質実剛健、シンプルな構造、機能美、100年を超える伝統、これらの言葉が凝縮された両刃カミソリ(安全剃刀)の世界は大変奥深く、靴好き、鞄好き、時計好きにはハマるかもしれません。
替刃が安く(最安で一枚15円~)、維持費が爆安。男性へのプレゼントにも適していると思います!
わたしがイギリスに引越して、ロンドンのジャーミンストリート(Jermyn Street)*で一目惚れしてから、ずっと使っている両刃カミソリの魅力、使い方や、日本国内でも入手可能な初心者におすすめなブランドと各モデルなどについて話したいと思います。
両刃カミソリって敷居が高いというか、なんか危なそうで不安だったのですが、実際に使い始めて慣れてくると、もう他のカートリッジ式のカミソリや電気シェーバーは、使えなくなる位良いです!
両刃カミソリを使う髭剃りは、少し手間がかかるのですが、驚異的な切れ味なので肌への負担が少なく、剃り心地が良く、実は物凄く経済的で、また少々マニアックかもしれませんが、髭剃り時の「チリチリチリ」という音がたまりません。
*ジャーミンストリートは、ピカデリー通りから一本南に位置し、全長600メートル位で、止まらずに歩くと7分程度です。靴やスーツ、傘など英国を代表する紳士物ブランドを取扱うお店が集中しています。
両刃カミソリ(安全剃刀)とは
カミソリの一種で、本記事のアイキャッチ画像の左下にあるものが両刃カミソリの本体です。下記、おすすめのブランドと各モデルに進むと、商品写真があります。
アイキャッチ画像の左上がシェービングソープ、両刃カミソリの右がシェービングブラシ、一番右にあるのが昔ながらの直刃のカミソリ(Straight razor)です。
直刃のカミソリより刃が肌に触れる面積を少なくし、安全に使える事から、両刃カミソリは安全剃刀(Safety razor)と言われています。
安全という言葉とは裏腹に、扱い方を間違うと、全く安全では無いんですけどね。
安全剃刀が普及するまで、直刃のカミソリで髭剃りをしていたようなので、命懸けですね…理容店でプロが髭剃りを職業としているのが良く分かります。
そして安全剃刀の種類の一つが、本記事で取扱う両刃カミソリ(Double edge razor)です。
カミソリに対して、電気シェーバーがありますが、本記事ではアナログなカミソリに着目したいと思います。
1904年にジレット氏が安全剃刀の特許を取得
King C Gillette氏が、アメリカで1904年に安全剃刀の特許(No.775,134)を取得して以降、マーケティングが功を奏し、爆発的に安全剃刀が普及しました。
リンク先に、特許原本のコピーがありますが、両刃カミソリ本体と刃の図が記載されています。1904年の図ですが、驚くことに両刃カミソリの基本設計は、現在もほぼ変わらずです。
100年を超えて、今もなお使われているって、商品として完成形というか、浪漫を感じるのは、わたしだけでしょうか。
当時どういったマーケティングが成功したかというと「ジレット商法」、「ジレットモデル」とか語り継がれていますが、現代でいう「プリンターのインク商法」です。
両刃カミソリの本体(プリンター)を安く売ったり無料で配布し、相当数世の中に普及させてから、替刃(インク)を売り続ける事で、中長期的に収益を稼ぐ商法です。
無料Appゲームのアイテム課金とかも、似たようなもんですね。
T字型
カミソリ本体の形状はT字型です。Tの横軸にカミソリの刃が、縦軸にホルダー(ハンドル)がついています。
T字型に対して、より繊細なシェービングが可能なL字型があります。L字型は、眉毛を整える際に使われたりしますね。
1枚刃
一般的にT字型カミソリだと、複数の刃がついているイメージがあると思いますが、両刃カミソリの場合、刃は1枚だけです。
漢ですよね、シンプルで無駄が全く無い。
両刃カミソリの刃は、よく映画とかで、手紙の中に入れられる薄っぺらくて小さい、長方形のあれです。
実物はペラペラしていますが、恐ろしく切れ味が良いです。
世界共通の替刃
両刃カミソリを使い始めるまで、全く知らなかった事の一つだったのですが、替刃が世界共通です。
