ビールは飲むパン!エール(Ale)とラガー(Lager)の違い

栄養価がそれなりにある為、ドイツでは「ビールは飲むパン」と、今もなお呼ばれていたりします。

ビールとパンは、どちらも麦を原材料として発酵させて作られる共通点がありますね。


日本国内で消費されているビールのほとんどがラガー(Lager)ですが、エール(Ale)と呼ばれる種類も存在します。

本記事ではドイツ在住(引越前はイギリスにも)の筆者が、エールとラガーの違い簡単な歴史を説明したいと思います。

わたしは正直、渡英するまで意識した事が無かったのですが、ビールの好き嫌いに関係無く、異文化理解の1つとして、ヨーロッパ内、特にイギリスやベルギーと関りがあったり訪れる予定の方は、覚えておいて損は無いかと思います!

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ビールには3種類の発酵

ビール作りに使われる酵母は、特定の温度に達すると、ビールの成分である麦芽、大麦、ホップ等に含まれている砂糖を食べて、炭酸ガスとアルコールに分解する菌です。

発酵が起こる温度は、使用される酵母の種類に関係しています。

一部の自然発酵のビールを除くと、世界で飲まれているビールは上面発酵下面発酵の2種類に分類できます。

日本含め世界的に現在主流となっているビールは、下面発酵です。

エール(Ale)とは、上面発酵ビール

イギリスのパブ文化と言えばビール、エール(Ale)の生ぬるさに驚かされた人も多い筈です。

ビールはキンキンに冷やして飲むものと、日本人であれば無意識に植え付けられているかと思います。


話が逸れますが、仕事だったり勉強などは座ってするもの、という固定概念も海外に出るまで持っていました。



日本で消費されるビールのほとんどは、後述するラガー(Lager)に分類されます。商品名にラガーという文字が使われていたりしますね。

エールは上面発酵といって、常温(通常15-20℃程度)で機能する酵母を使ったビールです。発酵中に酵母が、麦汁の上部に浮き上がるので、上面発酵と言います。

ハーブやスパイスなどで味付けされていたりして、喉越し感より味や香りを楽しむものです。


中世に遡る事、エールは高い栄養価を誇る飲み物として、子ども含め日常的に水分補給目的で摂っていたと言われています。

当時は水を煮沸消毒して飲むより、アルコールを含んだエールの方が安全性が高った側面も指摘されています。



因みにエールが生ぬるいのは、味や香りを楽しむためです。

ラガーのように低い温度(冷たくごまかさないと)にしないと、美味く飲めないのは、そもそも味が良くないから、と考えるイギリス人もいるようです。

この議論は平行線で、終わりがなさそうです。

日本で真夏日を過ごしたイギリス人が、果たしてエールとラガーのどちらを選ぶかは、一度実験してみたいです。イギリスは夏でも半袖を着る機会は、ほとんどありません。

わたしがイギリスに住んでいて最後まで慣れなかったのは、生ぬるいエールと独特のソーセージです。



エールは伝統的にイギリスやベルギーで発達した経緯があり、現在も両国では主流のビールと言えます。

代表的なエールをいくつか挙げてみます。

  • ペールエール (Pale ale)
  • インディアペールエール (Indea pale ale = IPA)
  • アンバーエール (Amber ale)
  • スタウト (Stout)
  • ポーター (Porter)


なおイギリスのパブ(前払い)では、注文・お会計はテーブルやグループごとにまとめてする、ラウンドと呼ばれるシステムがあります。

例えば5人でパブにいったら、1人が全員分のビールを購入×5ラウンド、みたいなイメージです。

必ずしも人数分ラウンドする必要はありません。

複数人であるにも関わらず個別にお会計する行為、また飲んでばかりで支払いを全くしない行為は野暮なのでお気を付けください。

ラガー(Lager)とは、下面発酵ビール

ラガー(Lager)はドイツ発祥の醸造方法で、「貯蔵」を意味するドイツ語由来です。

ドイツ南部に位置するバイエルン人が、低温でも酵母が発酵する事に気付き、ラガーが誕生しました。

当時は、寒くなる冬に洞窟で発酵させて保存していたものを、春に飲んでいたそうです。


ラガーは下面発酵といって、機能するのに長時間低温(通常5-10℃程度)にしておく必要がある酵母を使ったビールです。発酵の終わりに酵母が沈降するので、下面発酵と言います。


冷蔵庫が発明され時期を問わずに作れるようになったのと、のどの渇きを潤すのに低温ビールが受けたなどの理由から、19世紀以降はラガーが瞬く間に世界に広がり、ビールの主流となりました。

アルコールではありませんが、コーラやファンタなど炭酸飲料も冷たいと美味しいですよね。


代表的なラガーをいくつか挙げてみます。

  • ピルスナー (Pilsner)
  • ボック (Bock)
  • デュンケル (Dunkel)
  • ババリア (Barvaria)
  • ミュンヘナー (Münchner)
  • ハイネケン (Heineken)


ドイツ(人)の特徴として、お会計はテーブルやグループごとにまとめてではなくて、個別にする事が多く、店員さんも”Zusammen oder getrennt ?”と尋ねてきます。

「一緒か、個別に(支払う)?」、という意味です。


良く言えば倹約家、悪く言えばケチとしてヨーロッパ内でも一目置かれるドイツ人は、「ゲトレント」率が高いかと思います。

最後に

ラガーとエールの違いですが、最後に表にしておきます。

両者の違いは、必ずしも味や色、アルコール度数では無い事が分かるかと思います。

種類エールラガー
醸造方法上面発酵下面発酵
発酵温度常温15-20℃位低温5-10℃位
発酵期間3-4日間程度7-10日間程度
熟成期間1-2週間程度1か月間程度
特徴フルーティ・コク爽快感・喉越し




ドイツはビール大国と同時に、パンに対しても並々ならぬ拘りがある国です。

余談ですが昔イギリスに住んでいた時はパンが全く口に合わず、日本からゴパンを持込んで凌いでいましたが、ドイツに来てからはパンの質もさることながら選択肢が豊富で、ゴパンの出番が減りました。

久々にサイトを確認してみたら、在庫分はまだ購入できるようですが、いつの間にかゴパンは製造終了になっていて驚きです。



ドイツ独特の「閉店法」では、日曜日でもパン屋さんは例外的にお店を開ける事が許されている位です。







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