イギリスでは、賞味期限切れの食品を堂々と販売する一方、消費期限の過ぎたものを販売する事は、法律で禁じられています。
食品の期限表示を意味する英語”Best before”と”Use by”、一見すると似たような意味に思えますが、実は結構意味が異なり、最悪あなたの健康に害を及ぼす可能性があります。
また厳密には”Use by”に該当する日本語が無い為、注意喚起として本記事で取り上げてみたいと思います。
海外在住者でなくても、旅行先で食材やお土産を買う時など、食品の期限表示を正しく把握するのに役立てばと思います!
本記事では元ロンドン在住者が、イギリス英語を前提に、食品の期限表示を意味する”Best before”と”Use by”等の違いや意味を説明したいと思います。
Best before dates(ベスト・ビフォー・デイト)とは、賞味期限に相当。
“Best before dates”(ベスト・べフォー・デイト)とは、食品の質に関するものです。
“Best before”の代わりに、”BBE“(Best before end)と表示されている事もあります。
指定された日付を過ぎても、安全に消費可能ですが、対象商品の質、食感や香りなどが劣化し始めている可能性が高いとされています。
The term ‘Best Before’ will be appropriate for the vast majority of foods, as it indicates the period for which a food can reasonably be expected to retain its optimal condition (e.g. bread will not be stale) and so relates to the quality of the food.
引用元リンク:http://www.wrap.org.uk/sites/files/wrap/Food_labelling_guidance.pdf
“Best before”は冷凍食品、ドライ食品、缶詰に使われる事が多いです。
それぞれ指定された通りに保存しておかないと、”Best before”で指定された日付が意味をなさなくなる可能性があります。
また開封後は、やはり指定された日数以内に消費する必要があり、必ずしも”Best before”で指定された日付まで安全という意味ではありません。
なおイギリスでは、”Best before dates”を過ぎた食品を、スーパーで意図的に販売していたりします。
Co-opというイギリスの大手スーパーが、2017年にイギリスのスーパーとして初めて”Best before dates”の過ぎた食品を割引販売し始めて、当時ニュースに取り上げられていました。
食品ロスを減らす目的という事もあり、評判は上々だったのではないでしょうか。
同じ2017年、ドイツではベルリンのスタートアップ企業Sirplusが設立。Sirplusは、そもそも食品ロスを減らす目的で設立されたスーパーです。
Sirplus創業者は、ドイツ版マネーの虎『Die Höhle der Löwen』に出ていました。
“Best before dates”は、日本の賞味期限に相当します。
日本の消費者庁によると、賞味期限は「おいしく食べることができる期限。この期限を過ぎても、すぐに食べられないということではない。」としています。
Use by dates(ユーズ・バイ・デイト)とは、消費期限に相当。
“Use by dates”(ユーズ・バイ・デイト)とは、食品の消費安全基準に関するものです。
海外ヨーロッパの場合、指定された日付までに消費する必要があり、”Use by”の日付が過ぎたものは、健康への安全面を鑑み、消費せず処分する事を想定しています。
The term ‘Use By’ should only be applied on foods which, from a microbiological point of view, are highly perishable and are therefore likely, after a short period, to constitute an immediate danger to human health.
引用元リンク:http://www.wrap.org.uk/sites/files/wrap/Food_labelling_guidance.pdf
“Use by”は、肉製品やパック詰めされたサラダに使われる事が多いです。
どの食品に”Use by”或いは”Best before”が使われるかは、生産者が選択できるものでは無く、法律で定められています。
“Use by”は、強いて言えば日本の消費期限に相当しますが、日本の消費者庁によると「消費期限は、期限を過ぎたら食べない方が良い期限」、としているので若干イギリスと異なります。あまり切羽詰まった感がありません。
イギリスでは、”Use by dates”(消費期限)を過ぎた食品を、スーパーの店頭に置いて販売する事は法律で禁じられています。
2013年にThe Supreme Court (イギリス最高裁判所)が出した判例(Torfaen County Borough Council (Appellant) v Douglas Willis Limited)があります。
https://www.supremecourt.uk/cases/uksc-2012-0087.html
Display until dates、Sell by datesとは
“Display until dates”(ディスプレイ・アンティル・デイト)、”Sell by dates”(セル・バイ・デイト)とは、食品の質や消費安全基準に関わるものでは無く、売り手である店舗側で使用する日付です。
これらの日付は消費者に関係無いものなので、”Best before dates”や”Use by dates”を気にしましょう。
英語の日付表示
英語だと、年月日の表示方法が日本と違います。
紛らわしいのが同じ英語でも、イギリスとアメリカでは違うし、ヨーロッパ内の国々でも統一されていません。
イギリスをはじめ、海外ヨーロッパにおける日付表示をまとめていますので、合わせてご確認下さい。
まとめ
食品の期限表示を意味する”Best before”と”Use by”等の違いや意味を説明した記事でした。
- “Best before dates”(ベスト・べフォー・デイト)とは、食品の質に関するもの
- “Use by dates”(ユーズ・バイ・デイト)とは、食品の消費安全基準に関するもの
イギリスにおける例を取り上げましたが、食品の期限表示はEU規則(Regulation (EU) No 1169/2011)で定められたものなので、言葉が違くても欧州内では同じ扱いです。
賞味期限切れの商品をスーパーで販売していたり、食品ロスを減らす目的とは異なる次元ですが、箱を開けてみたら中の卵が割れていたり(買う前に要確認)、商品が本来置かれているべき場所でないとこに陳列されていたり(会計時に値段が違うため、発覚する事が多々あり)、色々と日本では起こらないような事が起こる海外現地スーパーですが、ヨーロッパにおける食品の期限表示について、理解が深まったなら幸いです。
※本文は以上です。
もし記事を気に入っていただけたら、是非、SNS等でシェアいただけたらと思います!
記事一覧は、サイトマップから確認できます。