なぜドイツは現金社会、3つの理由とは

スポンサーリンク

ドイツに住んでいて、なにかと現金社会だなと感じる事が多いです。

若者でさえカードやAppでは無く、現金払いをしている場面を、良く見かけます。

またスーパーで買い物をする際、レジの人に何も伝えないと、基本的に現金で支払うと思われる事が多いです。
以前住んでいたイギリスでは、デフォルトでカード決済と思われるので、レジの人の感覚が正反対です(といっても、ドイツ人とイギリス人の共通点を挙げる方が難しいですが)。

ATMを例に挙げると、ドイツでは至る所に設置されているので、容易に見つける事ができます。無駄に多い気もします。

実際、ドイツに旅行できた事がある人や、住んでいる人は、思い当たる節があるのではないでしょうか。

そこで、なぜドイツ人は現金を好むのか、自分なりに調べてみました。

定量的に補足するのが難しい問題なので、あくまでも個人の感想ですが、本記事で数値化できているソース元は、コメントが無い限り、全てEurostatです。

ドイツはEU内ワースト5、キャッシュレス後進国

まずは、事実としてEU内でのキャッシュレス決済比率が、どの位なのかご覧ください。

ドイツは、EUを牽引する経済大国(2018年EU28か国中、割合としては21%でトップ。2-3位はイギリス、フランスと続き、それぞれ約15%位)ですが、キャッシュレス決済率は、EU平均値を大きく下回り、ワースト5入りしています。

そしてドイツのカード決済比率ですが、 ざっくり2割弱です。
2014年と比較しても、対して変わっておりません。

ドイツ国内では、8割程度が現金決済って衝撃的じゃないですか?
今2020年なんですけど。

因みにイギリスのカード決済比率は、7割程度です。
コンタクトレスで、さくっと買い物するあの感覚が、今となっては懐かしいです。

ドイツ人の現金に対する、3つの思想

人々の考えなので、なかなか定量化が難しいものの、ドイツ人に聞いたり、各種情報をまとめてみると、ドイツ人の現金に対する考えとして、以下3つのポイントが浮かび上がってきました。

歴史的な経緯

歴史的な経緯から、国家や銀行、金融システムというものに懐疑的な面が少なからずありそうです。

第一次世界大戦後の1923年、ドイツではハイパーインフレにより、現金が文字通り無価値になりました。
インフレとは、物の価値があがり、お金の価値がさがる事です。

このイベントが、今もなお人々に記憶に、刷り込まれていると言われています。

理由は、第一次世界大戦の敗戦国ドイツに、支払い能力を優に超える賠償金が課され、結果的に財政破綻したからです。

あまりにお金の価値が下がり、100兆マルクという超高額紙幣が作られた位です。紙幣の枚数ではなく、重さで取引されていたとか、パピエルマルク(紙屑のマルク)と呼ばれてたり、この時代のハイパーインフレに関するエピソードは、たくさんあります。



第二次世界大戦にかけては、ナチスによる独裁体制もありましたね。


根底には、世の中の現金が、カードや電子マネー等に代わられると、自信のコントロールが及ばなくなる事を、ドイツ人は恐れているようです。

多くのドイツ人が、いわゆるタンス預金をしていると言われています。
タンス預金に通ずるものがありますが、ドイツ人は現金払いに強い執着心があります。



逸話なのかもしれませんが、高額紙幣である500ユーロ札の導入は、当時ドイツマルクをギブアップする譲歩として、ドイツがEU側に交渉したとかしないとか。

既に500ユーロ札の新規発行は、2019年4月27日を以て終了していますが、それ以前に偽造紙幣への懸念等から、高額紙幣はお店で使えない場合も多かったかと思います。

なくなくドイツが500ユーロ発行を取りやめた際には、ドイツ連邦銀行がメッセージを出しています。
メッセージでは、ドイツ人の現金使用への強いこだわりが感じられます。

借金を嫌う国民性

繰り返します、ドイツはEUを牽引する経済大国なのに、実は持ち家率が50%程度と、EU27か国の中で堂々のワースト1位です。

EU27か国の、持ち家率平均値は、約70%です。

インフレを恐れるなら、対策として、真っ先に不動産物件の購入が思いつきますが、ドイツでは、持ち家率が低い
という。

借金を嫌うのと同時に、倹約家としても、ドイツ人は有名だと思います。

しばしば、ドイツ人がいない場で、他のヨーロッパ諸国出身の人が、ドイツ人のケチさをからかったり、またドイツ人自身ケチというのを自覚しているので、自虐的に笑いに昇華させたりしています。むしろ、誇らしげに語ったりさえします。

イギリスでは、仕事帰りのパブ文化がありますが、ドイツにはありません。クリスマスは別ですが、通常は仕事帰りに一杯などなく、まっすぐ家に帰る人が多いです。

では一体何に、お金を一番使うかというと、多くのドイツ人は旅行と回答する人が多い印象です。

ソース元は国連世界観光機関(UNWTO)ですが日本政府観光局によると、ドイツ人の海外出国者数が、人口に対して111.4%という数値なんです。

同一人物でも出国につき、一回カウントされるので、ドイツ全国民が海外に行っているとは限りませんが、それでも100%超えというのは驚きです。

身近にいるドイツ人ですが、確かに毎年夏休み休暇については、並々ならず覚悟で計画立てています。

現金支払いの匿名性

極端な管理社会を嫌うドイツでは、個人の支出や支払い場所など、カード払い等で、不要に個人情報が残る事を避ける傾向が強いです。

わたしはAppで簡単に、いつ・どこで・何に対して支払ったか、手元ですぐに分かる方が便利だと思うのですが、多くのドイツ人は違う考えのようです。

また、ドイツ人がという事を言いたい訳では決してありませんが、お金には色がないので、帳簿外取引(脱税目的)で使われるのは、世界共通ですね。

現金社会を支える、充実のドイツ国内ATM網

ドイツ国内のATM設置台数は、EUの中で、ぶっちぎりの一位です!
EU27か国の総ATM設置台数の、約1/4弱がドイツです。ドイツ頑張り過ぎですよね。

順位ATM台数
1位ドイツ85,900
2位フランス54,900
3位スペイン53,400
4位イタリア47,700
5位ポーランド29,900
EU27か国平均13,400

