在宅勤務の最適解、欧州では普通のスタンディングデスク。

腰痛で椅子に座り続けているのが辛い方、在宅勤務になった方等に是非スタンディングデスクを試してもらいたいです。

イギリスで働き始めた時に、会社で初めてスタンディングデスクを見て驚きました。今まで見たことが無い高さのデスクを使い、凛とした立ち姿勢で仕事をしている同僚を眩しく思った程です。

渡英するまで働いていた日本では、皆椅子に座って仕事をしていました。勉強も当然座ってやるものだと思っていました。


海外に出て影響を受け過ぎと言われてしまうかもしれませんが、会社や自宅でスタンディングデスクを使ってきた経験から、これは純粋に良いと思ったので、記事にまとめてみました。

流石に運動不足の解消にはなりませんが、在宅勤務(テレワーク)など自宅にいる時間が長い人ほど、特に健康面でスタンディングデスクを使うメリットがあるかと思います。

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EU指令で、上下昇降式デスクの使用を奨励

ヨーロッパでは、そもそもEU指令(90/270/EEC)で最低限満たす必要がある、職場の労働安全衛生基準を定めています。


必ずしも立ち姿勢を維持する目的では無く、PCなどのディスプレーが適切な位置に配置される1つの手段として上下昇降式デスクが挙げられています。

パソコンなどディスプレーを用いた作業に係る、職場の安全健康基準ですが、ほとんどのデスクワークでPCが使われているかと思います。

COUNCIL DIRECTIVE
of 29 May 1990

on the minimum safety and health requirements for work with display screen equipment (fifth individual Directive within the meaning of Article 16 (1) of Directive 89/391/EEC)

(90/270/EEC)

ANNEX
1. EQUIPMENT

(b) Display screen
The characters on the screen shall be well-defined and clearly formed, of adequate size and with adequate spacing between the characters and lines.
The image on the screen should be stable, with no flickering or other forms of instability.
The brightness and/or the contrast between the characters and the background shall be easily adjustable by the operator, and also be easily adjustable to ambient conditions.
The screen must swivel and tilt easily and freely to suit the needs of the operator.
It shall be possible to use a separate base for the screen or an adjustable table.
The screen shall be free of reflective glare and reflections liable to cause discomfort to the user.

(e) Work chair

The work chair shall be stable and allow the operator easy freedom of movement and a comfortable position.
The seat shall be adjustable in height.
The seat back shall be adjustable in both height and tilt.
A footrest shall be made available to any one who wishes for one.

引用元リンク:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A01990L0270-20190726


近年シリコンバレーで使われ始めてからか世界的に注目されるようになった感がありますが、スタンディングデスク自体の歴史は古く、大昔はステータスシンボルとして扱われていたようです。

例えばSir Winston Churchill、Leonardo Da Vinci、Napoleon Bonaparte、Thomas Jefferson、Ernest Hemingway等の偉人たちは、スタンディングデスクを使っていたと言われています。


今日では、誰でもデスクを保有でき特別なものではありませんが、それでもスタンディングデスクは創造性や革新性、またデザインや健康面におけるシンボル的な意味合いが少なからずあるかもしれません。

特に不満があった訳ではありませんが、わたしが渡英前に働いていた日本の職場では、調整できる椅子こそありましたが、机は高さが固定されていて調整する、まして立ち姿勢で使うという設備も概念も全くありませんでした。

イギリスの職場で初めてスタンディングデスクを使って以来、わたしはその虜になっています。

座るのと立つのは、結局どちらが良いのか?

デスクワークをする際、座るのと立つのは、結局どちらが健康に良いのでしょうか?

