旅行・出張・留学・赴任・移住などで海外に滞在する際、覚えておきたい情報として緊急通報電話番号(警察・消防・救急)があるかと思います。
万が一の時は、周囲に人がいれば助けを呼べますが、場合によっては自ら緊急通報をしなくてはなりません。
日本人であれば、国内の110番や119番は既知だと思いますが、国外の緊急通報電話番号に目を向けると、当然国ごとに違うし、覚えきれないですよね。
しかし1991年以降、ヨーロッパでは共通の緊急通報電話番号(警察・消防・救急)である【112番】が存在しているので、連絡先としてスマホに登録しておくと良いと思います!
折角なので、イギリスからドイツに引越した際に調べていた事を、EU域内に対象国を拡大してまとめてみました。
今後、ヨーロッパに滞在する際の参考に慣れば幸いです。
【112番】について
1991年、ヨーロッパにおける共通の緊急通報電話番号(警察・消防・救急)として制定(91/396/EEC)。
- 警察 police
- 消防 fire brigade
- 救急 ambulance
日本だと警察、消防・救急と番号が分かれますが、ヨーロッパでは全て【112番】です。
後述しますが実際の運営上は、①EU共通の緊急通報電話番号のみを用いている国、②イギリスやドイツのようにEU共通の緊急通報電話番号に加え国独自の番号と併用している国、の2パターンあります。
ヨーロッパで使える国
ずばりEU27か国全て【112番】が使えます。
2020年1月にEUを離脱したイギリスも実は【112番】が使えます、【999番】の方が現地ではメジャーだと思いますが…
どの機器から通じるか
固定電話、スマホ、プリペイドフォン等何れからも通じます。もちろんVoIP(IP電話)対応しています。
固定電話以外からでも、緊急通報がかけられるように定めた欧州テレコムルールによるものです。
日本では確かIP電話から、【110番・119番】などの緊急通報はかけられなかったと思いますが、ヨーロッパでは問題無しです!
技術的な詳しい理由は分かりませんが、様々な機器から緊急通報にかける事ができるのは良いですね。
電話をかける事ができない場合
障がい者への配慮や、何かしらの理由によって、【112番】に電話をかける事ができない場合、国によっては電話への代替として、FAX、SMS、メール、Appなどを用いて通報できる仕組みになっています。
もし英語や、英語以外の現地語でのやりとりに自信が無い場合、SMSやメールなど文字で通報できるのはありがたいですね。
ユニバーサル・サービス・ディレクティブというものにより、電話に代わる緊急通報の方法として、EU主導で促進されています。
ただほとんどの非英語圏の国でも、オペレーターは英語が喋れるようです。
通話料、対応エリア
- 【112番】の通話料は無料
- 対応エリアは、ヨーロッパ内のGSMモバイルネットワーク
GSMとはGlobal System for Mobile Communicationsの略で、第2世代携帯電話機の通信方式規約の一つです。
よく第2世代=Second Generationなので、2Gと言われています。
因みにヨーロッパでは、LTEである4Gもありますが、まだまだ2G・3Gが現役です。
位置情報について
【112番】のオペレーターは、緊急通報者の位置情報を取得できる仕組みになっています。
国・地域によってはAML(Advanced Mobile Location)と呼ばれるシステムに対応し、より正確な位置情報が取得できます。
動揺していたり、知らない土地で事故などに遭遇した場合、正確な場所を把握してオペレーターに伝える事が難しいと思いますが、位置情報の提供がされるようになってから、緊急車両の到着時間が早まったようです。
EUローミング法では、ユーザーが国境を越えた場合に、【112番】についてSMS通知をしないといけない事になっているので、【112番】に見覚えがある人がいるかも知れません。
【112番】のみの国
緊急通報電話番号が【112番】のみの国リストです。
リンクは、EU公式ページに掲載されている国ごとの緊急通報に係る案内ページです。SMS番号や、更に詳しい情報へのリンクが貼られています。
Appは大体位置情報に対応している先が多いようです。
【112番】と国独自の番号を併用している国
緊急通報電話番号は【112番】、国独自の番号と併用している国リストです。
チェコ、ドイツはSMSやApp未対応ですが、リレーサービスがあり。
電話リレーサービスとは
引用元リンク:https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/telephone_relay
電話リレーサービスとは、聴覚障害者と聴者を電話リレーサービスセンターにいる通訳オペレーターが「手話」や「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につなぐサービスです。
ギリシャは、SMS・App・リレーサービス何れも未対応のようで、ちょっとユニバーサルでは無いですね…
EU以外で【112番】が使用可能な国
2020年1月に離脱するまでEUのメンバー国であったイギリスに加え、スイスでも【112番】が使えます。
スイスはリンク先(EU公式ページではありません)でいくつかの州を見てみましたが、SMSやAppに対応はしていなそうです。
毎年2月11日は、【112】の日
EUの年次レポートによると、EU市民の約半数が、緊急時の通報番号として域内どこでも【112番】が使える事を認識しているようです。
ヨーロッパでは年月日を表示するのに、日/月/年、という順になります。
なので11日/2月=2月11日が、【112】の日という訳です。
まとめ
揚げ足取りするつもりは全くありませんが、実は外務省の世界の医療事情・英国には緊急通報として【999番】は明記していますが、【112番】は記載されていません。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/uk.html
ヨーロッパにある在外公館の公式ページでも、【112番】について言及していたり、していなかったり、EU内でも国独自の番号を優先して案内している先があったりするので、本記事をまとめてみました。
【112番】だけ覚えれば良いという訳ではありませんが、ひとまずヨーロッパでの共通の緊急通報電話番号(警察・消防・救急)は【112番】、という事を認識してもらえたら幸いです。
以前住んでいたイギリスでは、あまり欧州大陸の事を理解しているようで理解していなかったのですが、ドイツに移住してからは、色々と違いやヨーロッパ独自の共通制度が見えて面白くもあります。
※本文は以上です。
もし記事を気に入っていただけたら、是非、SNS等でシェアいただけたらと思います!