ベータ(β)と似ていますが、全く異なるエスツェット(ß)。
ドイツでは小文字(ß)だけでしたが、2017年6月29日から大文字(ẞ)が正式採用されています。
ラテン・アルファベットに無い特殊文字エスツェットですが、英語キーボードのままでも入力可能です。
パスコンやスマートフォン、タブレット端末で簡単にできる、エスツェット(Eszett)の打ち方や代替表示する方法を、まとめてみました。
英語キーボードで入力
Macの場合
Macの場合、小文字のエスツェット(ß) は、ショートカットがあります。
そもそもですがエスツェットの小文字(ß)と大文字(ẞ)は、ぱっと見分りづらいですね。
特殊文字 | ショートカット | Unicode |
---|---|---|
ß | option + s | U+00DF |
ẞ | – | U+1E9E |
2017年6月末からドイツ国内で正式採用(Amtliches Regelwerk der deutschen Rechtschreibung aktualisiert)となった大文字のエスツェット(ẞ)はショートカットが無いので、「文字ビューア」(Character Viewer)を開いて、Unicodeを直接打ち込む必要があります。
Windowsの場合
Windowsの場合Outlookにはショートカット(Keyboard shortcuts for international characters)や、Altコードがエスツェット(ß)に割り振られています。
大文字(ẞ)もあります。
なおAltコードを使う時は、NumLockをオンにして打ち込みましょう。
特殊文字 | ショートカット | Altコード | Unicode |
---|---|---|---|
ß | Ctrl + Shift + &, s df + Alt + x | Alt + 0223 | 00DF |
ẞ | 1e9e + Alt + x | Alt + 7838 | 1E9E |
Altコードは流石に暗記するのが億劫なので、英語キーボードで特殊文字を入力する際は、マイクロソフト社が指定している上記ショートカットを使う事がわたしの場合多いです。
ドイツ単語の一文字目にエスツェットがくる事は無いので、全て大文字で書く場合を除き、実質小文字だけ覚えておけば日常使いでは十分だと思います。
この表を都度見なおしたり、印刷して手元に置いても良いですが、文字コード表を起動して特殊文字を入力する方法もあります。文字コード表であれば、何か入力せず単純に文字を選択するだけなので楽です。
任意の文字を選択してコピーをすれば、貼り付けて使えます。
但しウムラウト(äöü)と違って、エスツェットを文字コード表の中から探すのは結構難しかったりするので、文字セットを「Unicode」に設定して、指定した方が早いと思います。
スマートフォンやタブレットの場合
iPhone・iPadやアンドロイドなど各種スマートフォン・タブレット端末の場合、大抵はOSに関係無く”s”キーを長押しすると、特殊文字が表示され小文字のエスツェット(ß)が選択可能です。
大文字(ẞ)は、見当たりませんね…
ドイツのAppleサポートコミュニティで2020年5月に、「MacやiPhoneで大文字のエスツェットが見つからない」、という質問が投稿されています。
F: Das große ß ist nicht mehr verfügbar
引用元リンク:https://communities.apple.com/de/thread/251339007
Liebe Apple-Community,
seit 2017 gibt es nun das große ß. Doch als ich es letztens mit meinem Mac bzw. meinem iPhone eine Nachricht mit einem großes ß an meine Freunde schreiben wollte, ist mir aufgefallen, dass dies nicht möglich ist.