英国医師会が発行するBritish Medical Journal(BMJ)によると2015年に公開された“Stand during working day to prevent health risks of sedentary jobs, says guidance”では健康面の観点から、デスクワークの人は1日2時間以上の立ち姿勢を取る事を推奨しています。

また2018年BMJに公開された“Effectiveness of the Stand More AT (SMArT) Work intervention: cluster randomised controlled trial”では、職場で座位時間を減らして立位時間を増やす実験をしたところ、立ち姿勢をとったグループの方が仕事の効率性が高い結果が出ています。


一方でアメリカ国立医学図書館(United States National Library of Medicine)で閲覧可能な、2015年に公開された“Evidence of Health Risks Associated with Prolonged Standing at Work and Intervention Effectiveness”によると、長時間の立ち仕事は心臓病などのリスクが増すとあります。


一見すると相反する内容にみえますが、要点は座っていても立っていても、同じ姿勢を長時間続けている事が良く無いと言えます。

飛行機で移動する際、エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)という言葉が一時話題になったかと思います。

機内と、会社や自宅の部屋(在宅勤務)では当然環境が異なりますが、座り続けている事で、肺血栓塞栓症のリスクが高まる点は、通じるものがあります。

エコノミークラス症候群の予防策

エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)とは、また予防策について厚生労働省が以下の通り説明しています。

厚生労働省
エコノミークラス症候群の予防のために

【エコノミークラス症候群とは】

食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。

【予防のために心掛けると良いこと】
 予防のためには、
   (1) ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
   (2) 十分にこまめに水分を取る
   (3) アルコールを控える。できれば禁煙する
   (4) ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
   (5) かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
   (6) 眠るときは足をあげる
  などを行いましょう。

引用元リンク:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170807.html


座っていても立っていても、同じ姿勢を長時間続けている事が良く無いので、適宜体を動かす必要があり、スタンディングデスクは手軽に姿勢を変える事ができる解決策の1つとして使い勝手が良いです。

また立っていても上記予防策の通り、水分補給を心掛けると良さそうです。

スタンディングデスクの種類・おすすめ

スタンディングデスクの種類ですが、上下昇降式のものから、高さが変わらないもの、また既存の机に設置するノートパソコン用のスタンド(台)などがあります。

座位・立位どちらにも対応する上下昇降式(電動だと尚良い)のデスクが一番おすすめです。


家具を増やしたくない場合、また立ち姿勢での仕事があなたに合うか分からない場合は、ノートパソコン用のスタンド(台)があれば、気軽に試す事ができます!

またパソコン使用時に限らず、例えば電話の時だけは立つ等のルールを決めておいて、立ち姿勢を実践するのも良さそうです。

コロナ禍で在宅勤務(テレワーク)をしていると、通勤がなくなり、ミーティングやランチ等で外に出る事も無く、極端に体を動かさなくなるので、スタンディングデスクの活用はおすすめです。


スタンディングデスクを使うと、配線の長さが足りなくなる事もあるので、延長コードもお忘れなく。私は充電端子を引っかけてノートパソコンを破損してしまい、買い替えた苦い思い出があります。

最後に

わたしがそうだったのですが、腰痛で椅子に座り続けているのが辛い、という方に是非スタンディングデスクを試してもらいたいです。

椅子やクッションに拘る人は多くみかけますが、机の高さどのような姿勢(座位・立位)を維持するか等も重要だと実体験を通して感じたので、今回スタンディングデスクに関する記事をまとめてみました。

在宅勤務(リモートワーク)だと通勤からは解放されますが、意識して体を動かさないと思った以上に、身体に悪影響を及ぼします。

果たして立ち姿勢が運動の代わりになり得るかは微妙ですが、少なくとも同じ姿勢を長時間続けるのを避けるのに、スタンディングデスクの活用は手軽で大変おすすめです。


因みに以前住んでいたイギリスでは、例えばパブではほとんどの人が立ち飲み(基本的に食事はせず、ひたすら飲みます)、ロンドンの地下鉄では席が空いていても敢えて立っている人が多いです。

イギリス人にとってスタンディングデスクを使う事は、あまり違和感が無かったのかもしれません。

立ち姿勢での仕事は、最初違和感があるのですが、習慣化してしまうのがポイントでしょうか。





※本文は以上です。
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