乗り方に一癖あるロンドンタクシー、料金表とオススメ配車アプリ3選

移動手段としてだけでなくアトラクションとして、ロンドンに来たら世界一と称されるロンドンタクシー(ブラックキャブ)に乗ってみたいものです。


ラッピング広告の登場以降、必ずしも黒色の車体だけではありませんが、イギリス現地でロンドンタクシーは専ら「ブラックキャブ(Black Cab)」、或いは単に「キャブ(Cab)」と呼ばれている事が多いかと思います。


本記事では、やや癖のあるブラックキャブの乗り方や料金体系を、オススメのプライベート・ハイヤーなどの配車アプリと合わせて、元ロンドン在住者が解説したいと思います。

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ブラックキャブの乗り方

ブラックキャブですが、タクシー乗り場からや、街中で流しを捕まえたり、今だとアプリ(後述)からでも予約して乗車する事が可能です。

日本と異なる、乗車時のお作法

ブラックキャブに乗車する際、日本とは異なるお作法というかルールがあります。

それは乗車する前、助手席の窓越しに目的地を運転手に伝えて、応諾してもらう必要があります。

日本の場合、乗車後に行き先を運転手に伝えますが、ロンドンでは順序が逆です。たとえ雨が降っていてもです。

ちょうど良い公式YouTubeがあったので貼り付けておきます。


ドアは手動で、運転手の助けが必要な高齢者等を除き、自分でドアを開閉して乗り込みます。

トランクは無く、スーツケースなど大きな荷物がある場合でも、自分と一緒に後部座席へ持込みます。

ブラックキャブの車内はかなり広いので、例えば大人2人がそれぞれ大型のスーツケースを持っていても、スペース的にはまだまだ余裕があると思います。

目的地の伝え方ですが、通り名(ストリート名)だけで大体OKです。ブラックキャブの運転手は、ロンドン市内の通り名を、全て暗記していると言われています。

ストリート名に加えて、建物の名前や陸票(ランドマーク)があれば、それも伝えます。

ブラックキャブの料金表

ブラックキャブの料金表は公開されていて、以下は公式サイトより転記したものですがメーター制です。
https://tfl.gov.uk/modes/taxis-and-minicabs/taxi-fares


なので距離と時間によってタクシー料金が加算されていくので、必ずしも料金表の通りとは限りません。

距離大凡の時間平日5am-8pm平日8pm-10pm
土日5am-10pm
10pm-5am
祝日
1マイル(約1.6km)6-13分6.2-9.6ポンド6.2-9.6ポンド7-9.6ポンド
2マイル(約3.2km)10-20分9.4-15ポンド9.8-15ポンド10.6-15ポンド
4マイル(約6.4km)16-30分16-24ポンド18-24ポンド18-28ポンド
6マイル(約9.7km)28-40分25-31ポンド31-34ポンド31-34ポンド
ヒースロー空港・ロンドン市内間30-60分49-92ポンド49-92ポンド49-92ポンド


正規のライセンスが付与されたブラックキャブに乗車する限り、ボッタクリをはじめ何か問題に遭遇する可能性は極めて低いと言えます。

ただ中には確信犯の運転手もいて、わたしがイギリスに住んでいた時に体験した事だと、カード払いがOKの筈なのに現金しか受け付けてくれなかったり(ATM前に連れていかれて、現金を引き出すよう指示された事も)、現金払いのお釣りをごまかされたり、要求したレシートをくれなかったり、それなりに洗礼を浴びることがあるかも分かりません。

ほとんどのブラックキャブの運転手は良い人です!

