネーに過ぎず、ワイズに預け入れた資金は、各国の預金保険制度の対象外なので注意が必要です。

ボーダレス口座のイメージとしては、プリペイドカードみたいなものです。

あなたはプリペイドカードに、毎月の給与振込先の指定をしたり、大金をチャージしたりしないですよね。

資金移動業者

ではワイズが銀行でなければ何なのかというと、資金移動業者です。

トランスファーワイズ・ジャパン株式会社は、英国TransferWise Ltd. FCA登録番号900507号の100%子会社の日本法人です。 関東財務局長 第 00040 号 加入団体 一般社団法人 日本資金決済協会 第一種会員

引用元リンク: https://transferwise.com/jp

トランスファーワイズ・ジャパンですが、関東財務局に登録されている最新の資金移動業者リストのリンクを念のため貼っておきます。
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shikin_idou.pdf



親会社の英国Wiseですが、英国金融行動監視機構(FCA)で以下文言を確認する事ができます。

英国Wiseは、FCAにより認可された”Electronic Money Institution”、となっています。やはり銀行ではありませんね。

TransferWise Limited

Authorised Electronic Money Institution  A firm that we have given permission to issue electronic money (e-money) and provide payment services.

引用元リンク: https://register.fca.org.uk/ShPo_FirmDetailsPage?id=001b000001EjC6SAAV



そして英国のEU離脱(ブレグジット)対応で、EU域内での営業を続ける為に、 ベルギーに拠点を作り新たに資金移動業者としてのライセンスを取得しています。以下は公式サイトの抜粋です。

英国がEUを離脱した場合、当社はブリュッセルの新しいオフィスから欧州経済地域(EEA)の顧客にサービスを提供します。 従って、欧州経済地域(EEA)のお客様は当社の欧州支店:TransferWise Europe SA/NVと顧客契約を締結することとなります。

TransferWise Europeは、the National Bank of Belgiumによって規制されます。 これは、ベルギーの法律がお客様のTransferWiseアカウント、取引、および顧客契約に基づくお客様の権利に適用されることを意味します。 TransferWiseで送金またはボーダレス口座を利用される場合、TransferWise Europeから送金サービスが提供されます。

引用元リンク: https://transferwise.com/ja/help/11/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%88/2952790/how-will-brexit-affect-transferwise-if-theres-no-deal

その他の国は、公式サイトから詳細確認可能ですが、何れも銀行免許を取得した事例は、創業から現在に至るまで一件もありません。

但し資金移動業者といえども、規制当局からライセンスを取得しているので、銀行では無いから安心できない、というものでは決してないかと思います。

資金移動業者と銀行の違い

消費者の視点で最も気になるであろう、資金移動業者と銀行の一番の違いは、預金保護の有無ではないでしょうか。

両者には、預金保険制度という超えられない壁が存在します。

ワイズもレボリュートも、同じ資金移動業者(An Electric Money Institution)なので、顧客が預け入れた資金は、外部の銀行に分別保管されます。

しかし、資金移動業者や分別保管先の銀行が破綻した場合などは、銀行のように預金保険制度が適用されない為、最悪ワイズ(やレボリュート)に預け入れたお金が戻ってこないリスクがあります。

見落とされがちなのが、分別保管先の銀行は、通常その国において預金保険制度の対象ですが、あなたが分別保管先の銀行に直接資金を預け入れている訳ではないので、預金保険制度はやはり適用されません。

2018年より以前ボーダレス口座がロンチされるまでは、そもそもワイズは海外送金事業しかやっていなかったので、「銀行口座に資金を預入れする」という概念が、今のように無かったと思います。

ボーダレス口座(borderless account)とは

ワイズのボーダレス口座とは何か、簡単に説明するとしたら、概ね以下の通りです。

  • 40以上のマルチカレンシー対応
  • 海外現地の銀行口座情報を取得可能
  • 口座と紐づくデビットカード(Google Pay対応)が利用可能
  • ダイレクトデビットの設定が可能(現状GBP、EURのみ)
  • ボーダレス口座内の両替は、為替がミッドマーケットと更にお得


一番の目玉は、海外現地の銀行口座情報が取得できる点ですね。このサービスは衝撃的でした。

ダイレクトデビットに関しては、関連記事を投稿していますので、合わせてご確認下さい。



プリペイドカードのレボリュート(Revolut)もマルチカレンシー対応で取扱い可能な通貨はたくさんありますが、(わたしのように欧州在住者の場合)IBANとBICコード、SORTコード位で、ワイズほどたくさんの現地銀行口座情報を取得できません。



