ドイツでは高気圧・低気圧の命名権を、2002年から一般販売していて、誰でも購入する事ができます。
運よく購入できた場合、天候と順番リスト次第ですが、天気図やニュース記事などのメディアにあなたの名前が掲載されるかもしれません!
本記事では、ドイツ非居住者でも参加できる、”Wetterpate”と呼ばれる仕組みについて説明したいと思います。
高気圧・低気圧に係る命名の歴史
ドイツでは1954年以来、ベルリン自由大学(Freie Universität Berlin)の気象学研究所(Institut für Meteorologie)が、高気圧・ 低気圧それぞれを命名しています。
ベルリン自由大学の気象学研究所は、日本でいう気象庁のような位置付けでしょうか。
高気圧は男性名、低気圧は女性名として、ラテン・アルファベット*全てに名前を割り振り、10セット作成されていたので、男女合計で520(26*10*2)のドイツ名がリスト化されていました。
1990年代までは、このやり方が主要メディアで受け入れられていましたが、天気が崩れやすい低気圧に女性名が常に使われていた事で、男女差別ではとの議論が活発になり、毎年交互に入れ替える事で決着しました。
現在も、偶数年は男性名、奇数年は女性名となっています。
“Wetterpate”とは
2002年11月、”Wetterpate”と呼ばれるプログラムが導入され、高気圧・低気圧の命名権が一般販売されるようになりました。
当該プログラムにより、520のリスト化されたドイツ名以外が、随時使われるようになりました。
“Wetterpate”が導入された背景は、気象学研究所に対する予算が削減された事や、不規則・不確実な寄付金に頼るのではなく、安定的な運営費用を捻出する為です。
購入方法と基本的なルール
命名権を買いたい場合、申請書(英語版あり)があるので記入して送付するだけです。
必ずしも個人だけでなく、家族やパートナーなど複数人で、また企業も申請する事ができます。
使用できる名前ですが、以下の基本ルールがあります。
- ドイツの戸籍役場で受理される名前
- ハイフンや特殊記号は使用不可
(ドイツ語のウムラウトのみ使用可) - 苗字、企業名は使用不可
(実際に名前として使われている場合を除く)
ドイツの戸籍役場は結構厳しいというか、国自体が官僚的で出生届が不受理処分となる事もあります。
仮に採用されても、申請者名は伏せておいたり、自身・自社ウェブサイトURLを表記するオプション(有料)もあったりします。
また基本ルールを満たしていれば、名前は申請者の本名でなくても問題ありません。
(例えば、企業の製品名など)
費用
申請書が受理され、自分が依頼した名前の順番が来て使用されると、費用が発生します。
費用(ユーロ) | |
---|---|
高気圧 | 360 |
低気圧 | 240 |
天候次第では、自分の番まで来ない事があり、その場合費用は発生せず、順番待ちリストは翌年に繰り越されません。
因みに、なぜ高気圧と低気圧で差額があるのかですが、通常高気圧の方が低気圧より、長期間留まるからです。
ベルリン自由大学の気象学研究所によると、高気圧・低気圧合わせて年間平均で、200程度発生している(名付けている)そうです。
内訳は、高気圧が50-60程度、低気圧が150程度なので、やはり低気圧のサイクルは短い事が伺えます。
日本人の名前が!
“Wetterpate”が導入された、2002年以降確認できる限り、5名の日本人と思われる方々が本プログラムに参加しています。
申請者の方々の名前ですが、気象学研究所ウェブサイト上、フルネームで公開されている事を鑑み、そのまま転記させていただきました(申請時に、公開・非公開か選択可)。
全て低気圧に名付けられていて、高気圧は該当ありませんでした。
その他、本記事タイトルとは無関係ですが、折角なので2002年以降実際に使われた名前の中から、日本名でも通じそうなものを独断で選定してみました。
最後に
ドイツでは、高気圧・低気圧の命名権が一般販売されていて、誰でも購入できるので天気図やニュース記事などのメディアにあなたの名前が掲載されるかもしれない、という記事でした。
ドイツ非居住者でも”Wetterpate”プログラムを通して申請できるので、ご興味がある方は参加されてみてはいかがでしょうか。
企業でも申請できると述べましたが、実際にBMWが”Mini Cooper”の新車コンバーチブルの宣伝として、高気圧に”Cooper“と命名した事がありましたが、2012年はヨーロッパ大寒波で東欧を中心に多数の死者を出す事態となり、果たして宣伝の効果があったのかは疑問が残る結果となっています。
※本文は以上です。
もし記事を気に入っていただけたら、是非、SNS等でシェアいただけたらと思います!
記事一覧は、サイトマップから確認できます。