Gepostet am 05. Mai. 2020 22:32
Macでは前述の通り、現在は「文字ビューア」を使う事で大文字のエスツェット(ẞ)を選択する事ができますが、iPhone(やアンドロイド)端末は、未対応のようです。
ドイツ語キーボードで入力時の配列
パソコンでもスマートフォンでも、ドイツ語のキーボードを新たにインストールすると、特殊文字では無くてデフォルトとして、エスツェットを含むキーボード配列が表示されます。
頻繁にドイツ語で入力する機会がある場合は、ドイツ語キーボードをインストールしてしまった方が良いかもしれません。
ドイツ語キーボード配列だと、数字0(ゼロ)の右隣りに、小文字のエスツェット(ß)が位置しています。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | ß |
Q | W | E | R | T | Z | U | I | O | P | Ü |
A | S | D | F | G | H | J | K | L | Ö | Ä |
Y | X | C | V | B | N | M |
ドイツ語特有のキーボード配列として、“y”と”z”の場所、各ウムラウト(äöü)が挙げられます。
また2017年以降に発売された、Windowsドイツ語配列の物理キーボードには、大文字のエスツェット(ẞ)にショートカットが割り当てられていたりします。
特殊文字 | ショートカット |
---|---|
ẞ | Shift + Alt Gr + ß(小文字) Alt Gr + H |
Macドイツ語配列キーボードには、依然大文字のエスツェット(ẞ)はショートカットが存在していません。
ドイツで売られているパソコンは、当然ですが基本的にドイツ語配列のキーボード(ドイツ規格協会 = DINに準拠)なので、今後ドイツに住む予定で日本語(JIS)配列が好みの方は、渡独前に日本でパソコン本体を購入してきた方が良いです。
パソコンの充電器は、大体どこのメーカーでも海外電圧に対応しているので、渡航先に合うコンセント変換プラグだけ準備すれば日本で購入したパソコンを、そのまま海外で使えます。
エスツェット(ß)の代替表示は”ss (sz)”
元々は特殊文字が無いタイプライターなどを想定していたものみたいですが、英語・ドイツ語キーボード問わず、特殊文字エスツェットの代わりに、ラテン・アルファベット2文字で表示する方法があります。
エスツェット(Eszett)はドイツ語で”scharfes S”、英語に訳すと”sharp s”とも言われていて、頭文字を取ると代替表示”ss”となります。
特殊文字 | 代替表示 |
---|---|
ß | ss (sz) |
ẞ | SS (SZ) |
またEszett自体は、ドイツ語単語の”s (Es)”と”z (Zett)”を組み合わせたものです。
代替表示として、”ss”を当てはめて使う事で別の意味と紛らわしくなる場合、”sz”が使われる事もあります。
今日ではEメール受信者の環境設定次第で、ドイツ独特の特殊文字(ウムラウトやエスツェット)が文字化けしてしまう可能性がある為、敢えて代替表示させる場合も散見されます。
特にEメールアドレスそのものは、ドイツにおいても特殊文字は原則使われないので、やはりラテン・アルファベットのみで構成されます。
因みにドイツ語圏のスイスやリヒテンシュタインでは、特殊文字”ß”を捨てて、”ss”を常用しています。
最後に
英語配列のキーボードでも使える、ドイツ語の特殊文字エスツェットを入力するMac及びWindows向け便利なショートカットと、代替表示となるラテン・アルファベット文字を、もう一度掲載しておきます。
特殊文字 | Mac | Windows | 代替表示 |
---|---|---|---|
ß | option + s | Ctrl + Shift + &, s df + Alt + x | ss (sz) |
ẞ | U+1E9E * | 1e9e + Alt + x | SS (SZ) |
*「文字ビューア」(Character Viewer)で入力。
スマートフォンやタブレット端末の利用時は、”s”キーの長押しで特殊文字候補が表示され、小文字のエスツェット(ß)が選択可能です。
大文字エスツェット(ẞ)の正式採用には、ドイツ人でさえ賛否両論あり、使い慣れていない面もあると思いますが、デザインに違和感を覚える人もいるようです。
例えば、「通り、道路」などを意味するドイツ語Straßeですが、どれが一番しっくりきますか?
- Straße
- Strasse
- Strasze
- Straße
- Strasse
- Strasze
- STRAẞE
- STRASSE
- STRASZE
- STRAẞE
- STRASSE
- STRASZE
※本文は以上です。
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