イギリスで銀行口座を開くと、当然英語だし、日本と名称が異なったり、日本に無かった機能があったりして、最初は困惑しますよね。
わたし自身も、渡英直後はバタバタしており、特にダイレクトデビット(Direct Debit)、スタンディングオーダー(Standing Order)、リカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment)の違いをそこまで意識せずに、諸々の支払い設定をしていました。
生活も慣れてきて、特段トラブルがあったとかは無いのですが、この支払方法の違いが何なのかモヤモヤが消えず、調べてみたところ、実は結構内容が違う事に気づきました。
お金の流れは同じですが、あなたに降りかかるリスクは、それぞれ異なります。
この記事を読んで、理解が深められていただければ幸いです。
ダイレクトデビット(Direct Debit)
ダイレクトデビット(Direct Debit)= DD、日本ではクレジットカードの方が普及していると思いますが、DDは直接あなた自身の銀行口座から引き落とされるものです。
Debitとは借方という意味です。
DDは、自動口座引き落し、と理解しておけば良いと思います。毎月の支払いでDDを設定しておけば、あとは勝手に支払いをしてくれます。
なんとなく言葉通りですね。
引き落とし先が、あなたとの合意に基づき、Current Account口座情報を用いてセットアップします。
DDは、もし引き落とし金額や、引き落とし日などに関して、予めあなたと合意した内容を変更したい場合、引き落とし先が、あなたにコンタクトしなくてはなりません。
DDは、カウンシル税やクレジットカードの決済などで使われたりします。
基本的には、引き落とし先のWeb上で、あなたが口座情報を入力して手続きします。
また少しテクニカル的な話題になりますが、DDはBACSというプラットフォームを使います。
BACSの由来は、Bankier’ Automated Clearing Servicesです。BACSでは資金が到着するのに 3営業日かかりますが、2008年からFaster Paymentsがロンチした事で、イギリスでは24時間365日、即時取引が反映されるようになりました。
Faster Paymentsがサポートされていれば、自動的にFaster Paymentsで取引が行われます。Sort Code(銀行コード)チェッカーたるものがあり、あなたの銀行がFaster Paymentsに対応しているか確認する事ができます。ほんとんどの銀行が対応しているのではないでしょうか。
今時SSL化されていないサイトですが、Faster Paymentsはちゃんとした団体です。
http://www.fasterpayments.org.uk/sort-code-checker
因みにDDは、直接或いは間接的に、予め認められた企業しか使う事ができません。
またDirect Debit Guarantee Schemeにより、ユーザーが保護されているので、より安心感があると思います。
スタンディングオーダー(Standing Order)
スタンディングオーダー(Standing Order)= SOは、定額自動振込み予約です。
振込ですが、毎月なり四半期なり、決められた先に定額を支払う場合、この機能を使う事が可能です。
DDと似ていますが、SOはあくまでも振込みなので、あなた自身がCurrent Account口座情報を用いてセットアップします。
AppやWebで銀行にログイン後、簡単に設定できますよ。
SOは、単なる定期的な先日付の振込み予約ですので、あなたの好きなように振込先や振込金額、振込日を指定できます。
SOは、あなたの別の銀行口座や、家族に振込みするような時に使います。またDDを使えない、個人に対する報酬(例えば英会話などの、レッスン代ほか)は、SOで払うか、都度振り込むパターンが多いと思います。
プラットフォーム的には、DD同様、SOもBACSです。
但し、SOはいわば振込みなので、Direct Debit Guarantee Scheme対象外です。
リカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment)
「Recurringとは繰り返し」という意味ですね。3つの支払い方法の内、一番馴染みが薄いのが、このリカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment)だと思います。
なお リカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment)は、Continuous Payment Authority(CPA)とも言われています。ここではCPAとして、使いたいと思います。
はっきり言って、わたしは最初、DDとCPAの違いが全く分かりませんでした。
DDのように口座引き落しでもなく、SOのように定額自動振込み予約でもない。
DDやSOとの一番の、そして大きな違いは、CPAがCurrent Account口座情報ではなく、カード情報を用いて、引き落とし先がセットアップする点です。
CPAは引き落とし先に、あなたに請求すべき金額がある場合、引き落としを許可するものです。
DDであれば、予めあなたと合意した金額、引き落し日などがあり、内容を変更するには、あなたにコンタクトする必要があります。しかしCPAは、あなたに改めてコンタクトせず、請求すべき金額がある場合は、勝手に引き落としする事が可能です。
イメージ的に近いというか、まさに、ホテルで宿泊前にカード情報をフロントに伝える行為と同じです。はい、デポジット。
もし、あなたが冷蔵庫の有料ドリンクやスナックを消費したり、各種サービスを受けた場合、ホテル側が請求して勝手に清算するあれです。
リカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment)の単語を見てみると、DDやSOに無い、Cardという文字がありますね。ここでいうカード情報とは、デビットカードやクレジットカードです。
NetflixやAmazonなどで使われるケースがあります。また前述の例の通り、クレジットカードもCPAに分類されるます。
CPAは、BACSではなく、インターネット経由になります。
DDにようにDirect Debit Guarantee Scheme対象外だけでなく、あなた自身でいつでも支払い内容を変更できるSOでも無いので、CPAは一番エンドユーザーからは避けられる支払い手段と言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか、DD、SO、CPA何れもあなたが支払う、という行為自体に変わりありませんが、どれもプロセスやリスクが異なりますね。
わたしは、この代表的な3つの支払い方法について正しく理解した後は、可能な限りDDや、SDで支払いを済ませ、なるべくCPAしか受け付けないサービスは避けるようにしていました。
一方CPAしか対応していなくても、あなたが継続的に利用したりしていて問題が無い先であれば、そこまで心配しなくても良いとは思います。個人的に、Amazonは日本にいた時から、イギリス、そしてドイツでもお世話になっています。
まわりでも知っている人がいなかったり、実態が良くわからない相手先とは、CPAを設定しない方が得策です。
あと支払い手続きに関して、あなたの口座情報(Sort Code + Account Number)ではなくて、カード情報(16桁の番号)を聞かれる場合は、CPAに誘導されているので注意しましょう。
最後にもう一度まとめておきますね。
- ダイレクトデビット(Direct Debit)= DDは、自動口座引き落し。 Direct Debit Guarantee Scheme対象。銀行口座と紐づき。
- スタンディングオーダー(Standing Order)= SOは、定額自動振込み予約。銀行口座と紐づき。
- リカーリングカードペイメント(Recurring Card Payment) = Continuous Payment Authority = CPAは、 いわゆるデポジット(保証金)。カード情報と紐づき。
イギリス在住者であれば、英国の消費者信用法セクション75(Section 75 of the Consumer Credit Act)により、100ポンド超のクレジットカード払いで商品やサービスを購入した消費者を、保護する規定があります。
デビットカード払い、プリペイドカード払い(例えばRevolutやTransferWiseなど)は、英国消費者信用法セクション75の適用外となるので、注意が必要です。
英国消費者信用法セクション75については、下記の投稿記事に詳しくまとめているので、ご参照下さい。
※本文は以上です。
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