ドイチェ・ポスト(独郵便)に学ぶ、正しいドイツ語住所の書き方

活版印刷術やペリカンやカヴェコを始めとする文房具、紙の寸法「A4」を定めたドイツ規格協会、フランクフルト・ブックフェア、現金社会など、何かと「紙」に対する拘りが多い印象のドイツ

郵便物(手紙・はがき等)や荷物(小包等)を送る際の、正しいドイツ語住所(宛名・宛先)の書き方を在独者がまとめたものです。

書式はドイツ規格協会(Deutsches Institut für Normung)が定めた”DIN 5008″に準拠する必要があります。

“DIN 5008″の詳細は、ドイツ規格協会(DIN)により販売されていますが、本記事では同企画に沿った説明をしているドイチェ・ポスト公式サイト(Briefumschlag richtig adressieren)をソース元にしています。

ドイチェ・ポスト(Deutsche Post、民営化される前はDeutsche Bundespost)は日本でいう郵便局で、現在はDeutsche Post DHL Groupのコーポレートブランドの一つです。

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ドイツの住所(宛名・宛先)表記

ドイツの住所(宛名・宛先)表記ですが、国内であれば基本的に個人向けは3行(②④⑤)です。

厳密には③ディストリクトを明記するよう、ドイチェ・ポスト公式サイトでは説明されていますが、⑤5桁の郵便番号がディストリクトより細分化されたエリアを既に表している為、今日では省略されるケースがほとんどです。

日本語内容ドイツ語内容
1行目①企業名Firma
2行目②部署名、宛名Abteilung, Name
3行目③ディストリクトOrtsteilbezeichnung
4行目通り名、物件番号(建物名や部屋番号)Straße, Hausnummer
5行目5桁の郵便番号、都市名PLZ(Postleitzahl), Ort 
6行目⑥国名(国際郵便の時)、大文字Ziellandes


以下は、企業向け宛名・宛先のサンプルです。

①企業名の末尾にある”AG”は「株式会社」、②のHerrは英語で”Mr.”という意味です。

①Franz Fröhlich AG
②Einkauf, Herr Schulz
③Beuel
Hermannstraße 64
53225 Bonn


因みに、ドイツでは企業向けに送られた手紙で、宛名の一行目が(個人名では無くて)企業名の場合、会社で権限のある人が手紙を開封できてしまいます。


渡独直後は当然このようなルールは知らず(以前いたイギリスの職場では、このようなルールはありませんでした。日本でも多分無いですよね。)、職場の誰が勝手に個人向けの手紙や封筒を開けたのか不思議でした…

個人名を一行目に、そして二行目に”persönlich”、三行目に企業名を書くと親展扱いになりますが、登録された宛先と宛名不一致により、最悪手紙が届かない恐れがあります。


イギリス書式では裏面に明記しますが、ドイツ書式だと差出人情報は表面です。以下はドイツで気を付けるべき主な点です。

  • 行は指定された通りの順序に
  • 宛名・宛先情報は、表面の右下に明記する
  • 宛先情報は、左右及び下側から最低15㎜、上側から最低40mm余白を設ける
  • 宛名・宛先は左詰めにする
  • 文字や数字は同一のフォント、サイズで統一する
  • 差出人情報は、表面の左上に明記する
  • 切手の貼り付ける場所は、表面の右上
  • 白或いは明るい色の紙に、黒色のインク
  • 国際郵便の時、国名はカントリーコードを使用せず、正式名称を使う
    カントリーコードは1999年9月1日に廃止済み
  • 国際郵便の時、国名は大文字で書く
  • 国際郵便の時、国名はドイツ語・フランス語・英語何れかの言語でOK