あなたが、どのブランドの両刃カミソリを使っても、替刃は世界中のブランドから選び放題です。
カートリッジ式のT字型カミソリだと、同じブランドの替刃を購入するしか選択肢がありません。しかもシリーズによって刃数が異なる為、同じブランドの同じシリーズしか使えません。
アメリカ、イギリス、ドイツなどに加え、ロシアとかトルコ、インドの替刃メーカーなんかが多い気がします。
旅行や出張で海外に行った時、現地で替刃を買うのが、わたしのちょっとした楽しみでもあります。
なぜ両刃カミソリというのか
カートリッジ式のT字型カミソリでは、片側の刃しか使えません。
両刃カミソリの場合、本体を持った時、地面に対して完全に平行な形で、カミソリの刃をセッティングします。
なので両側の刃が使える為、両刃カミソリと言います。
使い方、角度が全て
カートリッジ式T字型カミソリの使い方と、基本的には同じですが、両刃カミソリの場合、若干のコツが必要です。
後述するミューレ(ドイツ)のロンドンショップ店員さんが、両刃カミソリの使い方をYoutubeにアップしています。
恐らく、両刃カミソリを初めて使用した日は、人によっては顔が血だらけになると思うので、翌日学校や会社が無い日に、試して練習する事をおすすめします。
慣れれば血が滲むような事にはならないので、ご安心下さい。
肌と髭に十分な水分を
可能であれば、蒸しタオルを用いたり、専用のシェービングソープとブラシで、肌と髭に十分な水分を与えます。クラシックというか、もはや儀式ですね。
しっかりと準備すると、剃り心地が違いますが、普通のシェービングジェルとかクリームでも全然代用可能です。
要は毛穴を開かせ、肌と髭を柔らかくさせるのが目的です。
なので、お風呂とかシャワーに入った直後は、髭剃りにパーフェクトなコンディション・タイミングと言えます。
理想的な刃の角度は、30-45度
これは、頭では理解できても、実際に何回も自分で試して感覚をつかむしかありません。
そのうちに、無意識にできるようなると思います。
当たりが悪いと、流血します。
肌に押し付けず、本体の重さで(最重要)
この箇所が最重要です!
カートリッジ式のT字型カミソリは、刃数が多いほど、肌に対する刃圧が分散されるので、髭剃りをする際、カミソリを顔に押し付ける癖が、無意識についてしまっている人が多いと思います。
両刃カミソリを、カートリッジ式のカミソリと同じ刃圧で使うと危険です。両刃カミソリの本体が、ずっしりと重いので、それだけで十分です。
ストロークは短く真っすぐに
カートリッジ式みたいに、安全ワイヤーみたいなものが両刃カミソリにはありません。
肌に対して両刃カミソリ本体を横に滑らすと、ざっくり切れますので、必ず真っすぐ滑らせましょう。
ストローク後、刃が肌に当たったままだと、切れる為、素早く肌から本体を離します。
髭に対して、まずは順剃り
両刃カミソリに慣れてない人、カミソリ負けし易い人は、髭に対して順剃りに留めておいた方が良いです。
順剃りの後で、慣れてきたら必要に応じて逆剃りします。
肌を冷水で流して、保湿
カートリッジ式のT字型カミソリでも同じだと思いますが、髭剃り後は、肌を冷水で流して、保湿します。
両刃カミソリ本体のケア
両刃カミソリから刃を取り出して、シェービングソープや髭を取り除き、綺麗にします。
ステンレスなので、髭剃り後に両刃カミソリ本体や刃を放置したままでも、錆びる事は無いと思いますが、何より汚れたままだと、次に使う時が衛生的でないのと、切れ味が落ちるので、都度きれいにしておきましょう。
おすすめのブランドと各モデル
日本国内で入手し易く、両刃カミソリを使い始めるのに万人受けするであろう、主なおすすめのブランドと各モデルです。
ピースというのは、ホルダーがいくつに分解できるか、バタフライについては、以下商品ページを見ると分かりやすいと思いますが、刃の脱着方法が観音開きになっています。
またコームがクローズドというのは、カミソリの刃に対して肌を抑えるためのガードが閉じているという意味です。ガードが開いているものは、オープンと呼ばれクローズドより、アグレッシブな剃り心地になります。
