個人輸入や中古品の売買時は要注意。iPhone本体をはじめ、多くの電子機器・電気機器他にある「CEマーク」、ヨーロッパのみならず日本国内で見かける事も多いかと思います。
「CEマーク」は、何となく機器本体の安全性を、当局が保証するものと思いこんでいましたが、どうやら違うようです。
また「CEマーク」は電化製品のみならず、対象となる製品は多岐にわたります(後述)。
単なる無知という突っ込みもありますが、個人的にはイギリスの電圧が240ボルトでは無かったのと同じ位、衝撃的でした。
本記事ではEU指令より、当局による安全性保証で無いのであれば「CEマーク」は一体何を意味するのか説明したいと思います。
あるものを個人輸入しようとしていて、「CEマーク」について深堀した際の記録です。
主にヨーロッパ在住者向けの記事ですが、一般消費者の視点で気を付けるべき点も、可能な限りまとめてみました。
CEマークとは、対象国
「CEマーク(英語:CE Marking)」とは、EEA域内で販売される製品が、高い安全性、健康及び環境保護の要件に適合している事を意味します。
対象製品(後述)は、「CEマーク」を表示する事が法律で定められています。また対象製品外にもかかわらず、CEマークを付けてはいけません。
“CE”は、フランス語”Conformité Européene”(英語:European Conformity、直訳すると「ヨーロッパの適合」)の略語説があるようですが、EU指令で言及されている箇所を見つける事ができませんでした。
当初は”EC Mark”
ヨーロッパでは当初”EC Mark”と言われていましたが、1993年以降はEU指令(Directive 93/68/EEC)に則り、”CE Marking”が公式に使われるようになりました。
この名残からか、日本語では「CEマーク」の方が見聞きする機会が多い気がします。
正式には「CEマーキング」とした方が良いのかもしれませんが、本記事では「CEマーク」で統一したいと思います。
誰が表明するのか
EU当局ではなく、「CEマーク」はEEA域内で販売される製品に関して、高い安全性、健康及び環境保護の要件に適合している事を製造者が表明します。
CHAPTER IV
引用元リンク:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1415011406506&uri=CELEX:32008R0765
CE MARKING
Article 30
General principles of the CE marking
3. By affixing or having affixed the CE marking, the manufacturer indicates that he takes responsibility for the conformity of the product with all applicable requirements set out in the relevant Community harmonisation legislation providing for its affixing.
やはり、製造者が責任を以てとありますが、保証では無く、適合性を表明(自己宣言)しているに過ぎません。
実務上、要件に適合しているかは、製品グループごとに定められた指令(Directive)等を製造者が確認する事になります。
自己宣言とは言え、然るべき手順があり当局等から求められた際には、正当な手続きを経て「CEマーク」を使用している事を、製造者は証明する必要があります。
目的
製造者(輸出者)の視点では、「CEマーク」を取得する事で、EEA域内において製品の流通・販売が許可されます。
EEAは現在30か国あります。国別に都度手続きをする必要が無いのは、何よりのメリットであると同時に、域内で同じルールが企業に課される為、公正な競争を促していると言えます。
また必ずしもEEA圏の製造者である必要は無く、「CEマーク」付きであっても、EEA圏内で製造されたものを証明するものではありません。
EU圏では、人の行き来の自由が保障されていますが、「CEマーク」は製品にとってのパスポートと言えます。
対象製品グループ
EEAで取扱われる全ての製品において、「CEマーク」の取得及び表示が求められている訳ではありません。
以下が「CEマーク」の対象製品グループです。製品(より危険性の高いもの)によっては製造者自身ではなく、第三者機関による適合性評価が必要です。
- Active implantable medical devices
- Appliances burning gaseous fuels
- Cableway installations designed to carry persons
- Construction products
- Ecodesign of energy related products
- Electromagnetic compatibility
- Equipment and protective systems intended for use potentially explosive atmospheres
- Explosives for civil uses
- Hot-water boilers
- In vitro diagnostic medical devices
- Lifts
- Low voltage
- Machinery
- Measuring Instruments
- Medical devices
- Noise emission in the environment
- Non-automatic weighing instruments
- Personal protective equipment
- Pressure equipment
- Pyrotechnics
- Radio equipment
- Recreational craft
- Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment
- Safety of toys
- Simple pressure vessels
身近な例を挙げると、冷蔵庫、冷凍庫、パソコン、デジカメ、プリンター、スマートフォン、スマートウォッチ、充電器、LED照明、サングラス、ヘルメット、手袋、安全靴、電動自転車、花火、おもちゃ(対象年齢14歳未満、またサドルの高さが435mm以下の自転車含む)など多岐にわたります。
食品、衣服、コスメ等は「CEマーク」対象外です。
日本の技適マークとの相違点
ヨーロッパにおける「CEマーク」に類似するものとして、日本国内では「技適マーク」があります。
総務省によると、技適マークは「電気通信事業法に基づく、端末機器に対する技術基準適合認定」と「電波法に基づく、特定無線設備に対する技術基準適合証明」の2種があります。
身近な例のスマホ以外に、飛行機や船、また警察・消防・救急など国民生活の安心・安全を確保する業務に、電波が使われています。
日本国内では、技適マークのある製品を皆が使用する事で、混信や妨害によるトラブルを防ぐ目的があります。
技適マークも適合証明なので、当局などが保証をしている訳ではなく、この点は「CEマーク」と似ています。
主に電波や機器を対象とした日本の技適マークに対し、先ほどの対象製品グループで見た通り欧州「CEマーク」の対象は広範囲に及ぶ点が異なります。
まとめ
欧州「CEマーク」に関しての記事でした、以下箇条書きにまとめてみました。
- EEAで流通・販売OK(パスポート的な役割)
- 安全性、健康及び環境保護の要件に適合している事を意味
- 製造者(或いは第三者機関)が適合要件を精査し、自己宣言するもの
- 当局や製造者が、製品の安全性を保証するものでは無い
- 製品がEEAで製造された事を証明するものでは無い
- 対象製品は多岐にわたる
どちらかというと製造者・輸入者・販売者側にルールが課されているので、消費者の視点では「CEマーク」の有無は、信頼のおける相手先と取引をしている限り、そこまで気を付ける必要は無いかもしれません。
例えばヨーロッパ在住の個人が、EEA圏外(例えば日本、イギリス他)のサイトから直接買い付けて個人輸入したり、中古品の売買をする際には、注意する必要があります。
特に、おもちゃ(対象年齢14歳未満)に関しては、法改正により全て「CEマーク」の対象なので、知らずにEEA域内に持込んでしまうリスクがあるかと思います。
因みにToy Safety Directive 2009/48/EC上、おもちゃの定義に該当しないものは添付(ANNEX I)に、リストアップされています。
自転車のサドル高もそうですが、クリスマスなどの飾りつけや500ピース以上のパズルは、おもちゃでは無いとされていたり、かなり細かいです。
※本文は以上です。
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