ドイツは郵便番号でエリアを絞った後(後述)、「通り名+番号」で全ての建物が分かる為、かなり分かり易い書式と言えます。

差出人情報(日本の住所)をドイツ語表記するには

差出人情報は、表面の左上に書きます。

ドイツの住所の場合、上記で説明した宛名・宛先と同じ書式で、差出人情報を書きます。



別途、以下の投稿記事内に日本の住所を英語表記する方法(やアメリカにおける正しい書式)を説明しています。


ドイツ語アルファベットは、英語ラテン・アルファベット26文字に、ウムラウトの付いた3文字(Ä, Ö, Ü)及びエスツェット(ß)を加えた30文字です。

日本語には、ウムラウトやエスツェットは当然存在しないので、ドイツに何か送る際は、上記リンク先の通り英語表記で問題ありません。

ドイツのPLZ(Postleitzahl)、エリアと主要都市

ドイツ連邦共和国は16の州で成り立っていますが、5桁の郵便番号PLZは中東部を起点に反時計回りで「0~9」が1桁目に割り振られています。

郵便番号最も大きな都市
0ライプツィヒ
1ベルリン
2ハンブルク
3ハノーファー
4デュッセルドルフ
5コロン
6フランクフルト・アム・マイン
7シュトゥットガルト
8ミュンヘン
9ニュルンベルク


ドイチェ・ポスト公式サイトで販売されている、郵便番号と地図が載ったポスターです。閲覧するだけなら無料なので、視覚的に見たい方はご参考までに。
https://www.deutschepost.de/de/d/deutsche-post-direkt/postleitzahlenkarte.html


ドイツで4番目の欧州文化首都に指定されたケムニッツは「0」です。



ブックフェアが開催されるフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main)ですが、ドイツで話す時は略さずに全て言いましょう。何故なら「フランクフルト」だけだと、同じドイツ内にあるフランクフルト・アン・デア・オーダー(Frankfurt an der Oder)と混同されてしまうからです。



5桁のPLZですが、割り振られている州別に整理すると以下の通りになります。

郵便番号州名州都
6, 7, 8, 9バーデン=ヴュルテンベルク州シュトゥットガルト
6, 7, 8, 9バイエルン州ミュンヘン
1ベルリン州ベルリン
0, 1ブランデンブルク州ポツダム
2ブレーメン州ブレーメン
2ハンブルク州ハンブルク
3, 5, 6ヘッセン州ヴィースバーデン
1, 2メクレンブルク=フォアポンメルン州シュヴェーリン
1, 2, 3, 4ニーダーザクセン州ハノーファー
3, 4, 5ノルトライン=ヴェストファーレン州デュッセルドルフ
5, 6, 7ラインラント=プファルツ州マインツ
6ザールラント州ザールブリュッケン
0ザクセン州ドレスデン
0, 1, 2, 3ザクセン=アンハルト州マグデブルク
2シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州キール
0, 3, 9テューリンゲン州エアフルト

最後に

最後に、ドイツの住所(宛名・宛先)表記をサンプル、主な注意点と合わせて載せておきます。

日本語内容ドイツ語内容
1行目①企業名Firma
2行目②部署名、宛名Abteilung, Name
3行目③ディストリクトOrtsteilbezeichnung
4行目通り名、物件番号(建物名や部屋番号)Straße, Hausnummer
5行目5桁の郵便番号、都市名PLZ(Postleitzahl), Ort 
6行目⑥国名(国際郵便の時)、大文字Ziellandes
①Franz Fröhlich AG
②Einkauf, Herr Schulz
③Beuel
Hermannstraße 64
53225 Bonn
  • 行は指定された通りの順序に
  • 宛名・宛先情報は、表面の右下に明記する
  • 宛先情報は、左右及び下側から最低15㎜、上側から最低40mm余白を設ける
  • 宛名・宛先は左詰めにする
  • 差出人情報は、表面の左上に明記する
  • 国際郵便の時、国名はカントリーコードを使用せず、正式名称を使う
    (カントリーコードは1999年9月1日に廃止済み)
  • 国際郵便の時、国名は大文字で書く



イギリスに比べると、ドイツの郵便事情はかなりしっかりしていて、今のところ紛失はゼロです。



ドイツ規格協会(DIN)を初めて聞いた方も多いかと思いますが、設立は1917年と100年以上前で、例えば紙の寸法「A4」を定めたのがDINです。

他にも鉄道や交通標識で使用される書体を、DINが定めています。



活版印刷術、羅針盤、火薬はルネサンスの三大発明と言われていますが、活版印刷機を発明したのはマインツ生まれヨハネス・ゲンスフライシュ(グーテンベルク)ですし、ペリカンやカヴェコなどを始めとする文房具、フランクフルト・ブックフェア(FRANKFURTER BUCHMESSE)、依然現金社会だったり、何かと「紙」に対する拘りが強い印象のドイツです。






※本文は以上です。
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