まずはクローズドで試すことをおすすめします。
刃の角度調整ができるホルダーがありますが、個人的にはおすすめしません。固定された刃の角度で、毎回使用した方が、早く両刃カミソリに慣れるからです。
メルクールの34C(334C)
メルクール(Merkur)は、ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州に属するゾーリンゲン(Solingen)に本社を置くDOVO Stahlwaren GmbHのブランドMerkur Solingenです。
モデル34Cは、日本国内だと334Cと表記されているようです。
海外だと別名HD(Heavy duty)と呼ばれており、両刃カミソリでは珍しい2ピースで、大変強固な作りになっています。
メルクールの34Cは、無骨な見た目が魅力です。
ミューレのR89と比べると、ホルダー部分が短い一方で、重さがあるので、手に持った時ずっしりきます。
ミューレのR89
メルクールと同じく、ドイツのブランドであるミューレ(Mühle)。ドイツ東部のザクセン州シュトゥツェングリュン(Stützengrün)で創業、正式名称はHans-Jürgen Müller GmbH & Co. KGです。
元々はシェービングブラシの会社で、現在のミューレに商標を変更する2006年以前は、ミューレ・ピンゼル(ミューレ・ブラシ)を名乗っていました。
ミューレはクラシックながらも、モダンでどこか洗練されたデザインです。
ミューレ公式Youtubeのポートレート・ムービーも合わせてご覧下さい!
強固な作りで無骨なメルクール34Cと比べて、ミューレR89が軟弱かというと決してそんな事は無く、通常使用している限りでは、壊れる気配が皆無です。
フェザーのポピュラー
両刃カミソリが自分に合うか、まず試してみたい方は、1,000円程度で買える日本が誇るフェザー社のポピュラーが最適です。
流石に、質感はドイツ製に比べると素材が違うので劣りますが、気軽に両刃カミソリを試すことが可能です。
因みにフェザー社の製品は、海外では忍者レーザー(刃)と言われていたりして、ホルダー本体も替刃も、根強い人気を得ています。
またフェザーの上位モデルに、34CやR89の倍近い値段のハイエンドモデルがあります。
替刃
両刃カミソリの替刃は、世界中でかなりたくさんの種類が売られています。
日本国内であれば、日本製のフェザーであれば問題無くいつでも入手可能だと思います。
替刃ですが、一枚あたり50-70円程度と激安です。
日本のアマゾンを見る限り、執筆時点では海外製のAstraやDerby社の替刃を取扱っており、一枚あたり15円程度と驚愕の値段で手に入ります。
AstraとDerbyは両方持っていて使った事がありますが、どちらも使用には全く問題無いですよ。フェザーの刃が切れ過ぎる、という方にはむしろ合うと思います。
まとめ
靴好き、鞄好き、時計好きにはハマるかもしれない、両刃カミソリの話でした。
両刃カミソリを使う髭剃りは、少し手間がかかるのですが、驚異的な切れ味なので肌への負担が少なく、剃り心地が良く、実は物凄く経済的という事が伝わったなら幸いです。
地味で、時に面倒になる靴磨きと、両刃カミソリはどこか似ていません?
革を育てるというものではありませんが、見ていて飽きが来ない、大事にメンテナンスして長年愛用するというのは、靴や鞄、時計それぞれと、両刃カミソリの共通点かと思います。
無駄が削ぎ落とされた美しい両刃カミソリのホルダーは、適度に重量があり、手にズッシリきます。
ひげ剃りが趣味というと大袈裟ですが、少なくとも、大人の嗜みというか、両刃カミソリを使うと、ひげ剃りが自分一人の贅沢な時間にかわります。
でも靴・鞄・時計などと違い、ひげ剃りなんて、外に持出す事はないので、誰の目にも触れられる事がなく、もう完全に自己満足の世界なんですけどね。
両刃カミソリ本体と替刃の選択肢が無数にある為、色々と自分に合う組合せを試すのも楽しいです。
※本文は以上です。
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