なぜブラックキャブは、世界一のタクシーと称されるのか

なぜロンドンのブラックキャブは世界一のタクシーと称されるのか、それは運転手になるための試験「The Knowledge (of London)」が世界一難しいと言われているからです。


試験に合格するには、3‐4年程度の勉強時間を要すると言われており、約320の道順(ルート)や、25,000に及ぶ通り名(ストリート名)20,000程度の陸票(ランドマーク)を暗記しなくてはなりません。

学位を取得するのと同程度の難易度と言う人さえいます。

「The Knowledge」は1865年から導入され、当時は勿論カーナビ(なお英語では、Satellite navigationと言います)が無い時代ですから、地図を頭の中に叩き込む必要がありました。


現代においてはカーナビがありますが、「The Knowledge」の習得、つまり地図を覚えるカリキュラムは未だに課されていて、やや根性論な気もしますが、伝統や運転手の質を重んじているという事でしょうか…

試験合格までが、あまりに途方もない挑戦なので、一説によると70%の候補者が途中で脱落するそうで、故にブラックキャブの運転手は世界で一番尊敬されているタクシードライバーと言われています。

試験は、7つのステージにより構成されています。

ブラックキャブのデメリット

メーター制で厳しく管理された料金体制自体は良いのですが、ブラックキャブは如何せん上限が無いのがデメリットと言えます。


なので長距離ほど、また渋滞や工事等で時間がかかるほど、料金が加算されていきます。
そしてロンドン市内の渋滞は、安定したひどさがあります。



また何かしら理由をつけて現金払いを強要してくる運転手が少なく無いので、絶対にカード払いをしたい人は注意が必要です。

運転手曰く、ブラックキャブに搭載のカードリーダーは頻繁に壊れます。


そこでタクシー利用料金に定額制と完全キャッシュレス決済を導入して、ブラックキャブのデメリットを解消したプライベート・ハイヤー(配車アプリ)の出番です。

定額料金とキャッシュレス決済が魅力、配車アプリ3選

プライベート・ハイヤーと呼ばれる配車アプリはたくさんありますが、イギリスに住んでいた時、実際に使っていてオススメするのが、定額料金とキャッシュレス決済が魅力のアディソン・リー(ADDISON LEEフリー・ナウ(FREE NOWです。


個人的にオススメという訳ではありませんが、最安値と言われているウーバー(UBERも一応紹介しておきます。ちなみにウーバーは定額料金ではありません。



配車アプリの使い方は、どこも大差無いかと思いますがアプリをダウンロードして、ピックアップ場所(出発地)、ドロップ場所(目的地)を指定、今すぐか将来の日時かを指定すると、予め値段が表示されます。

内容に問題が無ければ、確定ボタンを押した時点で値段も確定します(除くウーバー)。

あとはアプリ上の地図で、今車がどこにいるか、車種やナンバー、ドライバー名、連絡先等が表示されます。

決済はアプリに登録済みのカード情報を用いるので、現金は不要です。

アディソン・リー(ADDISON LEE)

アディソン・リー(ADDISON LEEは1975年創業、ロンドン含む英国内の10都市でサービスを提供する、大手配車アプリです。

世界90か国以上に拠点を構えていますが、本社があるイギリス以外は企業向けのみなので、あまり日本人には馴染みが薄いかもしれません。イギリス現地では、かなりメジャーです。



配車アプリの中でアディソン・リーは、やや高級路線の部類で最安値ではありませんがロンドン中心部だと約4,800台の車が走っているので、すぐに見つかるのと、企業や運転手に対する信頼性が競合他社比、群を抜いて高いと思います。


1975年創業から、絶えず営業ライセンスを更新し続けている事は、信頼の裏付けと言えます。

アディソン・リーが使用する車は、メルセデスやプリウスが多く、新車から3年超経った車は使われていません。


公式サイトの説明によると、ロンドン中心部では平均的なピックアップ時間が10分程度との事。

イギリスに住んでいた時、何十回と使いましたが確かにアディソン・リーは多くの車がロンドン市内を走っているので、すぐ迎えに来てくれます。

アプリを開くと、ロンドン市内を走っている車がたくさん確認できますよ。


料金が安い他の配車アプリを試しましたが、なかなかすぐに車が来なかったり、サポートセンターの対応含め、使い勝手がいまいちで、結局アディソン・リーをメインに使っていました。



保有台数とピックアップまでの時間、価格、信頼性のバランスがアディソン・リーは良いです。



深夜早朝、空港に行く時は、いつもアディソン・リーを使っていました。

一度も予約時間に運転手が遅れた事はなく、大抵10分前には到着して待機してくれています。

フリー・ナウ(FREE NOW)

