ドイツで天気ハイジャック!ダイバーシティ(多様性)推進の取り組み

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移民の背景を有するジャーナリスト関係者で構成される非営利団体”NdM“(Neue deutsche Mediamacher)による、ダイバーシティ(多様性)推進の取り組みで、高気圧・低気圧の名称に非ドイツ人名が数多く採用され、現地で話題になっています。

日本の台風みたいに「番号」では無く、ドイツでは「人の名前」が付けられます。

2021年1月から、いきなり国際色豊かな名前が続き、年始にヨーロッパ大陸で発生した低気圧は、トルコ系の名前である”Ahmet”と名付けられました。

Tief „Ahmet“ sorgt für Diskussion


約4人に1人が移民の背景(Migrationshintergrund)を有するドイツらしさと言えますが、高気圧・低気圧の命名権は、一般販売されているので特段目新しさは無く、購入者(ドイツ非居住者でも可)は基本ルールに従っている限り、好きに名付ける事が可能です。

高気圧・低気圧の命名権

予備知識として、例えば日本では台風に「番号」が付けられていますが、ドイツでは高気圧・低気圧が発生すると「人の名前」が代りに使われます。

1.台風の番号の付け方
気象庁では毎年1月1日以後、最も早く発生した台風を第1号とし、以後台風の発生順に番号をつけています。なお、一度発生した台風が衰えて「熱帯低気圧」になった後で再び発達して台風になった場合は同じ番号を付けます。

引用元リンク:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html


ドイツでは命名権の販売により、年度ごとに名前リストを作成しています。基本ルールについては、別途投稿した以下の記事をご参照下さい。


過去、BMWがミニクーパーのPRで命名権を買い、”Cooper”と名付けた事があったのですが、ヨーロッパ大寒波で多数の死者が出る事態となり、当時ざわついていました…

多様性に富んだ名前リスト

ベルリン自由大学(Freie Universität Berlin)の気象学研究所(Institut für Meteorologie)が作成した、2021年に使用される予定の名前リストから、非ドイツ人名を抽出しました。


出自は、移民の背景を有するドイツ在住者という点で、可能な限りまとめてみた参考情報ですが、正直あまり土地勘がありません…間違っていたらごめんなさい。

低気圧出自
Ahmetトルコ系
Bartoszポーランド系
Cemalアラブ系
Dimitriosギリシャ系
Erhanアラブ系
Flaviuルーマニア系
Goranスラブ系
Hakimアラブ系
Irekポーランド系
Jussufアラブ系


なお2021年(奇数年)は低気圧が男性名、高気圧が女性名です。以前は常に、高気圧は男性名、低気圧は女性名でしたが、男女差別の議論が活発になり、年度ごとに入れ替える事で決着しています。

高気圧出自
Antjeドイツ北部及びオランダ系
Bozenaポーランド系
Chanaアラブ系
Dragicaスロバキア系


Antjeは、必ずしも移民色がリストアップした他の名前ほど強くありませんが、一応含まれているようです。


ドイツ連邦統計局によると、ドイツ在住の外国籍割合上位3か国は、トルコ、ポーランド、シリアですが、リストはアラブ系が多い印象です。

移民の背景の定義は、以下の記事をご確認下さい。

“NdM”とは、真の目的

主に移民の背景を有するジャーナリスト関係者で構成される”NdM”(Neue deutsche Mediamacher = New German Media Makers)は、2008年にベルリンで発足した非営利団体です。

“NdM”の目的は、メディアにおける民族多様性を通じて、文化的多様性を推進する事です。

今般”NdM”のキャンペーンとして、”Wir kapern das Wetter” = 「我々は天気ハイジャックをする」と称し、2021年に使われる高気圧・低気圧の命名権を14購入し、前述のリスト通り国際色豊かな名前を付けています。

ドイツに加え、隣国オーストリア、スイスでも同じ運動が実施されています。


“NdM”によると、ドイツ国内の新聞やテレビ局などメディア業界で雇用されている、移民の背景を持つ者の割合は現在5-10%程度ですが、2030年までに30%を目指しています。


多様性(ダイバーシティ)という言葉自体は、出身国、性別、宗教、障がい、LGBTなど、文字通り様々な観点で語られる問題ですが、“NdM”は、メディアにおける移民に焦点を合わせた団体と言えます。

“NdM”のパートナーには、ドイツ連邦政府の各機関、労働組合、メディア自体に加え、GoogleやFacebookなどが名を連ねています。

ドイツ連邦政府の統合受託官(Integrationsbeauftragte)がツイッターで、”NdM”がドイツの天気をハイジャックした事について、肯定的な投稿をしていたりします。

最後に

今まで高気圧・低気圧の名称は、どちらかというと伝統的なドイツ人名が使われてきたので、2021年1月から外国人名が続いて出てきた事で、驚くドイツ人が散見されます。

ベルリン自由大学の気象学研究所によると、高気圧・低気圧合わせて年間平均で、200程度発生している(名付けている)そうなので、“NdM”が目指す割合30%を達成するには、単純計算で60の命名権を購入する必要があり、46不足している事になります。

“NdM”による「天気ハイジャック」は賛否両論で、ダイバーシティとは言え、ここまでやる必要が果たしてあるのか、また名前の出自が偏ってないか他、様々な意見がある中で、少なくとも世間の注目を集めるという意味では、”NdM”の目論見通りとなっています。


移民の背景を有する雇用者割合ですがメディア業界に限らず、個人的には杓子定規ではかるのではなく、単に優秀な人材が職に就くべきであると思うのですが、ある程度外圧がないと、世の中そう簡単に変わらないのかもしれません。




※本文は以上です。
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