イギリスを代表する食文化として、イングリッシュ・ブレックファスト、サンデー・ロースト、ヨークシャー・プディング、スコッチ・エッグ、ハギス、フィッシュ&チップス、アフタヌーン・ティーなどが挙げられます。
大抵のホテルやレストラン、パブ等で今もなお提供されていますが、イギリス人自体の食に関しては、動物性から植物性へパラダイムシフトが起こっているかも分かりません。
何故ならば英国環境・食料・農村地域省、通称DEFRA(Department for Environment Food and Rural Affairs)によると、イギリス国内の牛乳、お肉、魚、卵の消費量は減少傾向にあるからです。
一方で、ベジタリアンやヴィーガン向けの食品は、年々多く提供され盛り上がりを見せています。
本記事では、実際イギリスに住んでいた身として、なぜ食文化は大きな転換点を迎えているかもと思うのか、ざっくり説明したいと思います。
英国食文化のパラダイムシフトは、2010年代からか
ヴィーガン(Vegan)という言葉は、1944年にイギリスで生まれました。
どちらかというとヴィーガンはFad(一時的なブーム)と捉えられていた時代が少なからずあったかと思いますが、今日ではFashion(流儀、様式)として確立されている印象です。
イギリスに限定された動きではありませんが欧州議会(European Parliament)が2010年、食品表示に関して初めてヴィーガンに言及、世の中一般的にヴィーガンという言葉が浸透してきた証と言えます。
legislative resolution of 16 June 2010
引用元リンク:https://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2011:236E:0187:0234:EN:PDF
The term ‘vegetarian’ shall not be applied to foods that are, or are made from or with the aid of products derived from animals that have died, have been slaughtered, or animals that die as a result of being eaten. The term ‘vegan’ shall not be applied to foods that are, or are made from or with the aid of, animals or animal products, including products from living animals.
SNSが、ヴィーガニズム(Viganism)を後押し?
Simon Cowell、Joaquin Phoenix、Miley Cyrus、Ariana Grande、Sia等々、ヴィーガンである事を公表している海外有名人は沢山います。
憧れの人に感化されてか、単なる一時的な興味からか、何れにせよSNSによる影響は相応にあると思われます。
Veganuaryという英国のNPOがあります、VeganとJanuaryを組み合わせた造語ですが、新年の抱負として(まずは1か月間)ヴィーガンに挑戦しよう!というキャンペーンを2014年から毎年1月に打ち出していて、SNSで一気に広まりをみせています。
参加者は、料理やレシピを積極的にソーシャルメディアに投稿して共有、みなさん楽しみながらヴィーガンに挑戦していて、ちょっとお祭りみたいな感じですね。
時期的にクリスマス休暇で食べ過ぎた人達が、ダイエット目的でヴィーガンに挑戦してたりします。
Googleトレンドというサイトで、イギリスにおける検索キーワード「vegan」で調べる事ができる2004年以降を見てみます。
グラフ上の最高値を基準として、検索インタレストを相対的に表したものです。
ずっと低空飛行でしたが、2015年あたりから右肩上がりで、2020年1月に100を記録しています。
2020年1月に何があったかというと、Veganuaryに加え、イギリスはWatfordの審判所(tribunal)が、同国内で初めてEhical veganismを哲学的信念と認めました。
どういう事かというと英国平等法(Equality Act 2010)の下、Ethical Veganに対する差別を禁止するものです。この判決により、注目度が一気に高まったものと思われます。
https://www.bbc.com/news/uk-50981359
なおツイッターは2006年、インスタグラムは2010年にそれぞれロンチしました。
SNSが成長するのと歩調を合わせるかのように、ヴィーガニズムも勢いをつけている印象です。視覚的に、やはりインスタグラムとの相性が抜群のようです。
Waitroseという、やや高級路線のスーパーが2000人を対象に実施した調査(Waitrose & Partners Food & Drink Report 2018-19)によると、1/3(33.5%)が、お肉の消費を辞めたり減らしているとの事。
抄訳
・1/8(12.5%)が、ヴィーガン(3%)或いはベジタリアン(9.5%)
・1/5(21%)が、フレキシタリアン
・ヴィーガンの60%が、ベジタリアンの40%が、過去5年の間で菜食主義に
・菜食主義になった理由は、55%が動物福祉、45%が自身の健康、38%が環境問題(複数回答あり)
・18-34歳のグループが最も菜食主義になりやすく、55歳超のグループはあまり熱心ではない
最後に
イギリスは伝統を重んじる国に変わりないですが、同時に変化を恐れず新しい事を受け入れる文化があると思います。
わたしが実際イギリスに住んでいて感じた事に限定されますが、例えばヨーロッパ随一のキャッシュレス先進国だったり、モンゾーやレボリュート、トランスファーワイズなどフィンテック企業の台頭、LBGTに関する動きが目につきます。
ヴィーガニズムはFad(一時的なブーム)からFashion(流儀、様式)へ、2010年欧州議会が初めてヴィーガンに言及して以降、SNSのブームに乗り、ついに2020年には英国平等法(Equality Act 2010)の下、Ethical Veganに対する差別を禁止。
筆者による勝手な妄想ですが、極端な話もしかしたら10年後、20年後には冒頭で紹介したイギリスを代表するイングリッシュ・ブレックファスト、サンデー・ロースト、ヨークシャー・プディング、スコッチ・エッグ、ハギス、フィッシュ&チップス、アフタヌーン・ティーなどは、観光客向けにしか提供しなくなっていたりするかもしれません。
或いは、イギリスを代表する食文化に、ヴィーガン向けメニューが加えられているかもしれないですね。
実際、アフタヌーンティーに関しては、フォートナム・アンド・メイソンやサヴォイなど、ヴィーガン向けに既にサービスを展開しています。
健康や二酸化炭素排出削減という名目のもと、将来的にお肉や乳製品など動物性食品の消費に税金が課されたりして、本当にそうなったら、もはや嗜好品のような扱いです。
ヴィーガンでは無い一般人が、断片的に情報を集めただけの記事なので、話半分でお付き合いいただけたらと思います。
※本文は以上です。
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