ケーキ or ビスケット、イギリスでVATをめぐり裁判沙汰に。

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イギリスで1991年、本当にあった嘘のような話です。

McVitie and Price社のジャファ・ケーキ(Jaffa Cake)というお菓子をめぐり、ケーキかビスケットか法廷で争いがありました。

ジャファ・ケーキは、ビスケットサイズでスポンジケーキ、オレンジ味のジャム、チョコレートの三層からなり、1927年に発売が開始されて以降、今も国民に愛され続けている、イギリスの代表的なお菓子の一つです。

裁判の当事者達は、至って真面目にケーキやビスケットの定義付けをして、果たしてどちらにジャファ・ケーキが分類されるか議論されました。

他にも、イギリスにまつわる変な話題はあるのですが、この記事ではジャファ・ケーキについて解説したいと思います。

なぜ争点が、ケーキかビスケットだったのか

なぜ法廷にまで持ち込んで、真面目にケーキかビスケットか議論されたかですが、理由はイギリスのVAT(付加価値税)にあります。

わたしは渡英するまで全く知らなかったのですが、イギリスではケーキやビスケット、お茶・コーヒーなどに税金が全くかかりません。

ゼロ税率といって、食料品(一部例外あり)、牛乳、医薬品、書籍、子供服(14歳未満)なども無税です。

伝統的なビスケットは確かにゼロ税率なのですが、チョコレートのコーティングが一部分でもあると、標準税率である20%が課税されます。

Food products (VAT Notice 701/14)

Published 10 February 2014
From: HM Revenue & Customes


3.4 Bakery products

Although most traditional bakery products, such as bread, biscuits and cakes, are zero rated, some confectionery is standard rated including:

biscuits wholly or partly covered in chocolate (or some product similar in taste and appearance)
・any item of sweetened prepared food, other than cakes and non-chocolate biscuits, which is normally eaten with the fingers

引用元リンク:https://www.gov.uk/guidance/food-products-and-vat-notice-70114


つまりジャファ・ケーキは、英国歳入関税庁(Her Majesty’s Revenue and Customs = HMRC)からチョコレートのコーティングがされたビスケットだから課税対象である、と指摘されましたが、一方のMcVitie and Price社は、あくまでもケーキだから従前通りゼロ税率である、と意見が割れた為、法廷での争いとなりました。

裁判の結果は…

ジャファ・ケーキは、ケーキ or チョコレートがコーティングされたビスケットか、裁判の結果は…














ケーキでした。




当時の判決です(一部抜粋)。

United Biscuits (UK) Ltd (No. 2). [1991] BVC 818

LON (91/160)
No. 6344
Decision given 21 August 1991.

Zero-rating – Food – Whether ‘Jaffa cakes’ cakes or biscuits – Value Added Tax Act 1983, Sch. 5, Grp. 1, excepted item 2.

1. The commissioners’ contention that the opinion of witnesses was irrelevant was rejected. Assistance might be derived from statistical evidence as to the views of ordinary shoppers. No weight had been given to the results of market research or expert evidence.

2. The ingredients of the sponge part of the Jaffa Cake were virtually the same as the ingredients of a traditional sponge cake. The sponge cake part of a Jaffa Cake was in itself a cake.

3. A cake was mainly soft or friable; the Jaffa Cake had the texture of a sponge cake, which the brittleness of the chocolate did not displace.

4. The size and packaging of Jaffa Cakes was regarded as ‘uncakelike’, and in supermarkets Jaffa Cakes were found with biscuits, not cakes.

5. A Jaffa Cake was moist to start with, and that resembled a cake and not a biscuit. When it became stale it became hard and crisp, again like a cake and not a biscuit. A stale biscuit would be expected to become soft.

6. The sponge-cake part was not simply a base for the jam and chocolate; it was a substantial part of the product, not in flavour but in bulk and texture when eaten.

7. Jaffa Cakes had characteristics of cakes, and also characteristics of biscuits or non-cakes. However, they had sufficient characteristics of cakes to qualify as cakes within the meaning of item 1 in Grp. 1. Jaffa Cakes were not biscuits. The appeal was therefore allowed.

引用元リンク:https://library.croneri.co.uk/cch_uk/bvc/1991-bvc-818



ジャファ・ケーキの成分を、ケーキのそれと比較するのは分かりますが、しっとりとした口当たりであるとか、時間が経つと固くなる点がケーキと同じである(ビスケットであれば柔らかくなる)とか、ジャファ・ケーキはビスケット売り場に置かれているとか、様々な視点からケーキかビスケットか真面目に法廷で議論されていたかと思うと笑えてきます。


仮に課税対象となると売り上げに影響が出る為、McVitie and Price社にとっては気が気では無かったと思われます。

How to make the world's largest Jaffa Cake – Guinness World Records


2017年2月に、世界最大のジャファ・ケーキとしてギネスに認定された時の映像です。
その幅なんと124cm!!

Frances Quinn氏が作ったものです、イギリスの人気番組『The Great British Bake Off』の2013年優勝者です。

イギリスのVAT(付加価値税)

イギリスのVAT(付加価値税)ですが、以下の通りとなっています。

標準税率軽減税率ゼロ税率
20%5%0%

新型コロナウイルスによる経済刺激策の一つとして、イギリスでは2020年7月15日から2021年1月12日まで、VAT(付加価値税)の減税処置が適用され、標準税率20%が期間限定で5%に引き下がります。
https://www.gov.uk/government/publications/revenue-and-customs-brief-10-2020-temporary-reduced-rate-of-vat-for-hospitality-holiday-accommodation-and-attractions/guidance-on-the-temporary-reduced-rate-of-vat-for-hospitality-holiday-accommodation-and-attractions

まとめ

以上ジャファ・ケーキは、ケーキに分類されるのでVAT(付加価値税)はゼロ税率という記事でした。

ジャファ・ケーキ自体、イギリス国内では安く売られています。1箱10 個入りで、1ポンドちょっとだったと思います。

スーパーのプライベートブランドでも類似商品が出ています。




消費者側から見ると、税が価格に含まれているので、そこまで気にする必要は無いかと思いますが、イギリスのVAT(付加価値税)は、ゼロ税率や非課税項目が多過ぎで、本当に複雑です。

チョコレートのコーティングあるなしで同じビスケットでも課税されたり、本はゼロ税率でも電子書籍は課税されたり…


イギリス政府公式サイトで、平時どのような物やサービスに、どの税率が適用されるか、或いは非課税なのか説明しているリンクを貼り付けておきます。
https://www.gov.uk/guidance/rates-of-vat-on-different-goods-and-services


ジャファ・ケーキ以外だと、大手スーパーMarks and Spencer(M&S)のティ・ケーキが1973年から1994年の間、誤ってビスケットと分類された事で支払ったVATの返金を求める裁判があり、1995年にM&Sが申立をしてから13年もの月日を経た、2008年にようやく認められました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7870265.stm


プロクター&ギャンブルのプリングルスも、2008年にVATの分類に関して申立。しかし2009年にプリングルスは、ポテト・クリスプと分類された事で課税対象に。それよりも、42%しかポテト成分が無い事に多くの消費者が驚いたようです。
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/wordofmouth/2009/may/21/pringles-vat-tax-crisps-snacks



※本文は以上です。
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