合理的なイタリア人、実はカフェイン量が少ないエスプレッソ。

イタリアでコーヒー(Un caffè)と言えば、エスプレッソ(Un espresso)そのもの。日本人は寝つきを気にしてか、夕方以降カフェインを摂らない人がいるかと思います。

しかしヨーロッパに住んでいると、イタリア人をはじめディナー後にカフェインを含むエスプレッソを躊躇なく飲む人が散見されます。

エスプレッソはドリップ(フィルター)コーヒーと比較して味が濃いので、なんとなくカフェイン量が多そうなイメージですが、実際のところどうなのか気になったので、エスプレッソの誕生した経緯とともに調べた時の記録です。

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シングル・ショットのエスプレッソには63mgのカフェイン

ヨーロッパで良いソースが見つからなかったのですが、アメリカ合衆国農務省(United States Department of Agriculture = USDA)によると、シングル・ショット(1オンス = 約30ml)のエスプレッソには、約63mgのカフェインが含まれています。


また一杯のコーヒー(8オンス = 約240ml)には、約89mgのカフェインが含まれています。


つまり一杯あたりコーヒーには、エスプレッソの約3倍のカフェインが含まれている事になります。


厳密には、使用する豆(ブレンド)、水の温度、抽出方法など各種条件により、どのくらいのカフェインが含まれるかは異なるので、一概に言えるものではないので、あくまでもUSDAの数値で比較した場合です。


日本の場合、文部科学省の日本食品標準成分表によると、100mlあたりコーヒー(浸出液)に60㎎のカフェインが含まれています。

8オンス = 約240mlあたりだと、144mgになる計算なので、USDAとは大分異なります。しかし日本食品標準成分表には、エスプレッソについての記述が無いので、本記事ではエスプレッソとコーヒーが比較可能な、USDA値を使用しています。

オンス(oz)とミリリットル(ml)の比較表

オンス(oz)とミリリットル(ml)の比較表です。

ご参考までにスターバックスのサイズを、合わせて載せておきます。
https://customerservice.starbucks.com/app/answers/detail/a_id/3113/~/what-are-the-sizes-of-starbucks-drinks%3F

スターバックスの「ショート」は、8オンスです。

サイズozml
Demi390
Short8240
Tall12350
Grande16470
Venti(Hot)20590
Venti(Cold)24710
Trenta31920


DemiとTrentaは海外サイズです。前者はエスプレッソ用、後者は驚異の1ℓ弱あり何れにせよ大き過ぎですね…



因みに1ガロン(gallon)= 128オンス(oz)です。

同じ容量の場合、エスプレッソのカフェインはコーヒーの6倍弱

先ほどは、シングル・エスプレッソ(1オンス)と、一杯のコーヒー(8オンス)を比較したので、平仄をとって1オンスあたりのカフェイン量を改めて比べてみます。

シングル・エスプレッソは変わらず63mg、そして1オンスあたりコーヒーには11mgのカフェインが含まれる計算になります。

よって同じ容量と仮定した場合、エスプレッソに含まれるカフェインは、コーヒーの6倍弱です。


一般的に、エスプレッソよりコーヒーの方が、多くの容量を飲む為、結果として多くのカフェインを摂取している事に繋がっているかと思います。

エスプレッソの誕生は、抽出時間の短縮化が目的

20世紀に入ると、カフェインが含まれている事から、ドリップ(フィルター)コーヒーは労働者階級に好んで飲まれるようになったと言われています。

コモディティ(大衆)化は、ヨーロッパにおけるコーヒー産業の拡大を意味し、消費者の需要に応えるべく、抽出時間の短縮化が課題でした。

そこで高温・高圧蒸気のでる専用マシンで短期間に抽出できる、エスプレッソが誕生しました。なおイタリア語の”Espresso”は、英語の”Express”という意味です。

昔のドリップ(フィルター)コーヒーは、一杯の抽出時間が5分以上だったと言われたりしていますが、今日でも2-3分程度はかかるかと思います。

シングル・エスプレッソの抽出時間は30秒前後なので、やはりコーヒーより早いです。


日本では日系や米系の某チェーンが、ドリップ(フィルター)コーヒーの注文後に抽出せず、予め作り置きしておいて抽出時間の短縮を図っています。

本場イタリアでは考えられない手法ですが、企業努力により香りが飛ばないような製造方法を生み出したり、コーヒーそのものの提供に限定せず、どちらかというと「体験」を売りにしたマーケティングと言え、差別化という意味では成功していると言えます。

車で例えると、高級車から大衆車まで人々の好みはそれぞれで、企業側が顧客ニーズに合わせた商品を提供しているだけなので、コーヒーの作り置きを否定するものではありません。

個人的にコーヒーの作り置きが受け入れられないのであれば、単に行かなければ良いだけだからです。

まとめ

カフェインの摂取量としては、コーヒーよりエスプレッソの方が少なくなる場合が多い為、(主に午後)好んでエスプレッソを飲むイタリア人はある意味、合理的という記事でした。

  • 一杯あたりコーヒーには、シングル・エスプレッソの約3倍のカフェイン
  • 同じ容量と仮定した場合、エスプレッソに含まれるカフェインは、コーヒーの6倍弱
  • エスプレッソの誕生は、抽出時間の短縮化が目的



イタリアでコーヒー(Un caffè)と言えば、エスプレッソ(Un espresso)そのものを意味するので、現地での注文時はお気をつけ下さい。

ドリップ(フィルター)コーヒーに近いものとしては、”caffè Americano”や”caffè lungo”あたりが挙げられます。何れも、エスプレッソをお湯で薄めただけですが…




12oz Coffee(2015年~)などイタリア人がオープンした(内国資本の)カフェでも、所謂アメリカン・コーヒーを提供をするようになっています。

有名な観光都市に店舗を構えていますが、外国人観光客向けのみならず、若いイタリア人もターゲットに新たなフレーバーの飲み物を販売していて、伝統的なコーヒー(エスプレッソ)を提供するバール等とは一線を画しています。


消費者の需要に応えるべく、抽出時間の短縮化が目的でエスプレッソが誕生したように、若い世代のイタリア人や観光客など消費者の需要次第では、外国資本や12oz Coffeeのようなお店が、今後イタリア国内で増えるのかもしれません。





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