フリー・ナウ(FREE NOWは2009年創業、ドイツのハンブルグが本社で、株主はBMW GroupとDaimler AGです。




元々MyTaxiというブランド名でしたが、2016年にHailoと合併。2019年からFREE NOWという名前を使っています。

スマホにインストール済みだった方は、2019年にアプリのアイコン画像がガラリと変わって、驚いた人も多いかと思います。

公式サイトによると欧州9か国・100以上の都市でサービスを展開。イギリス内だと、ロンドン含む9都市にあります。



わたしはイギリスに住んでいた時はアディソン・リーをメインに使っていましたが、ドイツに引越してからはアディソン・リーが個人向けに営業していない為、代わりにフリー・ナウがメインになっています。

ドイツ国内だと26都市にあります。


フリー・ナウの特徴としては、定額料金が適用される配車(プライベート・ハイヤー)に加え、イギリスの場合はアプリを通じてブラックキャブも予約可能な点です。

BMWとダイムラーが資本を出しているので、運営に対して安心感もありますね。

しかしブラックキャブの場合、フリー・ナウを通しても料金は定額では無くメーター制になるので注意が必要です。

ウーバー(UBER)

ウーバー(UBERは2009年創業で、アメリカのカルフォルニア州に本社があります。

個人的にオススメという訳ではありませんが、最安値と言われているウーバー(UBERも一応紹介しておきます。

ちなみにウーバーは定額料金ではありませんが、それでもブラックキャブや他の配車アプリと比べると安いと思います。

ロンドンでは2012年からサービスを提供開始、イギリスでは現在ロンドン含む19都市で営業しています。


イギリスでは、2019年11月にロンドン交通局(TFL)が、プライベート・ハイヤー業者として、乗客の安全面などに係る適格性(fitness and propriety)の欠如を理由に、ウーバー(UBER)の営業ライセンス更新を拒否。
https://tfl.gov.uk/info-for/media/press-releases/2019/november/uber-london-limited-found-to-be-not-fit-and-proper-to-hold-a-private-hire-operator-licence


ウーバーが不服申し立てをし、その後改善策を実施した事で2020年9月末に、ウエストミンスター裁判所はウーバーに適格性ありと判断し、ライセンスを許可する判決を出しています。
https://www.judiciary.uk/judgments/uber-v-tfl/




本社があるアメリカでも、ウーバーに関しては過去色々な問題がニュースになっていて、運営体制や運転手の質に一抹の不安が残る場合は、避けた方が良いかもしれません。


わたしが昔ロンドンに住んでいた時、配車アプリだと定額料金制では無いものの、やはり一番安かったせいか周りではウーバーを使っている人が多かったです。

最後に

やや癖のあるブラックキャブの乗り方や料金体系、オススメのプライベート・ハイヤーなど配車アプリの記事でした。


ブラックキャブ乗車時のポイントを再度挙げておきます。

  • 乗車前に、目的地を運転手に伝える(アプリ使用なら不要)
  • ドアは手動、自分で開閉する
  • 荷物がある場合は、後部乗車席に自分で持込む
  • 原則、助手席は使えません(ドアも開かない)
  • 料金はメーター制(アプリ使用でも然り)
  • 現金払いしか受け付けてくれない場合も散見



定額料金とキャッシュレス決済が魅力な、プライベート・ハイヤー配車アプリは、アディソン・リー(ADDISON LEEフリー・ナウ(FREE NOWがオススメです。


どちらも新規でアプリをダウンロードすると、特に紹介コード等がなくても恐らく初回特典で割安になると思うので、ロンドンに行く際はお試し下さい!

配車アプリであれば、言い間違えや聞き間違えが起こらない分、安心ではありますが、折角ロンドンでブラックキャブに乗るなら、口頭で通り名を運転手に伝えて、彼らの職人ぶりを目の前で満喫するのも良いかもしれません。





※本文は以上です。
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