日本人が誤って捉えてしまう可能性が高い英語表現の1つに、簡単だけど難しい英単語”Sorry”(ソーリー)が挙げられます。
十分に気を付けていても、仕事やプライベートで謝らないといけない場面が、誰しもあるかと思います。
“Sorry”は”Nonapology“(”nonapology apology”)、つまり「謝罪を伴わない謝罪」とも言われ、誠意をもって謝る時は”Sorry”ではなく、依然”Apology”(アポロジー)を使った方が適当な場合が多いです。
過去のわたし自身へのアドバイスですが、しっかりと”Sorry”と”Apology”を使い分ける事により、外国人の方との意思疎通が深まるでしょう。
また”My apology”と”My apologies”は、意味が異なるので注意が必要です。
本記事では、イギリス現地での社会人経験を通して学んだ”Sorry”や”Apology”の使い方を、いくつかの代表的な英語例文と合わせて説明したいと思います。
Sorry(ソーリー)の意味、例文
形容詞”Sorry”とは何か、今一度オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionaries = OED)で確認してみます。
sorry
引用元リンク:https://www.lexico.com/definition/sorry
Pronunciation /ˈsɒri/
ADJECTIVE
1. Feeling sad or distressed through sympathy with someone else’s misfortune.
2. Feeling regret or penitence.
3. In a poor or pitiful state.
- 悲しい気持ち、他人の不幸に同情し心配する様
- 後悔や悔恨を感じる様
- みすぼらしい様
イギリスに住んでいた時は、聞かない日が無い位、皆「ソーリー」を口にしていました。
例えば、地下鉄で乗り降りする際や歩道でもどこでも、誰かとぶつかりそうになった時、かなり軽い感じの「すみません」、「失礼」といったニュアンスで「ソーリー」(主語・動詞は省略される事が多い)が使われます。
また相手が何を言っているのか、聞き取れなかった時にも”Sorry ?”と言います。”Excuse me”より砕けた自然な印象を相手に与えるかと思います。
いくつか現地で使われる事が多かった”Sorry”を用いた例分を、その和訳とともに挙げてみます。
Sorry to bother you
“(I am) Sorry to bother you”は、「お邪魔してすみません」、「お時間を頂戴してすみません」、「お手数をおかけします」「お忙しいところ恐縮です」という意味合いです。
口語では、主語と動詞が省略される事がほとんどです。
何か取組み中の相手に対して、割り込んで話や部屋等に入る際、”Sorry to bother you”を言うとスマートです。
まさに「謝罪を伴わない謝罪」です。
メール本文でも、何か質問したり依頼する時に、付け加えたりします。
“Sorry to bother you”は明らかに現在形なので、強いて言えば会話の始めに使われる事が多いでしょう。
Sorry for bothering you
“Sorry to bother you”と同じニュアンスですが、to不定詞から動名詞にする事で、完了形になっている為、会話の終わりに使われる事が多いかと思います。
Sorry for the inconvenience
“(We are) Sorry for the inconvenience”は、工事現場等で見かける「ご不便をおかけします」、「ご迷惑をおかけします」です。こちらは省略されている主語と動詞は、We areでしょうか。
“inconvenience”は、「不便な」という意味で”convenience”(コンビニエンス)の反対語です。24時間営業のコンビニは、”convenience”から来ていますね。
工事現場で道が一時的に通行止めになっていたり、トイレが清掃中で使えない時、リフト(エレベーター)など何かしら壊れて使えない場合、”(We are) Sorry for the inconvenience”が使われます。
あまりに定型文過ぎるので、人によって(ちゃんとした謝罪かどうか)受け止め方が分かれるところです。
ややかしこまった表現で、ビジネスでも使えるフレーズではありますが、個人的には「謝罪を伴わない謝罪」というか、使い方によっては慇懃無礼かなぁと思います。
Sorry for late reply
“(I am) Sorry for (my) late reply”は「回答(返信)が遅れてすみません」、「回答(返信)が遅くなりました」という意味です。
どちらかというと後者で、ただ単に遅れましたという事実を認めているだけです。
“Sorry for (my) late reply”を挿入すると、多少は丁寧な印象になります。
Sorry not sorry
“Sorry not sorry”は、あなたの言動や行動を他人は好まないかもしれないけど、あなた自身は気にしない様を、皮肉めいて表現した比較的新しいフレーズ(スラング)です。
正式には”(I am) sorry, (but I am) not sorry”でしょうか。
2000年に入った頃から、インターネット上で使われ始めたと言われていて、アメリカのロックバンドAmenが2004年に“Sorry, Not Sorry”という歌をリリース、その中で“Sorry, I’m not sorry.”という歌詞が出てきます。
また2017年米Demi Lovatoがリリースした、“Sorry Not Sorry”の方が知名度があるかと思います。世界的なヒットとなり、様々なメディアに出てパフォーマンスをしていたので聴いた事がある人も多いかと思います。
Lovato氏が、彼女のアンチ(Haters)に対して投げかけた歌です。
2017 MTV Video Music Awardsの”Song of Summer”カテゴリー、また2018 MTV Video Music Awardsの”Best Pop”カテゴリーで、それぞれノミネートされています。
Sorry to hear that
“(I am) Sorry to hear that”は「それは残念です」、「お気持ちお察しします」、「お悔やみ申し上げます」という意味です。
“Sorry to hear that”と言っている本人は、自分には非が無いと自覚する一方で、相手の発言内容に対する共感を示しています。
例えば飛行機が遅延して乗継に失敗した、風邪を引いて大変だった、大事な人やペットが他界したなど不幸な出来事に対して使われたりします。
同じ”Sorry”ですが「謝罪を伴わない謝罪」とは、全く意味が異なりますね。
実生活では使う事が必ず出てくるので、覚えておいた方が良い表現です。
So sorry
“So sorry”は、”sorry”の前に”so”を付け加える事で強調文になります。上記で説明した例全てに、当てはめる事ができます。
また後述する動詞”Apologise”はフォーマルな言い方なので、友達に謝る時は、”I am so sorry”、”I am truely sorry”など、”Sorry”を用いた強調文の方が自然です。
Apology(アポロジー)の意味、例文
続いて名詞”Apology”(複数形は”Apologies”)とは何か、同じくオックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionaries = OED)で確認してみます。
apology
引用元リンク:https://www.lexico.com/en/definition/apology
Pronunciation /əˈpäləjē/ /əˈpɑlədʒi/
NOUN (apologies)
1. A regretful acknowledgment of an offense or failure.
2. A very poor or inadequate example of.
3. A reasoned argument or writing in justification of something, typically a theory or religious doctrine.
- 相手への侮辱・不快感や、何か失敗した事に対して後悔を認める様
- 非常に不適当・不適切な様
- 理論や宗教的教義等、何かを正当化するための合理的な議論または文書
人や物事に対する自分の言動や行動を後悔している為、相手方に対して謝罪している事になります。
Apology for the inconvenience
“Apology”は、”Sorry”よりフォーマルな表現で、自分に非がある事を認め、相手にしっかりと謝罪しています。
例えば”Apology for the inconvenience”、”Apology for late reply”などです。
My apology
“My apology”は、謝罪表現の1つです。
より強調する場合は、”My sincere / sincerest / deepest / humble apology”などがあります。
My apologies
My apologiesは、ややこしいのですがI am sorryと同じ意味を成すイディオムです。
一見すると”My apology”と似ていて、複数形になった”apologies”を使っているだけですが、意味が異なるので注意が必要です。
All Apologies
“All Apologies”は、アメリカのロックバンドNirvana(ニルヴァーナ)が、1993年リリースした曲名です。
“Sorry not sorry”みたいにスラング化はしていませんが、1995年グラミー賞にノミネート、またRock and Roll Hall of Fameの”The Songs That Shaped Rock and Roll”にリスト入りした名曲です。
Apology繋がりで、折角なので覚えておくと、いつか役立つかもしれません。
Apology accepted
“(Your) Apology (is) accepted”とは、謝罪を受け入れるという意味です。
あくまでも謝罪を受け入れる(=あなたが行いを悔いている事は承知した)だけで、許すかどうかは別問題なので、前後の文脈で判断する必要があります。
I apologise
名詞ではなく、動詞の”Apologise”(イギリス英語)を用いる場合もあります。
英国のYouGov社(グローバルなデータ収集と分析の専門会社)によると、イギリスで2018年に実施された調査で、複数の言い回しの中で最も適切な謝罪文は、回答者の84%が認めた”I sincerely apologise”でした。
Matthew Smith
引用元リンク:https://yougov.co.uk/topics/lifestyle/articles-reports/2019/02/06/most-brits-think-im-sorry-any-offence-caused-prope
February 06.2019
The simple act of saying “I am sorry” is seen as a truthful apology by three quarters of Britons (74%).
しかし同調査によると、”Sorry”は”Nonapology”(謝罪を伴わない謝罪)と認識している筈のイギリス人でさえ、回答者の3/4程度が”I am sorry”は適切な謝罪として受け入れられている結果が出ています。
言語は生きものと言われる所以ですが、英語非ネイティブのわたしが逆に違和感を覚えてしまいます…
I apologize
“Apologise”と同じですが、”Apologize”はアメリカ英語です。
どちらでも良いと思いますが、イギリス英語かアメリカ英語かは統一した方がスマートです。
SorryとApologyの違い
“Sorry”と”Apology”を比較した表を載せておきます。この表を見比べながら、それぞれの例文をもう一度読むと、更に理解が深まるかと思います。
“Sorry” | “Apology” | |
---|---|---|
非難される人 | 必ずしもわたしではない | わたし |
心理面 | 共感、悲しさ、後悔 | 後悔、責任感 |
表現 | よりカジュアル | よりフォーマル |
哀悼の意 | 使える | 使えない |
品詞 | 形容詞 | 名詞 |
簡潔に説明すると、タイトルにしている通り「謝罪を伴わない謝罪」が”Sorry”です。つまり何かに対して自分が責任を問われているか否かでは無いでしょうか。
例えば天候不順という不可抗力で飛行機がキャンセル・遅延した場合、パイロットやキャビンアテンダントは”Sorry”を使う筈です。うろ覚え過ぎて、実際どうだったかは覚えていませんが…
航空会社の落ち度により飛行機がキャンセル・遅延した場合は、本来”Apology”が使われるべきだと思いますが、過去EU261に則り、航空会社にクレーム申請した時は、補償金が支払われたものの”Sorry”しか使われていませんでした。
まぁ補償金が出ないで”Apology”と言われるだけよりは、全然ましです。
最後に
謝罪を伴わない謝罪Sorry、Apologyとの違い及び各例文でした。
組合せは無数にあるのですが、本記事でまとめた基本構造を理解していれば、本来意図している事を正確に汲み取れたり、伝える事ができるかと思います。
“Sorry” | “Apology” | |
---|---|---|
非難される人 | 必ずしもわたしではない | わたし |
心理面 | 共感、悲しさ、後悔 | 後悔、責任感 |
表現 | よりカジュアル | よりフォーマル |
哀悼の意 | 使える | 使えない |
品詞 | 形容詞 | 名詞 |
日本語でもそうですが、言語は日々進化していくものなので、本記事で説明した内容が絶対という事はありませんが、何かしら参考になれば幸いです。
※本文は以上です。
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