デビットカードは、世界中マスターカード(Mastercard)が使える場所であれば、手数料無しで使えます。



少しくどいですが、ボーダレス口座は銀行口座情報が付与されますが、(ワイズが銀行では無い為)銀行預金ではありませんプリペイドカード位の認識でいた方が良いです。

誰が使えるのか

  • ワイズのユーザー
  • マルチカレンシー口座を持つ人
  • 該当する国の居住者

マルチカレンシー口座利用不可の国
アフガニスタン
ブルンジ
中央アフリカ共和国
チャド
コンゴ共和国
クリミア
キューバ
コンゴ民主共和国
エリトリア
香港
インド
イラン
イラク
日本
北朝鮮
セヴァストポリ(都市)
ソマリア
南スーダン共和国
リビア州
スーダン
シリア・アラブ共和国
米国の領土
ベネズエラ
イエメン

マルチカレンシー口座利用不可の米国の州
ハワイ(HI)
ナバダ(NV)

引用元リンク:https://transferwise.com/ja/help/17/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%8F%A3%E5%BA%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%A9%E7%94%A8%E4%B8%8D%E5%8F%AF/2813542/%E3%81%AA%E3%81%9B%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%8F%A3%E5%BA%A7%E3%81%AE%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%8B%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%8B

海外現地の銀行口座情報、どの国が対象なのか

執筆時点では、以下の通り6か国の銀行口座情報を保有できます。それぞれ現地の口座という点が肝です。

これらの現地銀行口座情報を、1つのアカウントで持てるって、本当にすごい時代になりました。便利過ぎます。

同じ通貨建ての銀行振込により、以下の各通貨をボーダレス口座で受取る(チャージする)場合、手数料は無料です。

通貨現地口座情報
米ドル
(USD)
アメリカSWIFT/BIC、ACH・ABA、
ワイヤー送金番号、口座番号
英ポンド
(GBP)
イギリスSORTコード、口座番号
IBAN
ユーロ
(EUR)
ベルギー(ユーロ圏)SWIFT/BIC、IBAN
オーストラリア・ドル
(AUD)
オーストラリアBSBコード、口座番号
ニュージーランド・ドル
(NZD)
ニュージーランド口座番号
ポーランド・ズロチ
(PLN)
ポーランド口座番号

通貨ユーロについては、ベルギー拠点がEUパスポーティングによりEU圏を管轄しています。

手数料は基本的に無料

  • ボーダレス(マルチカレンシー)口座の開設・維持手数料は無料
  • 50以上の通貨に対応
  • 銀行口座情報に係る6つの通貨は、銀行振込みによる資金の受取が無料
  • デビットカードやクレジットカードでのチャージは、若干の手数料あり
  • マルチカレンシー口座内での両替は、ミッドマーケットレート
  • マルチカレンシー口座から、他人のマルチカレンシー口座への送金は無料
  • マルチカレンシー口座から、ワイズ以外の口座への送金は、固定の手数料が発生
  • Wiseデビッドカードでの決済は、同通貨の口座残高があれば手数料無料。口座残高不足であれば、両替手数料のみ発生。
  • Wiseデビッドカードを用いて、国内外のATMで出金可能。毎月200ポンド相当まで無料、それ以上は2%の手数料。マルチカレンシー口座に、残高が無い場合は、両替手数料が発生


マルチカレンシー口座内での両替は、ミッドマーケットレートとかなり魅力的です。しかしワイズ以外の口座へ送金したい場合、固定の手数料が発生するのが、やや難点と言えます。



なおWiseデビットカードですが、以前は物理カード発行及び郵送の手数料が無料でしたが、2020年5月から有料に。

マルチカレンシー口座の手数料について、公式サイトで日本語の説明があるので、詳しくはそちらをご参照下さい。


最後に

ボーダレス口座を通して、海外現地の銀行口座情報を持てるので、ワイズは銀行と勘違いしている人が、少なからずいそうなので、今回まとめてみました。

海外在住者であれば、現地で預金保険制度対象の銀行をメインに使い、ワイズはサブで使うのが良いと思います。



特に外貨の収入がある個人事業主・フリーランス・アフィリエイター等の人にとっては、ワイズのボーダレス口座を使うメリットが大きいと思います。

海外現地に赴かなくても、6つの通貨で現地銀行口座を持てますからね。

居住国以外の通貨で収入がなく、定期的に海外送金をせず、個人的な海外旅行位でしか外貨を使わない場合、ワイズのボーダレス口座ではなくて、レボリュートの方が、使い勝手が良いかもしれません。

ワイズもレボリュートも、簡単にアカウントを開設できるので、両方持っていても損は無いですが。実際に使っていて、どちらも大変おすすめです!



※本文は以上です。
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