欧州における女性の社会進出ランキング、働きやすい国はどこ?

あなたはジェンダー・ギャップという言葉を、聞いたことがありますか?

よく北欧は女性の社会進出が進んでいると聞きます。わたしが実際に住んだことがある国は、イギリスとドイツなのですが、それでもヨーロッパで仕事をしている身からすると、日本と比較して要職に女性が就かれているケースが散見されます。

海外で働くには、もちろん言語の習得や、他文化の理解が大事なのは言うまでもありませんが、現実問題、そもそも国として女性の働きやすさがどうなのか、頭の片隅に入れておいても損はなさそうです。

将来、ヨーロッパで働きたい、住みたいという方の参考になれば幸いです。

なお予備知識として、EU27か国における人口の男女比は、49%:51%と若干女性の方が多いです。

特段コメントがない限り、ソースはユーロスタット(EU統計局)です。

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ユーロスタットの数値

EUの統計局ユーロスタットが出している最新の2018年における、20‐64歳の男女別雇用率です。

EU27か国に、イギリス、アイスランド、スイス、ノルウェーを加えた31か国を対象にソートしています。

定義付け

ユーロスタット通りの定義ですが、日本語抄訳です。

就業者数=該当する週において、有給で少なくとも1時間働いた、或いは一時的に休暇だった全ての人

パートタイム労働者数=就業者の内、フルタイムではない人。フルタイムとパートタイムの違いは、数か国(週32-36時間の間で判断)を除いて自己申告制

失業者数=該当する週において、仕事に就いておらず就業する意思があり、過去4週間において求職活動を行っていた全ての人

労働力人口=就業者数+失業者数

非労働力人口=全人口-労働力人口

雇用率=就業者数/20‐64歳の人口

失業率=失業者数/労働力人口

女性の雇用率トップ10

女性の雇用率トップ10です。
参考までに男性の数値も併記しています。

ドイツは、わたしが住んでいるので太字にしていますが、深い意味はありません。

順位女性男性
1位アイスランド83.2%89.5%
2位スウェーデン80.2%84.4%
3位スイス77.9%87.0%
4位リトアニア76.7%79.0%
5位ノルウェー76.5%81.7%
6位ドイツ75.8%83.9%
7位エストニア75.6%83.4%
8位ラトビア74.8%79.0%
9位フィンランド74.5%78.2%
10位オランダ74.2%84.3%
EU27か国平均66.5%78.3%

EU27か国平均値では、男女差で11.8%の開きがあります。

北欧とバルト三国が名を連ねています。

大学卒業者割合では、女性の方が上回っているのですが…雇用率では逆転現象になっています。

パートタイムの雇用率は

次に、分母を就業者数に、分子をパートタイム労働者に絞った雇用率リストです。

以下は低い数値ほど、フルタイムで働いている人が多い国という事になります。

他意はありませんが、パートタイムの雇用率を見ることで、どの位の女性がフルタイムに就いていないか、補足できます

順位女性男性
1位オランダ73.8%23.0%
2位スイス63.0%17.0%
3位オーストリア47.6%9.9%
4位ドイツ46.7%9.3%
5位ベルギー40.5%9.4%
6位イギリス38.6%9.6%
7位ノルウェー35.6%8.1%
8位イタリア32.4%7.9%
9位スウェーデン31.6%11.7%
10位ルクセンブルグ31.4%5.3%
EU27か国平均29.5%7.8%

就業者の内、EU27か国平均では、約3割の女性がパートタイムという結果でした。
一方の男性は8%と1割を切る水準、結構な乖離があります。

このデータは、必ずしもフルタイムでの就業を希望している人の割合では無いのですが、重要な数値かと思います。

各個人の都合や希望などで、敢えてパートタイムという選択肢をされている方もいるかと思いますが、オランダ女性の3/4弱という数値は、ヨーロッパ内で飛びぬけており衝撃的ではあります。

中東欧エリアは、女性の割合で約1割程度以下が多いです。

フルタイムで就業できる(女性の社会進出が進んだ国)と見るか、パートタイムで生活が成り立つと見るかで、この順位の見方が変わってくるかと思います。

ぱっと見ると、女性のパートタイム雇用率が高い国は、GDP(国内総生産)も同様にEU内で高い国ですね。

世界経済フォーラム(World Economic Forum)

世界経済フォーラムは、毎年「男女平等指数」を公表しています。

こちらは、より広範に政治、経済、健康、教育面などでの男女格差を数値化して、分析したものになります。

広範囲に比較している分、ユーロスタットの順位とは異なりますが、合わせて掲載しておきたいと思います。

ソース元は全世界ですが、本記事では平仄を取りEU27か国に、イギリス、アイスランド、スイス、ノルウェーを加えた31か国を対象に、トップ10を抽出しました。

欧州の順位全体の順位スコア
1位1位アイスランド0.877
2位2位ノルウェー0.842
3位3位フィンランド0.832
4位4位スウェーデン0.820
5位7位アイルランド0.798
6位8位スペイン0.795
7位10位ドイツ0.787
8位11位ラトビア0.785
9位14位デンマーク 0.782
10位15位フランス0.781

何を分析対象に組み入れるかで、がらりと順位が変わってくるのでお含み置き下さい。


ユーロスタットからの情報を元に、雇用率だけで順位付けしたものとは、必ずしも一致しておりませんね。

スイス、リトアニア、エストニア、オランダが10位圏外になった代わりに、世界経済フォーラムのリストではアイルランド、スペイン、デンマーク、フランスが入っています。

まとめ

女性が働くには、日本とヨーロッパ諸国どちらが優れているか、という議論は置いておいて、雇用面から見た、ヨーロッパの男女別社会進出についてでした。

言われていた通り、北欧はユーロスタットでも、世界経済フォーラムの男女平等指数どちらも、安定的に上位に入っていました。

出口ありき(数合わせ)で、女性を登用する事に関しては議論があったようですが、ドイツでは2015年に女性クオータ制が導入され、管理職における女性割合を一定数に定めて、女性の積極的な社会進出を後押しする制度となっています。

ユーロスタットのデータは、特に日本人を抽出したデータではありませんので、日本人という事を活かして海外で働くとなると、また違った結果になってくると思います。

優秀な人材が性別によって不当に評価されているのであれば、それは社会にとって損失以外のなにものでもありません。

男女問わず、平等というか、格差すら意識しない位当たり前の社会になると良いです。




※本文は以上です。
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