                        

絶対数ではなく、人口(一千人あたりATM台数)や、面積(一平方㎞あたりATM台数)で比較した場合も、ドイツはEU内で、何れもトップ5に入ります。

順位ATM台数/一千人
1位オーストリア1.45
2位ポルトガル1.37
3位クロアチア1.27
4位スペイン1.14
5位ドイツ1.04
EU27か国平均0.81


続いて 、一平方kmあたりATM設置台数です。

順位ATM台数/一平方㎞
1位マルタ0.63
2位ベルギー0.32
3位ドイツ0.24
4位ルクセンブルグ0.23
5位イタリア0.16
EU27か国平均0.09

マルタは、そもそも国土面積が小さい(316平方kmで、淡路島の半分程度)ので、数値が飛びぬけています。

ドイツは、どの都市にいっても、ATMを見つけるのには苦労しません。

ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)あるある

調査レポート

2018年2月14日付けドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)の調査レポート抜粋です。

あくまでも調査レポートなので、ユーロスタットの統計と必ずしも、マッチしませんが、いかにドイツ人が現金好きか分かるかと思います。

https://www.bundesbank.de/en/tasks/topics/cash-remains-the-most-favoured-means-of-payment-667578

  • 回答者の88%は、現在も将来も、現金支払いを強く希望
  • 回答者の80%が、現金使用のメリットに匿名性をあげる
  • 現状の現金支払い方法に、皆概ね満足
  • お財布には、平均107ユーロの現金

一方、18-24歳など若いグループの内、四人に一人は、スマホAppなどでの送金に興味あり、との回答も。

単なる調査なので(実際の質問内容を読んだ訳ではないので)、なんともですが、若者の四人に一人って、少なっ!!

わたしも、ドイツに引越してきてからは、常にお財布の中には、100ユーロは入っています。
イギリスに住んでいた時は、ほとんど現金を使わないので、お財布にお金をいれておらず、ATMも全然行かなかったです。

このご時勢に、現金に係るコンファレンス

Fintech(フィンテック)や、 中央銀行発行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)などに関するセミナーを開催している国が多くある中、このご時勢に中央銀行である、ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)がInternational Cash Conferenceたるものを開催しています…直近は2019年9月、3日間に及びありました。

四回目の開催だったのですが、時代に逆行するカンファレンス名が、なんともシュールですよね。

プログラム内容を読むと、一応デジタルなトピックも多少はあったようです。

お金にまつわる、ドイツ語の表現

ドイツ語で、“Über Geld spricht man nicht, man hat es.”という表現があります。

英語にすると、”You do not talk about money, you have it”となります。人前で、お金について話すのは、あまりよろしくない、という意味です。

それこそ、昔はお金について話すことはタブーだったようです。ただ最近では敢えて、お金について話す“Über Geld spricht man”、という言葉を聞きます。

「お金を稼ぐ」ですが、ドイツ語では“Geld verdienen”という表現があります。動詞には、「稼ぐ」だけでなく、「値する」とか、「価値がある」という意味もあります。

例えば、アメリカだとあまりアカデミックな言い方ではありませんが、“Make money”と言ったりします。起業家(フロンティア)精神満載というか、なんともアメリカンな表現ですよね。



その他、ドイツ語では、お金にまつわるスラングとして、灰やカエル、マウスといった表現もあり(どれも肯定的では無い単語)、改めてドイツ人のお金に対する関わり方が、垣間見えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか、ドイツでの日常生活でいかに、わたしが現金払いを強いられているか、おかわりいただけましたでしょうか…

少なくとも何世代か交代しないと、ドイツ国内のキャッシュレス化は、全く進む気がしません!
以上、3つのポイントを、最後にまた挙げておきます。

  • 歴史的な経緯
  • 借金を嫌う国民性
  • 現金支払いの匿名性


伝統的な現金支払い方法に満足しているとなると、N26などのITを最大限活用したチャレンジャーバンクなどは、一見するとドイツ人には、ニーズが無さそうに思えます。

というのも、現金ではなく、カード払いやApple/Google Payなどで、可能な限り支払いを集約するからこそ、予算管理はじめ、Fintechと言われるN26などのAppを使うメリットを、より享受できるからです。


ドイツ国内の主要なネット銀行を比較した記事で書きましたが、Appランクでは伝統的な銀行の方が、N26より高い順位だったのを覚えています。

N26の創業者はオーストリア人で、オーストリアも国的には、ドイツと同じく現金社会です。
現金大好きで、決済に関しては超アナログな国から、革新的なネオバンクがうまれたのは、実に興味深いですよね。

一般的にネオバンクは、伝統的な銀行に対してチャレンジしている、という風に捉えられがちですが、N26に関しては、ドイツ(やオーストリアなど)の現金社会にチャレンジしている、とも言えるかと思います。





※本文は以上です。
もし記事を気に入っていただけたら、是非、SNS等でシェアいただけたらと思います!

記事一覧は、サイトマップから確認できます。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました